ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国 概要

ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/11 05:25 UTC 版)

概要

本作品は「ウルトラマンシリーズ45周年記念作品」第1弾として制作された。配給は前作『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』のワーナー・ブラザース映画から、再び松竹となっている。

前作で初登場したウルトラマンゼロを主役とし、前作の敵役・ウルトラマンベリアルが復活したカイザーベリアル率いるベリアル銀河帝国との決戦と、それに立ち向かうゼロの成長や、新たな仲間との出会いを描く。

本作品では仲間や親子の絆がテーマとなっており、ウルトラ戦士以外にも同じ円谷作品である『ミラーマン』、『ファイヤーマン』、『ジャンボーグA』に登場したヒーローや怪獣・宇宙人をモチーフとして新しくデザインされたキャラクターが登場する[2]。これらのキャラクターの登場はウルトラヒーローの群像劇であった前作との差別化を目指したことによるものである[3]が、結果的には1970年代に『ウルトラマンA』などで構想されていた銀河連邦の設定の再現となった[出典 1]。デザインは、キャラクターデザインの後藤正行が本作品とは別に描いていたものであった[6]

光の国のウルトラ戦士は前作から引き続き、光の国シリーズのウルトラ戦士たちが登場する[注釈 1]。また、前作に登場したウルトラマンダイナに続く光の国以外のゲストウルトラ戦士として、ウルトラマンノアも登場する。

キャスティング

物語を支えるゲストキャラクターに、ノアの登場作品である『ウルトラマンネクサス』で和倉英輔隊長を演じた石橋保[注釈 2]、西条凪副隊長を演じたさとうやすえ[注釈 3]、グレンファイヤーの原典である『ファイヤーマン』でSAFの千葉隊員を演じた平泉成[注釈 4]が出演する[2]

声優については、ウルトラマンゼロとカイザーベリアルの声を前作同様に宮野真守宮迫博之[7]がそれぞれ担当するほか、ゼロの新たな仲間であるウルティメイトフォースゼロの声は、過去に円谷作品に出演経験のある緑川光関智一神谷浩史が担当する[注釈 5]。他のウルトラ戦士もほとんどが当時のオリジナルキャスト、もしくは『ウルトラマンメビウス』以降の担当声優が声を担当する[2][注釈 6]。ウルトラマン80役の長谷川初範とユリアン役の萩原佐代子の出演は、『ウルトラマン80』30周年記念の一環であった[2][注釈 7]。長谷川はこれがウルトラシリーズの映画初出演であり、萩原がユリアンを演じるのは『ウルトラマン80』以来となる[2]。さらに、ミラーナイトの原典である『ミラーマン』の主人公である鏡京太郎を演じた石田信之も、二次元の民の声を担当している[2][3][注釈 8]。ナレーションは、これまでにもウルトラシリーズの作品のナレーションを何度か務めた石坂浩二が担当する。

上記のほか、九州朝日放送のローカル番組『ドォーモ』2010年12月8日放送分で組まれた本作品のメイキング特集との絡みにより、同番組のレポーターを務める小雪が惑星アヌーの住民役で本作品にゲスト出演している[8]

製作

製作期間が9か月しかなかったため、前作のようなオールグリーンバックによるCG背景はできず、ロケーション撮影を中心とした撮影方法がとられ[3]山口県福岡県北九州市熊本県でロケが行われた[2]。バラージ神殿のシーンは山口県の鍾乳洞秋芳洞で撮影され、映画史上初めて同洞窟の天井付近での撮影が行われた[2]

ストーリーや設定については、監督のアベらが打ち合わせの合間に鑑賞した映画『宇宙からのメッセージ』やアベが昔見ていた『火星のプリンセス』や『スター・ウォーズ』の影響も受けている[3][9]。また、前作に比べて本来のファン層に対象年齢を戻したのはアベが監督を務めた『ネクサス』のように大人向けの作品であったが、子供のための作品であることが根本にあるため、『ネクサス』最終回では子供たちの目線で終わらせており、アベは本作品はそこから繋がったものとしている[9]。原案では『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』の世界観がベースとなっており、少年が親を探して旅立ち、そこで女性やゼロの人間態と出会うが、女性はベリアルの妹という構想だったといい、完成作品でも冒険譚と子供の視点といった部分が反映されている[9]


