フェンダー・ストラトキャスター 「ヴィンテージ」市場の存在

フェンダー・ストラトキャスター

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/08 20:39 UTC 版)

「ヴィンテージ」市場の存在

ストラトキャスターの中でも製造年の古い個体は「ヴィンテージ」と呼ばれ、中古市場において高価格で取引されている。2013年にはボブ・ディランが使用した1964年製のストラトキャスターがクリスティーズ競売にかけられ、ギターとしては史上最高額の96万5000ドル(約9930万円)で落札された[6]

ヴィンテージ市場は1980年代末から一貫して高騰基調にあり、現在ではフェンダー社がCBS社に買収される以前(1954年から1965年前期までのモデル。Pre-CBSと呼ばれる)が状態によっては数百万円、またはそれ以上の価格で取引されることもある。またフェンダー・ジャパンの最初期モデルは「ジャパン・ヴィンテージ」と呼ばれ、日本独自の中古市場が形成されている。


ストラトキャスターの製造初年である1954年製のシリアルナンバー#0001の個体(英語版 "The 0001 Strat")は、ピンク・フロイドのデヴィッド・ギルモアが1970年代から現在まで所有している。2004年に、イギリスで行われたストラトキャスターの50周年記念のライヴの際も使用された。ただし、このギターはあくまでも「ネック・ジョイントプレートにシリアルナンバーが記載されている」物としての1号機であり、これ以前に、「ボディ裏面にあるスプリングカバー(バックプレート)にシリアルナンバーが記載されている」物を含め250台程度存在するので、正真正銘の第1号機ではない。なお、この「ネックシリアル1号機」は、ブロンドカラー、ゴールドパーツの特注品である。正真正銘の第1号(バックプレートシリアル0001)機については、一時北米のコレクターが所有していると言う噂が飛び交ったがデマと判明し、現在に至るまで発見されていない(バックプレートは紛失し易く、弦交換の手順を簡素化させるため取り外して弾くプレイヤーが多く、更には容易に取り替えが効くため、事実確認が困難)。


注釈

  1. ^ ボディの中心、または中心から左側にズレた部分で木取りをして接合した2ピースボディ、ネックを接合する部分を中心に両サイドを挟むようにして木材を接合している3ピースボディ等が存在している。
  2. ^ テレキャスターは、フロント・ピックアップはボディに直接固定、リア・ピックアップはブリッジ・プレートに固定、ボリュームやトーンのポットとピックアップセレクターは金属製プレートに固定)
  3. ^ レオ・フェンダーはギターは全く演奏出来なかった。彼と共に開発に当たったフレディ・タバレスはスパニッシュ・ギターよりも寧ろスティールギターの名手であった。また彼らは当時社に出入りしていたビル・カーソンというウェスタン・スィング・ギター奏者の意見を取り入れている。6分割されたサドルは彼の要望であり、ヴィブラート・ユニットはビグスビー・ビブラートに対抗する必要があるというフェンダー社のセールス側からの要望であった[1]
  4. ^ このボディ形状は、1951年に発表されたフェンダー・プレシジョンベースの形状に大きく影響されている。プレシジョンベースは、大型のボディをストラップで吊った際のバランスを取るため、テレキャスターの低音弦側のツノを伸ばしたようなボディ形状になっている。
  5. ^ テレキャスターは全周が角張っている。
  6. ^ ジェフ・ベックモデルは現在フェンダー製のLSR ローラー・ナットが使用されているが、過去にはウィルキンソン製のローラー・ナットが使用されていた。
  7. ^ ストラトの中古を買い集めていたクラプトンは、錆び始めて固くなったスイッチと錆び始めてゆるくなり定位置に固定できなくなったスプリングによって3ポジションのスイッチからハーフトーンを引き出したという伝説がある。
  8. ^ 当時のフェンダー社は「トレモロ」と「ビブラート」を混同・誤解して使用していたと思われる。
  9. ^ 当初、ストラトキャスターは3ポジションスイッチだったため、ハーフトーンを使用するためにはスイッチノブをセンター位置に注意深く合わせる必要があり、一部のアーティスト達が裏技的に使用していただけだった。後にハーフトーンが有名になると、ノブ位置を簡単に合わせられるよう、正式に5ポジションスイッチ(ハーフトーンの位置にもクリックがある)に変更された。
  10. ^ フェンダー社の純正ピックアップでも、「ノイズレス」モデルや「レースセンサー」モデルなど、ハムキャンセリング仕様のピックアップは存在する。
  11. ^ リッチー・ブラックモアイングヴェイ・マルムスティーンゲイリー・ムーアジョン・ノーラムなど。ただし、ピックアップが変更されている例も多い。例えば、ブラックモアの場合は過去にシェクター社やレース社のモデル、マルムスティーンの場合は過去にはディマジオ社、現在はセイモア・ダンカンのモデルにピックアップを変更している。
  12. ^ エリック・クラプトンもヘンドリックスに並ぶという意見もごく一部に存在するが、一般には認められていない。椎野秀聰『僕らが作ったギターの名器』文春新書、2010年、134ページ ISBN 4166607707
  13. ^ ただし、クラプトンもベックもヘンドリックスの生前には表だってストラトキャスターを使用することはほとんどなく、多用するようになったのはヘンドリックスの没(1970年9月18日)後である。
  14. ^ センを用いるのはフェンダー・ジャパンのみである。センは、ジャパン・アッシュとも呼ばれる。

出典

  1. ^ 『フェンダー・ストラトキャスター』(2004年, 新装増補版, リットーミュージック・ムック) pp.75-76 ISBN 4845611244
  2. ^ Eric Johnson 1954 "Virginia" Stratocaster, Fender.com
  3. ^ 菅野至, Rockin'Web「ROCK GUITARの世界」第6話 Fender Stratocaster その2”. 2004年1月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年11月7日閲覧。
  4. ^ 『フェンダー・ストラトキャスター』 pp.64-65, pp.68-69
  5. ^ 『ストラトキャスター・オーソリティ』シンコー・ミュージック、ヤングギター編集部、2014年 ISBN 9784401639588
  6. ^ ボブ・ディランさん使用のエレキギター、史上最高額で落札 AFPBB News 2013年12月8日






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