エンジンオイル オイルフィルター

エンジンオイル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/08 15:23 UTC 版)

オイルフィルター

オイルフィルターとは、別名オイルエレメントとも呼ばれ、4ストロークガソリンエンジンやディーゼルエンジンに備えられたオイルのろ過装置である。

エンジンオイルにはエンジン内部で発生する汚れやゴミ、摩耗によって発生する金属成分をろ過するためにオイルフィルターが設けられている。現在ではほとんどの自動車やオートバイのエンジンにオイルフィルターが装備されているのが一般的だが、設計年代の古いエンジンや簡素な設計のエンジンではオイルフィルターがなく、より簡単な金網状のオイルストレーナー、もしくは、流入するエンジンオイルの圧力で受動的に回転する遠心分離器が付いているだけのものもある[注 3]

オイルフィルターは、オイル内に取り込まれていた金属粉やスラッジ(ホコリや燃焼カスなどの不純物)を濾し取ることでエンジンの損傷を防止するが、フィルターの目を細かくしてろ過能力を上げ過ぎると油圧上昇や目詰まりなどの不具合を引き起こすため、通常は50ミクロン以上のものをろ過するように設計されている。

多くのエンジンでは、オイルフィルターが目詰まりをした場合やオイルの粘度が高くなりすぎる冷間始動時を想定して、ある程度油圧が上昇するとフィルターをバイパスする機構を備えている。この機構はあくまで一時的なものであり、バイパス弁が開いた状態で常用することはエンジン保護のために好ましくないので、オイルとフィルターは定期的に交換するのが原則である。

オイルフィルターの交換

オイルフィルターは主に50ミクロン位までの異物を除去するように設定されている。新品時は目が粗く、50ミクロンより大きい異物を通す傾向がある。使用を続けると目が詰まって50ミクロン以下の異物も濾過するようになる。したがって、オイルフィルターを頻繁に交換すると、目が粗い状態でフィルターを常に使用することになり好ましくない。しかし、長時間交換せずにフィルターの目が詰まってバイパス弁が開く状態で使用することもエンジンにとって好ましくない。

従って、ある程度目詰まりした状態で、かつ、バイパス弁が開かない範囲での使用が推奨される。通常メーカーはオイル交換2回から数回に1回のオイルフィルターの交換が指定されている。

フィルターを交換した場合は、フィルター内部に含まれていた分のオイル量が不足するため、フィルターのサイズに応じてオイル交換のみの場合より余分にオイルを充填する必要がある。なお、自動車の取扱説明書に記載されているオイル充填量は、フィルターとオイルを共に交換する時の量を示している場合か、それに加えてオイルのみ交換する時の量を併記している場合が多い。オイルフィルターを交換する場合はパッキンにオイルを少量塗布し、まず手で締込み、最終的にトルクレンチで規定値まで締め込むことが望ましい。フィルターの締めすぎは、交換不能など、後々トラブルとなりやすい。

フィルターユニット全体を交換するカートリッジ式が普及する以前から、フィルターケース内部のろ紙(エレメント)のみを交換する方式があり、現在でも船舶産業用を始めとした大排気量エンジンでは一般的である。近年、環境負荷低減のため乗用車や軽量商用車でもこの方式を採用する例が増えており、欧州車ではこれが主流で、日本車でもトヨタ、日産のエンジンに関してはこの方式を採用する例がある。この場合、指定のパッキン(Oリング)も同時に交換する。


注釈

  1. ^ 日本ではJASO規格の軽量車用としてDL-1、重量車用としてDH-2が、アメリカではAPI規格のCJ-4以降、欧州のACEA規格では、乗用車、軽負荷商用車用のCカテゴリ全般と、高負荷商用車用のEカテゴリのE6、E9などがそれにあたる。
  2. ^ 例えば、三菱自動車は、かつてGDIエンジン専用に清浄性を強化したオイルを用意していた。
  3. ^ オイルストレーナーと遠心分離式は定期的に分解して洗浄する。

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