注釈

  1. ^ ただし、昭和シリーズや『ウルトラマンメビウス』以外からの登場は『ウルトラマンマックス』のみで、前作登場した海外制作の『ウルトラマンG』、『ウルトラマンパワード』、『ウルトラマンUSA』や『ウルトラマンネオス』、『ウルトラマンボーイのウルころ』からのウルトラマンボーイは本作品には未登場。
  2. ^ 劇場パンフレットでは『ウルトラマンティガ』でのゲスト出演についても言及している。
  3. ^ 監督のアベユーイチは『ネクサス』にも参加しており、同作品の「絆」というテーマが本作品にも通じるものであるとの考えから両名を起用したことを述べている[3]
  4. ^ 劇場パンフレットでは『ウルトラマンガイア』や『ウルトラマンメビウス』での出演についても言及している。
  5. ^ ゼロ役の宮野も含め、全員がガンダムシリーズの主人公を演じた経験があり、公式ウェブサイトのブログや劇場パンフレットでも言及されている。
  6. ^ 本作品のウルトラの母、レオ、アストラ、メビウス、ヒカリ、キングには声優・俳優やその他のタレントが起用されていないため、一切の台詞は無し。レオの声を演じた真夏竜は、『ウルトラ銀河伝説外伝 ウルトラマンゼロVSダークロプスゼロ』に出演している。
  7. ^ 企画の岡崎聖は、『ウルトラマン80』30周年のイベントに両者が関わっていた流れから本作品への出演も依頼したことを述べている[3]
  8. ^ 劇場パンフレットでは『ジャンボーグA』でのゲスト出演についても言及している。企画の岡崎聖は、石田が『ミラーマン』40周年の挨拶で円谷プロダクションを訪れていたことから起用を提案しており、偶然の産物であったことを述べている[3]
  9. ^ 面接の段階で監督のアベユーイチとは雑談のようになり、満足そうな表情をされていたが、実はその時点で選ばれていたことも後で知ったという[11]
  10. ^ 『ウルトラマン列伝』104話でグレンファイヤーが「バランダ」というバランダーVが由来になったと思われる怪獣と戦ったと明言したほか、『新ウルトラマン列伝』第9話でファイヤーマンが取り上げられた際にバランダーVの登場回である第10話の映像が使用されている。
  11. ^ これを逆手に取り、ゼロはアナザースペースへの道しるべとして利用した。
  12. ^ 壊滅の描写は無く、ナレーションで説明されている。BDメモリアルボックスの特典映像には、カットされたシーンとしてウルトラ戦士たちによる壊滅シーンの映像が存在する。
  13. ^ 公開直前の2010年10月10日に死去したため、これが彼の遺作となった[2][3]
  14. ^ 「絆の章」・「炎の章」・「鏡の章」・「鋼の章」・「光の章」というサブタイトルで分割されている。詳細はウルトラマン列伝#放送日程を参照。
  15. ^ 「サロメの挑戦」、「ディメンジョンストーム」、「師弟共闘!」、「真の序章」、「運命の出会い」、「託された希望」、「仲間たちの絆」、「帝国の猛威」、「ウルティメイトフォースゼロ」というサブタイトルで分割されている。ただし、後述通り「サロメの挑戦」〜「真の序章」の前半は前日談の『ウルトラ銀河伝説外伝 ウルトラマンゼロVSダークロプスゼロ』の内容となっている。
  16. ^ ただし、使われたのは本作品のバージョンではなく『ウルトラマンゼロ外伝 キラー ザ ビートスター』で使われたバージョン。
  17. ^ カイザーベリアル仕様になっており、「(メ▼艸▼)」のようにちゃんと顔に傷がついている。

