ケルト神話
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/28 10:48 UTC 版)
ウェールズ神話
ウェールズの吟遊詩人の口承に基づく物語群。文字による記録は、現存する最古のものでも13世紀頃のもので、そのままそれを古代からの伝承と受け取る事はできないが、「魔力を持つ生首」などといったアイルランドのアルスター伝説との共通性、更には大陸のケルト人が残した彫刻から推測される「首への強い執着」との関連性等が認められる。
ウェールズ神話の主な資料となっているのは『マビノギオン』に収められたマビノギ四枝である。これは中世ウェールズ語の写本(ヘルゲストの赤本、レゼルッフの白本)が原典となっている。『マビノギオン』はイギリスのシャーロット・ゲストが19世紀に初めての完訳を行った際のタイトルが定着したものだが、「マビノギオン」という言葉は写本の1カ所だけにしか存在せず、写字生の誤写によるものと現在は考えられている。他の箇所ではマビノギと記述されている。マビノギオン、マビノギ四枝を参照。
のちにジェフリー・オブ・モンマスらにより、間接的にアーサー王物語として知られる騎士道物語群の着想のもととなった。
- アリアンロッド(Arianrhod)
- ケルトの主神ダヌ(ウェールズの地母神。ドンとも)の娘。月の女神で銀の車輪という意味の名を持つ。「時」の象徴でもあり出産にも関与する。ウェールズ人が崇拝した北かんむり座の守護神。ブリギッドと同一視されることもある。
- プイス(Pwyll)
- ウェールズ南西にある、ダヴェドの君主でウェールズの英雄とも言える存在。「知恵、分別」という意味の名を持つ。アンヌン(地下にある妖精の国)の王であるアラウンを助けて彼の宿敵ハヴガンを討ち、アンヌン全土を支配下に治めたことで自らも「アンヌウヴンの長」との称号を得る。後にリアンノンと出会い結婚し、彼女との間にプレデリという子どもをもうける。マビノギ第一の枝『ダヴェドの大公プイス』の中心人物。
- リアンノン(Rhiannon、ヒリアノン、フリアノンとも)
- 月と馬の女神で、「偉大なる女王」を意味するリガントーナに関連した名をもつ。金髪で美しい女神。忠実な白い牝馬に乗り死者の魂を地球から死後の世界へと導く。マビノギ第一の枝では、誰にも追いつけない魔法の馬と決して一杯にならない魔法の袋をもち、プイスに策略を授け彼の妻となるが、息子プレデリが行方不明となったためいわれのない子殺しの罪で罰を受ける。その後第三の枝に再登場し、マナウィダンと結婚する。
- マナウィダン(Manawydan)
- 海神スィール(Llyr)の息子。マナナーン・マクリール(Manannan mac Lir)とも呼ばれる魔術師。マビノギ第二の枝『スィールの娘ブランウェン』でブランウェンおよびブリテン王ブランの兄弟として登場し、第三の枝『スィールの息子マナウィダン』では中心人物となる。
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