ダラム大学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/03 14:30 UTC 版)
概要
ダラム大学は1832年に議員立法により設立された。ダラム大学はこの設立年を以て「イングランドに現存する教育機関においてオックスフォード大学、ケンブリッジ大学に次ぎ、3番目に古い伝統を持つ大学」とされる[注釈 1]。
ダラム大学は、オックスフォード大学やケンブリッジ大学と同様、カレッジ制を採用している名門大学であることから、この3校を表わす略称として、ドオックスブリッジ(Doxbridge)が使われる。Doxbridge Cup(ゴルフ大会), Doxbridge Tournament(スポーツ大会), Doxbridge Worlds(討論会)といったイベントがこれまで3校間で開催されてきた。なお、Doxbridge Tournamentには、同種のカレッジ制を採用しているヨーク大学もその後加わっている。
沿革
ダラム大学の起源は、世界遺産であるダラム大聖堂にある。オックスフォードにはベネディクト会の修道士によるダラム・カレッジが13世紀後半から16世紀半ばまで存在し、ダラム大聖堂主教のトマス・ハットフィールドの援助もあった。しかし、イングランドの宗教改革の影響でオックスフォードのダラム・カレッジは衰退し、その敷地は複数のカレッジに分割されてしまった。また残っていた敷地も1555年のトリニティ・カレッジの設立に使われてしまった。そのため、大学の設立はダラム大聖堂の悲願であった。
実際、1832年のダラム大学開設以前にも、設立の動きは2回ほどあった。第一はヘンリー8世の治世の時代で、ダラム大聖堂のカレッジを設立する動きがあったが、実現しないまま終わった。第二の試みはイングランド共和国時代であり、1657年には設立勅許状が発行されるに至るが、オックス・ブリッジの強い反対に遭ってオリバー・クロムウェルがオックス・ブリッジに妥協、またも設立計画は流れた。そして19世紀になってようやく開設が実現した。
ダラム大聖堂の主教は、その統治する地域において聖俗双方の権力を有していたことから「司教領(Prince-bishop)」と呼称され、豊かな財力を誇っていた。しかし、19世紀にダラム大聖堂の財産が徴収されるおそれが生じたため、最後のプリンス・ビショップであるウィリアム・ヴァン・ミルダート主教の指導によりダラム大聖堂主教参事会が大聖堂の組織改組案を作成、これが1832年に議会により承認された。通常、これをもってダラム大学の設立とする。1833年にダラム大学は実際に開校したが、設立勅許状が発行されたのは1837年6月1日であり、その7日後に第1期の卒業生を送り出した。
組織
ダラム大学は、オックスフォード大学、ケンブリッジ大学と同様、カレッジの集合体であり、計17のカレッジから構成されている。また、24の学部から成る[5]。ダラム大学のキャンパスは2ヶ所に分かれており、一つは世界遺産であるダラム城・ダラム大聖堂を有する大学都市、ダラム市街に、もう一つは約30キロ南にあるストックトン=オン=ティーズに最新鋭の設備を備えたクィーンズキャンパスがある。両キャンパス間は定期的にシャトルバスが運行されている。
ダラムキャンパスでは、世界遺産であるダラム城がUniversity College の施設として使われており、同カレッジの学生はダラム城内に住むことができる。ダラム大聖堂は、映画ハリー・ポッターのロケにも使われており、入学式や卒業式はこの世界遺産の大聖堂で行われる。なお、ダラム城とダラム大聖堂は、1986年、英国で最初に世界遺産に登録された場所の一つであり、英国屈指の歴史的建造物・文化遺産である。
注釈
- ^ 教育機関の歴史や伝統を比較する明確な基準がないため、ダラム大学のこの主張には異議や論争がある。イギリスの議会による大学設立認可順ではダラム大学はイングランドに現存する教育機関として3番目に設立されている。しかし、イギリス王室による学位授与権の勅許 (Royal Charter) を基準にすると、ロンドン大学やキングス・カレッジ・ロンドンのほうがダラム大学よりも取得時期が早い。また教育機関としての設立年ではユニバーシティ・カレッジ・ロンドンやキングス・カレッジ・ロンドンのほうがダラム大学よりも古い(詳しくはen:Third-oldest university in England debateを参照)。なお、イギリス全体だとスコットランドのいくつかの大学はダラム大学より設立年が古い(アンシャンユニバーシティ参照)
- ^ 「大学間交流協定」には全学または学部間での、学生の交流、職員・研究者の派遣や研修、単位互換制度、2重学位制度、共同研究の実施、締結先大学の学生の受入に伴う奨学金の支給、学生の派遣・受入に係る授業料の相互不徴収が含まれる。
出典
- ^ “大学別学生数2011-2012”. Higher Education Statistics Agency online statistics. 2014年1月15日閲覧。[リンク切れ]
- ^ a b c https://issuu.com/communicationsoffice/docs/4914_du_annual_report_and_financial?e=2156517/66510405
- ^ The complete university guide 2019 2018年11月16日閲覧
- ^ “Film Location”. 2016年6月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年9月7日閲覧。
- ^ Academic - Durham University, 2022年6月3日閲覧。
- ^ https://www.dur.ac.uk/colleges/
- ^ East Asia - Durham University. 2022年6月3日閲覧。
- ^ “ダラム大学:協定締結校|九州大学|”. www.isc.kyushu-u.ac.jp. 2022年4月8日閲覧。
- ^ [1]
- ^ “Durham University 日本同窓会 | Facebook”. www.facebook.com. pp. S1–S4. 2019年9月3日閲覧。
- ^ “The Complete University Guide”. 2021年2月13日閲覧。
- ^ “Guardian University guide”. 2021年2月13日閲覧。
- ^ “The Sunday Times”. 2021年2月13日閲覧。
- ^ “The Complete University Guide 2015”. 2014年5月17日閲覧。
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- ^ “Durham top 10”. 2014年5月17日閲覧。
- ^ https://www.topuniversities.com/universities/durham-university#wurs
- ^ https://www.timeshighereducation.com/world-university-rankings/durham-university
- ^ https://www.usnews.com/education/best-global-universities/rankings
- ^ QS World University Rankings
- ^ “DURHAM UNIVERSITY RANKINGS”. 2014年5月17日閲覧。
- ^ “DURHAM UNIVERSITY RANKINGS 2015”. 2015年8月15日閲覧。
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- ^ “Durham graduates among most sought after in the world”. 2011年9月5日閲覧。
- ^ “QS World University Rankings for Archaeology 2021” (英語). Top Universities. 2022年2月3日閲覧。
- ^ “QS World University Rankings by Subject 2021: Theology, Divinity & Religious Studies” (英語). Top Universities. 2022年2月3日閲覧。
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