出典

  1. ^ キネマ旬報」2012年2月下旬決算特別号 206頁
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q パンフレット 2010
  3. ^ a b c d e f g h i j k l 超全集 2011, pp. 57–59, 「アベユーイチ・隠田雅浩・岡崎聖・渋谷浩康スペシャル座談会」
  4. ^ 超全集 2011, p. 61, 「造形チーム座談会」
  5. ^ 常識 2012, pp. 156–157, 「ウルティメイトフォースゼロ」.
  6. ^ 超全集 2011, pp. 66-67、76-77, 「後藤正行 竹内純インタビュー」
  7. ^ “宮迫 パワーアップして2年連続で悪のウルトラマン”. スポーツ報知 (報知新聞社). (2010年11月19日). オリジナルの2010年11月21日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20101121011929/http://hochi.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20101119-OHT1T00015.htm 2022年12月13日閲覧。 
  8. ^ 今夜のドォーモ”. どぉーも こゆきデス。. サイバーエージェント (2010年12月8日). 2022年12月13日閲覧。
  9. ^ a b c d ゼロVSベリアル 2020, pp. 78–79, 「CREATION of ZERO ゼロを作りし者たち Interview アベユーイチ[監督・脚本]」
  10. ^ a b c UPM vol.08 2020, p. 22, 「ラン/タイガ・ノゾム/伊賀栗レイト」
  11. ^ a b “『ウルトラマンデッカー』小柳友、急展開も「アガムスの行動の理由が僕の中ではしっくり来ている」 (1)”. マイナビニュース (マイナビ). (2022年10月15日). https://news.mynavi.jp/article/20221015-2481642/ 2022年12月20日閲覧。 
  12. ^ a b c 阿部雄一郎 (2021年1月29日). “ウルトラマンシリーズの新しい光・ゼロ! 小柳友&濱田龍臣 対談”. アニメージュプラス (徳間書店): p. 1. https://animageplus.jp/articles/detail/35166/1/1/1 2021年1月30日閲覧。 
  13. ^ a b c d e “『ウルトラマンデッカー』小柳友、急展開も「アガムスの行動の理由が僕の中ではしっくり来ている」 (2)”. マイナビニュース (マイナビ). (2022年10月15日). https://news.mynavi.jp/article/20221015-2481642/2 2022年12月21日閲覧。 
  14. ^ a b c 『ウルトラマンゼロ THE MOVIE』ついに本日公開!ウルトラマンサンタクロースも登場!!』(プレスリリース)円谷プロダクション、2010年12月23日https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000027.000000774.html2021年2月7日閲覧 
  15. ^ a b c 「ウルトラマンゼロ Blu-ray BOX」発売記念 『ウルトラマンゼロ THE MOVIE超決戦!ベリアル銀河帝国』ヒロイン・エメラナ役土屋太鳳インタビュー”. V-STORAGE. バンダイナムコアーツ (2021年5月25日). 2021年5月26日閲覧。
  16. ^ これからも、心からの愛を!”. 土屋太鳳オフィシャルブログ「たおのSparkling day」. Ameba (2017年1月20日). 2021年2月7日閲覧。
  17. ^ a b 阿部雄一郎 (2021年1月29日). “ウルトラマンシリーズの新しい光・ゼロ! 小柳友&濱田龍臣 対談”. アニメージュプラス (徳間書店): p. 2. https://animageplus.jp/articles/detail/35166/2/1/1 2021年1月30日閲覧。 
  18. ^ 超全集 2011, p. 43, 「二次元人の艦隊」.
  19. ^ a b c d e f g h i j k l UPM vol.08 2020, p. 25, 「怪獣、宇宙人、宇宙怪獣、ロボット」
  20. ^ 超全集 2011, p. 41, 「炎の海賊の艦隊」.
  21. ^ a b c d e f g h i 超全集 2011, pp. 65–77, 「The Art of ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国」
  22. ^ a b c d 超全集 2011, p. 54, 「ダークゴーネ アイアロン」
  23. ^ a b c 常識 2012, pp. 178–179, 「アイアロン」
  24. ^ a b c d e f 円谷プロ全怪獣図鑑 2013, pp. 373–374
  25. ^ a b c d e f g h GENERATOR 2022, pp. 22–40, 「ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国」
  26. ^ a b c d 常識 2012, pp. 176–177, 「ダークゴーネ」
  27. ^ 劇場版パンフレットや雑誌「宇宙船」132号付録の宇宙船イヤーブック2011、22頁での記述より。
  28. ^ 常識 2012, pp. 153、176.
  29. ^ a b ゼロVSベリアル 2020, pp. 119–120, 「ART of ZERO ウルトラマンゼロVSウルトラマンベリアル DESIGN WORKS Interview 後藤正行[キャラクターデザイン]」
  30. ^ 米谷佳晃『華麗なる円谷特撮デザインの世界 ミラーマン☆ジャンボーグA 米谷佳晃デザインワークス 1971〜1973』講談社、2014年4月14日、22頁。ISBN 978-4-06-364953-6 
  31. ^ 携帯サイトはダークゴーネが更新しているので、俺様の…”. Twitter (2010年12月6日). 2014年2月24日閲覧。
  32. ^ 常識 2012, p. 177, 「Inside Story 初期設定にあった幻の恐竜型幹部」.
  33. ^ a b c 超全集 2011, p. 55, 「レギオノイド」
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  35. ^ 超百科 2019, p. 60.
  36. ^ プロデューサ岡崎 (2011年1月13日). “ピックアップキャラクター「帝国機兵レギオノイド」!”. ウルトラマンゼロ THE MOVIE 公報ブログ. 「ウルトラマンゼロ THE MOVIE」製作委員会. 2016年8月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年12月13日閲覧。
  37. ^ 光の巻増補改訂 2022, p. 263.
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  47. ^ 光の巻増補改訂 2022, p. 261.
  48. ^ a b 超全集 2011, p. 56, 「ダークロプス」.
  49. ^ 『ウルトラマンオフィシャルデータファイル』のトピックインフォーションでの記述より[要文献特定詳細情報]
  50. ^ a b c d e パンフレット 2010, 「アベユーイチ監督から未来の観客の皆さんへのメッセージ」
  51. ^ 「ウルトラマンゼロ THE MOVIE」スペシャル放送企画!”. ウルトラマン列伝オフィシャルブログ. 円谷プロダクション (2011年10月29日). 2017年11月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年12月13日閲覧。
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  53. ^ 俺様大怪獣RR侵略の足跡”. 大怪獣バトルRR. バンダイ. 2016年7月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年12月13日閲覧。
  54. ^ “ウルトラマンゼロ:一日営業部長に就任 「明治プリン超BIG」をセールス”. MANTANWEB (MANTAN). (2010年12月16日). https://mantan-web.jp/article/20101216dog00m200024000c.html 2022年12月13日閲覧。 
  55. ^ “ガルネク発、この冬注目のゆるキャラ遂に登場!!”. うたまっぷNEWS (うたまっぷ). (2010年12月24日). https://news.utamap.com/music/105934/ 2022年12月13日閲覧。 

出典(リンク)






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