スヴァリイェ級海防戦艦
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/15 16:29 UTC 版)
艦形
本級の船体形状は当時の主流である平甲板型船体で、艦首構造は冬は氷に閉ざされるバルト海で行動するために砕氷構造を持ち、艦首から艦尾に向けてなだらかに傾斜する甲板から前向きに「ボフォース 1912年型 28.3cm(44口径)砲」を連装砲塔に収めて1基を配置し、その後部から上部構造物が始まり、甲板1段分上がって副砲の「ボフォース 1912年型 15.2cm(50口径)速射砲」を連装砲塔に収めて1基を配置していた。艦橋構造は司令塔を下部に組み込んだ箱型とし、後部に単脚式の前部マストが立つ。
船体中央部に2本煙突が立ち、その周囲は艦載艇置き場となっており、2本1組のボート・ダビッドが片舷2組ずつ計4組と後部マストの後部単脚檣の基部に1基ついたジブ・クレーンにより運用された。後部見張り所で上部構造物は終了し、一段下がった後部甲板上に28.3cm連装砲が後ろ向きに1基配置された。舷側甲板上には15.2cm砲が単装砲塔に収められ、片舷3基ずつ計6基が配置された。この武装配置により艦首方向に最大で28.3cm砲2門・15.2cm砲4門が指向でき、舷側方向に最大で28.3cm砲4門・15.2cm砲5門が指向できた。
各艦の船体サイズの相違は以下の通り。
艦名 | 常備排水量 | 満載排水量 | 全長 | 水線長 | 全幅 | 吃水 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
スヴァリイェ | 6,852トン | 7,516トン | 120.0m | 119.7m | 18.6m | 6.5m | |
後の2艦 | 7,125トン | 7,633トン | 121.6m | 120.9m | 同上 | 6.7m |
前述の1920年代の近代化改装で単脚式の前檣は、頂上部に4つの信号ヤードの付いた射撃方位盤室を持つ多層構造の三脚檣に改装され、後檣は撤去され、替わりに2番煙突の上部の左右に信号ヤードが設置された。また、船体の各所に対空火器が増設された。
1930年代の近代化改装で機関の換装が行われ、一番に目を引くのは煙突の形状で、「スヴァリイェ」は1番煙突を途中で後方に折り曲げて2番煙突に強く接近させた形状となった。「グスタフ5世」は2本の煙突の上部をそれぞれ結合させた複雑な形状となった。「ドロットニング・ヴィクトリア」は改装前と同様に2本煙突のままである。このため、他国海軍からは煙突の形状を見れば艦名識別は一目瞭然となってしまった。
注
- ^ 九、瑞典[1](中略)沿岸防禦艦隊は海防艦(小型戰艦)三隻、飛行機搭載艦一隻、驅逐艦八隻、ヴェデット・ボートと掃海艇とで合計八隻、潜水艦十隻及び若干の雑艦艇から成立つてゐる。(中略)彼のスヴェリジ級(Sverige)の諸海防戰艦に對しては、或る程度の近代的改造が行はれてある。而して其の所要經費は五三,〇〇〇,クローネとなるであらう。(以下略)
- ^ イギリスは海防艦 (Coast Defense Ships) 、ドイツ海軍の分類ではPanzerschif(いわゆるポケット戦艦)もしくはKüstenpanzerschiff(沿岸防御装甲艦)となる。
- ^ 「スヴェリィジ」とも[2]。
- ^ ヴァイナモイネン級沿岸防備艦とも[4]。
脚注
- ^ ブラッセー海軍年鑑 1937, pp. 38–39原本51-52頁
- ^ 世界海軍大写真帖 1935, p. 66d(瑞典)戰艦スウェリィジ(一九一七年竣工)排水量七〇一〇噸、時速二二節半。前方煙筒は艦橋構造の妨げとならざるやう後方に傾斜せしめられ第二煙筒は舊態を變ぜず。
- ^ 世界海軍大写真帖 1935, p. 66c(瑞典)戰艦グスターフ五世號(一九二一年竣工)排水量七〇一〇噸、時速二二節半。一九二九~三〇年度の再建策の際煙筒及び上部構造が改變された。
- ^ 世界海軍大写真帖 1935, p. 67(芬蘭)沿岸防備艦イルマリネン(一九三三年竣工)排水量四〇〇〇噸。速力一六節。十吋高角砲の最大限仰高度五十度。
- ^ 橋本、海防戦艦 2022, p. 246.
- ^ 橋本、海防戦艦 2022, p. 247.
- ^ 橋本、海防戦艦 2022, p. 248.
固有名詞の分類
海防戦艦 |
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