リトルビッグホーンの戦い 戦場の名称変更と、インディアン記念碑の建立

リトルビッグホーンの戦い

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/08 14:21 UTC 版)

戦場の名称変更と、インディアン記念碑の建立

戦後すぐ、この戦場は「カスター国立記念戦場(The Custer Battlefield National Monument)と名づけられて国立公園に組み入れられ、「第7騎兵隊記念碑(The cavalry memorial)」が建てられた。

第7騎兵隊記念碑

1927年、これに対してスー族のトーマス・ビーバーハート夫人が米国陸軍省に書き送った嘆願書がきっかけとなり、スー族やシャイアン族は「ここでカスターと戦ったのは我々インディアンであり、戦場はリトルビッグホーン(本来はこの地に住むクロウ族の呼び名が基になっている)と呼ぶべきで、また我々インディアンの記念碑も建てるべきだ」と抗議を続けていたが、これは全く無視され続けた。やがて1960年代の公民権運動の高まりと呼応して、次第にこの抗議の声も大きくなっていった。

1988年6月25日、ラッセル・ミーンズらスー族派遣団は、「第7騎兵隊記念碑」のそばに、「インディアン戦士の記念碑(Memorial to the Indian warriors)」として、ありあわせの臨時記念碑を設置してこれに抗議した(※スー族を始め、インディアン国民議会は、「アメリカ先住民(ネイティブ・アメリカン)という名称は、インディアンという民族をごまかすものだ、リトルビッグホーンで戦ったのは他でもない我々インディアン民族だ」と主張している)。

インディアン戦士の記念碑
シャイアン族を讃える記念碑

1991年、アメリカ議会はこの要求を受け入れ、「カスター国立記念戦場(The Custer Battlefield National Monument)を、「リトルビッグホーン国立記念戦場(Little Bighorn Battlefield National Monument)と改名する法律が議決され、ブッシュ大統領はこれに署名し、「彼らの土地と文化を維持するために戦ったインディアン達を認め、敬意を表するために、この記念碑の建立は、公共の利益をかなえる最良のものです。」と発表した。が、議会はその後10年にわたり、名称変更に伴う費用230万ドルを支出しなかった。

2001年9月、ようやく上下院で予算要求が通ることとなり、奇しくも父親の署名法案を息子のブッシュ大統領が実行する形となった。

2003年6月25日、晴れてこの古戦場の改名と共に「リトルビッグホーン戦場記念碑」と「インディアン記念碑」が建立され、白人とインディアンを交えた完成式典が行われた。スー族、シャイアン族、アラパホー族、そしてかつて敵として戦ったクロウ族、アリカラ族、ポーニー族代表団が騎馬正装で出席。数千人のインディアンが集まり、幾百のティピーが建てられ、盛大な祝宴が催された。

この決議に尽力したインディアン初の上院議員ベン・ナイトホース・キャンベル(彼はシャイアン族である)はこの祝典に出席し、「長い間否定され続けてきたインディアンの人々が、対等な栄誉を受ける時代になったのですね」と賛辞を述べた。


  1. ^ スー族の戦士レッド・ホースが戦後に描いた絵では、中央にシャイアン族の会議用ティピーが描かれている。
  2. ^ a b c d Unsolved History episode5 "Custer's Last Stand", first aired at November 6, 2002,Discovery Channel


「リトルビッグホーンの戦い」の続きの解説一覧




固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「リトルビッグホーンの戦い」の関連用語

リトルビッグホーンの戦いのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



リトルビッグホーンの戦いのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのリトルビッグホーンの戦い (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS