やんばる国立公園 指定区域

やんばる国立公園

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/03 14:44 UTC 版)

指定区域

国頭村、大宜味村、東村を合わせた3村は、以降「やんばる3村」と表記する。

「やんばる(山原)」とは、一般的に沖縄本島の北部地域を指し、「山々が連なり森の広がる地域」を意味する[4]沖縄海岸国定公園の一部がやんばる国立公園に編入され[5]、指定当初の面積は17,292ha(陸域13,622ha、海域3,670ha)で、やんばるの亜熱帯照葉樹林を中心とした区域となっている[6]。国頭村が陸域の75%を占める[7]。指定当時、米軍基地の北部訓練場は指定域から除外されていたが、米軍施設と隣接する国立公園の誕生は初めてであった[8]2018年6月29日には、北部訓練場返還地のうち約3,700haが、当公園に編入された[9]

以下に指定区域内の地名を示す[10]

保護規制区域

以下に特別地域と普通地域の指定面積を示した[12]。また環境省は、当公園の指定域の特別保護地区と第1種特別地区(総面積5,217ha)を世界自然遺産奄美・琉球」の推薦区域として、早くても2018年に登録を目指していた[13]。2016年7月1日に開かれた、NPO法人による討論会で、やんばる国立公園の規制区域の計画案について、特別保護地区の範囲拡大、さらに国と沖縄県、そしてやんばる3村が、やんばるの森を全面的に保護するべきだと述べ、徹底的な調査を求めた[14]。2018年には、世界自然遺産「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」(2017年に「奄美・琉球」から変更)の登録延期が勧告されたことを受けて、推薦区域の見直しの一環として当公園の指定域が拡張された[9]

  • 特別保護地区 - 3,009 ha
  • 第1種特別地域 - 5,001 ha
  • 第2種特別地域 - 4,413 ha
  • 第3種特別地域 - 3,857 ha
  • 普通地域 - 1,031 ha

事業計画

(出典[6][15]

  • 保護施設計画 - 照葉樹林の再生と成熟を促すため、自然再生施設3か所を設置。
  • 利用施設計画 - 単独施設(園地、宿舎、野営場、博物展示施設)を23か所、また車道4路線、歩道7路線を指定。

事務所

やんばる野生生物保護センター

2017年3月31日現在[16][17]。自然保護官事務所が置かれているやんばる野生生物保護センターは、1999年4月に開設され、やんばるの希少種または生態系に関する調査研究・保護に関する普及啓発、希少種の増殖事業を行っている[18]

  • 環境事務所 - 那覇自然環境事務所
  • 自然保護官事務所 - やんばる自然保護官事務所(やんばる野生生物保護センター内)
    • 所在地 - 沖縄県国頭郡国頭村字比地263-1

  1. ^ やんばる国立公園(英語版)”. 環境省. 2017年1月1日閲覧。
  2. ^ a b “やんばる国立公園が誕生”. 沖縄タイムス: p. 1. (2016年9月16日) 
  3. ^ a b “「やんばる国立公園」 きょう指定”. 沖縄タイムス: p. 1. (2016年9月15日) 
  4. ^ a b 木村麻里子「もうすぐやんばるに国立公園が誕生します!」、『國立公園 2016年6月号 No.744』(2016年6月1日)、p.28
  5. ^ “世界遺産登録できる? 豊かな森で軍事演習”. 琉球新報: p. 27. (2016年9月15日) 
  6. ^ a b c d 河野通治「やんばる国立公園の誕生について」、『國立公園 2016年10月号 No.747』(2016年10月1日)、p.2
  7. ^ a b 城間陽介 (2016年9月13日). “命の森 時代へ やんばる国立公園(上)”. 沖縄タイムス: p. 31 
  8. ^ a b “やんばる国立公園指定 「県民の大きな財産」”. 琉球新報: p. 33. (2016年9月16日) 
  9. ^ a b c “やんばる国立公園に米軍北部訓練場返還地を編入 世界自然遺産再推薦へ前進”. 沖縄タイムス+プラス. (2018年6月29日). オリジナルの2018年6月29日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20180629071151/http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/274924 
  10. ^ 環境省那覇自然環境事務所 (2016年9月). “やんばる国立公園” (PDF). 2017年1月1日閲覧。
  11. ^ a b “森生かす 山守る やんばる3村に国立公園”. 沖縄タイムス: p. 27. (2016年9月15日) 
  12. ^ やんばる国立公園 概要・計画書”. 環境省. 2018年9月30日閲覧。
  13. ^ a b 知花徳知; 下地広也 (2016年9月15日). “多様性育む命の森 「やんばる国立公園」誕生へ”. 沖縄タイムス: p. 15 
  14. ^ “特別保護区拡大を やんばる国立公園 シンポで議論”. 琉球新報: p. 24. (2016年7月3日) 
  15. ^ 平成28年環境省告示第88号「やんばる国立公園の公園計画を決定する件」、『官報 平成28年号外第204号』(2016年9月15日)、p.6
  16. ^ 「地方環境事務所・国立環境研究所・国民公園管理事務所・墓苑事務所等所在地一覧」、『2017 自然公園の手びき』(2017年)、p.351
  17. ^ 「国立公園区域における担当自然保護官事務所」、『2017 自然公園の手びき』(2017年)、p.353
  18. ^ 「野生生物保護センター」、『2017 自然公園の手びき』(2017年)、p.252
  19. ^ 市田則孝「やんばるの自然」、『國立公園 2016年10月号 No.747』(2016年10月1日)、p.3
  20. ^ 「沖縄基地「20%縮小」 日米政府中間報告(朝日新聞1996年4月15日夕刊 p.1)」、『朝日新聞縮刷版 1996年4月 No.898』(1996年)、p.681
  21. ^ 「北部訓練場 跡地を国立公園に 環境庁長官、検討方針(朝日新聞1996年4月16日朝刊 p.3)」、『朝日新聞縮刷版 1996年4月 No.898』(1996年)、p.703
  22. ^ a b 「国立・国定公園選定見直し 「奄美」「やんばる」指定へ(読売新聞2007年3月10日朝刊 p.2)」、『読売新聞縮刷版 No.583 2007年3月』(2007年)、p.562
  23. ^ a b “「やんばる国立公園」決定 北部訓練場除外 世界遺産へ弾み”. 琉球新報: p. 1. (2016年6月21日) 
  24. ^ a b 「国立・国定公園 新規指定 沖縄本島北部など候補に(毎日新聞2010年10月5日朝刊 p.22)」、『毎日新聞縮刷版 No.730 2010年10月』(2010年)、p.162
  25. ^ a b 「国立公園 新たに5候補(読売新聞2010年10月5日朝刊 p.33)」『読売新聞縮刷版 No.626 2010年10月』(2010年)p.237
  26. ^ 「国立・国定公園 6候補地を発表(朝日新聞2010年10月5日朝刊 p.33)」、『朝日新聞縮刷版 2010年10月 No.1072』(2010年)、p.247
  27. ^ “(全面広告)本島北部の魅力を発信! 「やんばる観光新時代」”. 琉球新報: p. 14. (2016年2月1日) 
  28. ^ “やんばるを国立公園に 県が同意 世界遺産登録へ前進”. 琉球新報: p. 30. (2016年2月27日) 
  29. ^ 「「やんばる 国立公園」に 環境省指定へ 沖縄県北部地域(毎日新聞2016年2月27日夕刊 p.7)」、『毎日新聞縮刷版 No.794 2016年2月』(2016年)、p.1071
  30. ^ 「沖縄やんばる 国立公園へ(読売新聞2016年2月27日夕刊 p.1)」、『読売新聞縮刷版 No.690 2016年2月』(2016年)、p.1367
  31. ^ a b “本島北部「やんばる国立公園」 環境省、15日に指定”. 沖縄タイムス: p. 2. (2016年9月10日) 
  32. ^ a b “やんばる国立公園 15日に正式指定”. 琉球新報: p. 5. (2016年9月10日) 
  33. ^ a b “やんばる国立公園が誕生 国頭、大宜味、東 環境保全に決意”. 琉球新報: p. 1. (2016年9月16日) 
  34. ^ “経済フラッシュ「国立公園指定へ やんばる応援缶」”. 琉球新報: p. 5. (2016年4月20日) 
  35. ^ “オリオンが限定記念缶 来月発売 1本1円環境保全に”. 琉球新報: p. 4. (2016年10月21日) 
  36. ^ “やんばる国立公園誕生 豊かな自然「守る」”. 琉球新報: p. 17. (2016年9月19日) 
  37. ^ a b “北部活性 期待と歓迎 やんばる国立公園 環境負荷の懸念も”. 沖縄タイムス: p. 31. (2016年9月16日) 
  38. ^ “環境省サイト 国立公園、多角的に紹介”. 琉球新報: p. 29. (2016年10月13日) 
  39. ^ a b c 山と渓谷社編集部「沖縄「やんばる国立公園」が指定、世界遺産登録めざす」、『山と渓谷 No.979 2016年11月号』(2016年)、p.23
  40. ^ 山川安雄「『やんばる国立公園』・・・地域から見たやんばるの自然と将来への期待」、『國立公園 2016年10月号 No.747』(2016年10月1日)、p.10
  41. ^ a b 城間陽介; 知花徳和 (2016年9月14日). “命の森 時代へ やんばる国立公園(中)”. 沖縄タイムス: p. 30 
  42. ^ 長嶺隆「やんばる国立公園 奇跡の森の野生動物たち」、『國立公園 2016年10月号 No.747』(2016年10月1日)、p.7
  43. ^ a b 長嶺隆「やんばる国立公園 奇跡の森の野生動物たち」、『國立公園 2016年10月号 No.747』(2016年10月1日)、p.8
  44. ^ a b c d 沖縄県農林水産部森林管理課「森林ツーリズムによるやんばる地域の振興を目指して」、『國立公園 2016年10月号 No.747』(2016年10月1日)、p.13
  45. ^ 「山原」、『日本歴史地名大系第四八巻 沖縄県の地名』(2002年)、p.420中段
  46. ^ “やんばる国立公園 きょう決定”. 琉球新報: p. 1. (2016年9月15日) 
  47. ^ a b c 沖縄県農林水産部森林管理課「森林ツーリズムによるやんばる地域の振興を目指して」、『國立公園 2016年10月号 No.747』(2016年10月1日)、p.14
  48. ^ 沖縄県農林水産部森林管理課「森林ツーリズムによるやんばる地域の振興を目指して」、『國立公園 2016年10月号 No.747』(2016年10月1日)、p.12
  49. ^ “特集「「やんばる国立公園」あす指定 国頭、大宜味、東村座談会」”. 琉球新報: p. 27. (2016年9月14日) 
  50. ^ 知花徳知 (2016年9月15日). “命の森 時代へ やんばる国立公園(下)”. 沖縄タイムス: p. 27 
  51. ^ “米軍、遺産登録に影響も”. 沖縄タイムス: p. 30. (2016年9月16日) 
  52. ^ “奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島の世界遺産一覧表への記載推薦に関する国際自然保護連合(IUCN)の評価結果及び勧告について(第二報)”. 環境省. (2018年5月4日). https://www.env.go.jp/press/105463.html 
  53. ^ 奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島の世界遺産一覧表への記載推薦に関する今後の方針について』(プレスリリース)環境省、2018年6月1日https://www.env.go.jp/press/105579.html 
  54. ^ 「米軍基地縮小案 日米行動委が最終報告(朝日新聞1996年12月2日夕刊 p.1)」、『朝日新聞縮刷版 1996年12月 No.906』(1997年)、p.81
  55. ^ 池田哲平 (2016年6月21日). “「やんばる国立公園」決定 北部訓練場問題が鍵”. 琉球新報: p. 3 
  56. ^ a b “北部訓練場過半が返還”. 琉球新報: p. 1. (2016年12月22日) 
  57. ^ a b “特集「北部訓練場の過半の返還に関する実施計画の案に対する知事意見書(全文)」”. 琉球新報: p. 6. (2016年11月17日) 
  58. ^ 安藤恭子 (2016年5月5日). “こちら特報部「沖縄「やんばる」国立公園計画」”. 東京新聞: p. 22 
  59. ^ 『官報 平成28年号外第204号』(2016年9月15日)、pp.5 - 6
  60. ^ 『官報 平成30年第7295号』(2018年6月29日)、pp.8 - 9





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