コロンバイン高校銃乱射事件 抗うつ薬の影響の疑い

コロンバイン高校銃乱射事件

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/20 16:28 UTC 版)

抗うつ薬の影響の疑い

ハリスの遺体を検死したところ、体内からフルボキサミンの成分が大量に検出された。このフルボキサミンをはじめとする抗うつ薬(SSRI)は、24 歳以下の若年者が服用した場合に攻撃性や衝動性を増長するという副作用が報告されていたため、事件との関連が疑われた。実際、精神的な不安定さを抱えていたハリスは、精神科医からフルボキサミン(製品名「ルボックス」)を処方されていた[7]

事件後、被害者遺族らがルボックスを販売するソルベイ社を告訴したものの、ルボックスの服用と事件との因果関係は証明されなかった。ただし、米国内では裁判を通じてルボックスに対する風当たりが強くなり売り上げも激減し、2002年より販売中止となったが、数年後販売が再開された。日本においても附属池田小事件の犯人がSSRIを服用していたことが報道されている[8]

社会への影響など

同校の近くにはロッキード・マーティン社のミサイル工場があり、同校の生徒の両親の多くもこの工場で働いていた。事件当日は偶然、コソボ紛争にてアメリカ軍がコソボへ最大の爆撃を行った日でもあり、当時のビル・クリントン大統領は爆撃作戦の成功を伝える会見に出席したわずか1時間後に再び会見を開き、「痛ましい事件が起こった」と述べた。

全米ライフル協会は、コロラド州デンバーで、以前から予定していた銃所持の権利を主張する集会を中止せず開いた。事件から10日後のことだった。

事件の生存者や遺族の中にはPTSDを発症したり、自殺した者が現れた。

2012年に発生したオーロラ銃乱射事件2013年に発生したアラパホー高校銃乱射事件の現場は、コロンバイン高校から20-30キロ圏内という位置関係である[9]

2015年のバージニア・テレビクルー射殺事件では、犯人が本事件の実行犯を賞賛する犯行声明文を出している。

事件の慰霊碑

事件を扱った作品


注釈

  1. ^ 事件から生還したユーバンクスはその後、オピオイド依存など依存症に苦しめられながらも長期的な回復を実現していたが、37歳だった2019年5月18日に自宅で死亡しているのが発見された[4]

出典

  1. ^ Columbine High School massacre”. www.bbc.com. BBC. 2020年10月9日閲覧。
  2. ^ Columbine High School massacre”. www.history.com. ヒストリー =. 2020年10月9日閲覧。
  3. ^ Columbine High School Shootings Fast Facts”. edition.cnn.com. CNN. 2020年10月9日閲覧。
  4. ^ “米コロンバイン高銃乱射事件の生存者、自宅で死亡 37歳”. CNN.co.jp. CNN. (2019年5月20日). https://www.cnn.co.jp/usa/35137185.html 2019年5月21日閲覧。 
  5. ^ Where did they get the guns?”. www.indexjournal.com. www.indexjournal.com. 2020年10月9日閲覧。
  6. ^ 地方で開かれるガン・ショーとは、銃のガレージ・セールのようなもので、そこで銃を売るのに販売許可証は必要としない。
  7. ^ カニングハム久子「対応に苦悩するアメリカの教育現場」『教育ジャーナル2007年8月号』61頁。
  8. ^ 週刊新潮 2009年5月28日号
  9. ^ “米コロラドの高校で乱射事件 容疑者は自殺”. CNN (CNN). (2013年12月14日). https://www.cnn.co.jp/usa/35041410.html 2013年12月15日閲覧。 






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