モティア包囲戦 モティア攻撃

モティア包囲戦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/23 06:16 UTC 版)

モティア攻撃

カルタゴ艦隊の妨害が無くなったため、モティアに向かう突堤の建設は順調に進んだ。モティア自身は海軍をもっておらず、弓の射程まで突堤が延びてくるまで、ほとんど何もできなかった。突堤が完成すると、ディオニュシオスは攻城塔を前進させた。攻城塔はモティアの城壁より高く、最も高い建物と同程度の高さがあった。城壁上の守備兵を、攻城塔からの弓矢、投擲兵器、さらには大型弩弓による攻撃で制圧した。さらに城門を破壊するために破城槌を進めた。

モティアでは城壁内部に船のマストを建て、それに兵を上らせた。これらの「カラスの巣」から、可燃性のピッチをしみこませた亜麻を攻城兵器に投下して焼却を試みた。しかし、ギリシア軍は消火部隊を準備しており、モティア軍の努力にもかかわらず、攻城兵器は城門に達した[27]

市街戦

城門を破壊して突破するのが、モティア占領の第一歩であった。ギリシア兵が前進すると、モティア軍は建物上から投擲兵器(弓矢、投石)で激しく抵抗し、攻撃側に大きな損害を与えた。このため、ギリシア軍は攻城塔を城内に入れ、城壁の近くの建物に接近させ、屋根に兵を上らせた。その後激しい白兵戦が行われ、絶望的なモティア軍(傭兵は雇用していなかったと思われる)の反撃により、攻撃側も大損害を受けた。

数日間にわたり、夜明けから日没まで激しい戦闘が行われたが、ギリシア軍は何も得ることができなかった。ディオニュシオスは戦法を変更することを決断した。それまでは戦闘は夜明けに開始され、日没と共にギリシア軍は休息のために引き揚げていた。ある日、ディオニュシオスは傭兵からなる選抜部隊を、有利な拠点を確保するために、梯子を持たせて夜間に出撃させた。夜の闇にまぎれ、この特殊部隊はモティア軍に発見される前に、拠点を確保することに成功した[28]。有利となったギリシア軍は、数でモティアを圧倒し、抵抗を排除した。ディオニュシオスは奴隷市場で売るために、できるだけ多くの捕虜を得るつもりであったが、ギリシア兵は鬱憤晴らしのために多くのモティア市民を殺害した。ディオニュシオスが救えたのは、寺院に避難していた市民のみであった。


  1. ^ Morrison (2004) Page 68
  2. ^ Baker G.P., Hannibal, p17
  3. ^ Kern, Paul B., Ancient Siege Warfare, p163-168
  4. ^ Freeman, Edward A., Sicily, p145-47
  5. ^ Kern, Paul B., Ancient Siege Warfare, p168-172
  6. ^ Church, Alfred J., Carthage, p44-45
  7. ^ Kern, Paul B., Ancient Siege Warfare, p174
  8. ^ Freeman, Edwrad A., Sicily, p153-54
  9. ^ Freeman, Edward A., Sicily, p158
  10. ^ Diod., 15.13.5
  11. ^ Kern, Paul B., Ancient Siege Warfare, p174-75
  12. ^ Kern, Paul B., Ancient Siege Warfare, p177
  13. ^ Diod., 14.7.2-3
  14. ^ Freeman, Edward A., Sicily, p157
  15. ^ Freeman, Edward A., Sicily, p158-59
  16. ^ Freeman, Edward A., Sicily, p160-163
  17. ^ Kern, Paul B., Ancient Siege Warfare, p178
  18. ^ Whitaker Joseph I.S., Motya, p75-76
  19. ^ Diod., 14.48.4
  20. ^ a b Whitaker, Joseph I.S., Motya, p78
  21. ^ Diodurus Siculus, XIV.49
  22. ^ Whitaker, Joseph I.S., Motya, p77
  23. ^ Kern, Paul B., Ancient Siege Warfare, p180
  24. ^ Whitaker, Joseph I.S., Motya, p78 note-2
  25. ^ Diodurus Siculus, XIV.50
  26. ^ Whitaker, Joseph I.S., Motya, p80-84
  27. ^ Kern, Paul B., Ancient Siege Warfare, p181-82
  28. ^ Kern Paul B., Ancient Siege Warfare, p183


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