シデ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/13 03:39 UTC 版)
世界のシデ
北半球の温帯に30種程度が知られる。東アジア地域に多く、特に中国に多い。欧米産は少なく、ヨーロッパに2種、北アメリカに1種が知られるのみである。日本にはサワシバ、クマシデ、アカシデ、イヌシデ、イワシデの5種が分布する。
- セイヨウシデ(ヨーロッパシデ) Carpinus betulus
- ヨーロッパの広い範囲に分布。温暖な気候を好み、標高600m以下にナラやブナと混生している。
- アメリカシデ Carpinus caroliniana
- 唯一アメリカ大陸に分布するシデでアメリカ東部に広く分布する。英名はブナに似ているということでblue-beech(青いブナ: アメリカシデはカバノキ科クマシデ属なので決してブナ科ブナ属のブナではないのだが、若い木の幹や枝は青みが買った灰色であるのでこう呼ぶのであろう)や木材の硬さに由来するironwood(硬い木)やmusclewood(筋肉の木)、American hornbeamなど。内陸産のものは大西洋岸産のものに比べて細長い葉を持ち変種扱いされる。アメリカの開拓民時代この枝を柄の中ほどから先方向に細く削いで先に折り曲げて柄となる枝にまとめ縛してり箒に使ったりする(参照:シートン著:「二人の小さな野蛮人」「芸術的博物学者の足跡(自叙伝)」「ウッドクラフトマニュアル」)
- サワシバ Carpinus cordata
- 中国と日本(東日本)に分布。湿潤肥沃な土地を好み樹高12m、直径60cm程度に育つ。樹皮は灰褐色。種小名cordataは「心臓形の」の意味があり[5]、その名の通り葉は明らかな心臓形(ハート形)、葉脈は15以上ある。
- Carpinus eximia
- Carpinus fargesii
- Carpinus hebestrom
- クマシデ Carpinus japonica
- 日本特産種で本州から九州にかけて分布。葉の葉脈は多くサワシバに似るが、より細く細長い印象を与える。形も同じくハート型に成るが、サワシバが必ず全ての葉がハート型に成るのに対し、本種ではそう成らないことがしばしばある[1]。冬芽もサワシバに比べると鋭い[6]。
- Carpinus kawakamii
- 台湾に分布。種小名は台湾を探検した日本人植物学者川上瀧彌(1871-1915)に由来。
- アカシデ Carpinus laxiflora
- 中国、朝鮮半島と日本に分布。樹高15mに達する。葉脈は少なめ、全体的にイヌシデに似るが若枝は無毛で果実は果苞に抱かれるという。果苞は片側にしか鋸歯を持たない[1]。和名の漢字表記は赤四手で枝が赤いことに因むとされる。種小名laxifloraは「疎らな花」の意味[5]。
- Carpinus orientalis
- ヨーロッパ東部から中東にかけて分布。種小名orientalisは「東方の」の意味[5]。
- Carpinus putoensis
- 中国固有種。1930年に中国浙江省の普陀山で発見された。1株しか見つかっておらず、中国で国家一級保護絶滅危惧種に指定されている。
- Carpinus rankanensis
- イヌシデ Carpinus tschonoskii
- 中国、朝鮮半島、日本(岩手県以南)に分布。樹皮は平滑、アカシデに似るが若枝には毛がある。果実に対して果苞が小さく、果実はほぼ露出した形となる。果苞は片側にしか鋸歯を持たない[1]。
- イワシデ Carpinus turczaninovii
- 中国、朝鮮半島と日本(西日本)に分布。乾燥によく耐え岩場に生えることから漢字表記は岩四手。若枝や葉柄には毛が目立つ。葉は他種に比べると明らかに小さく2-5cm程度。
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