ふたなり 現実世界のふたなり

ふたなり

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/26 01:47 UTC 版)

現実世界のふたなり

先天的なものに半陰陽がある。ただし、それぞれの性器の発達が中途半端なことも多く、本人の性的志向もさまざまで、創作物の作った行き過ぎたイメージとは一致しない。

ニューハーフと呼ばれる職業トランスジェンダーの人々は、顧客の需要や性別適合手術の大変さから男根を残したまま女装や女体化を行う場合が多い。一般の女性ではなく、ニューハーフとの交際を望んだり、専門風俗店に訪れる顧客は男根と女性化した体の組み合わせを望む場合が多いのである。また、性別適合手術は戸籍変更が可能などのメリットがあるものの、手術の費用やリスクがある上に、術後のメンテナンスを日常的に行い、人工膣の癒着や雑菌繁殖を防ぐ必要があり、負担が大きい。そのため、あえて性別適合手術を行わない者も多い。

アダルトビデオに出演するふたなり女優は、ニューハーフや特殊メイクによるフェイクが多いと思われる。近年のアダルトビデオでは「ふたなりモノ」は定番のシチュエーションのひとつとなっており、多くは「レズモノ」の一種である。また「ふたなりの女性」自体にある種の性的欲求を求めるような趣向の作品もある。これらはふたなり専門のAV女優が演じるというより、人気AV女優がさまざまなシチュエーションをこなしていくなかで普通に「ふたなりモノ」に出演していることから、樹脂製男性器を装着するベルト状の下着(いわゆるペニバン)を使用している事例が多い。AVでは女優がつくりものの男性器をつけているような場合でも、モザイクがかけられていることが多い。作品によっては(擬似的に)射精する描写もあることから、それなりにこだわった装具が使われている。

創作物におけるふたなり

現代日本では、おもに性的な対象として半陰陽者を扱った成人向け漫画アダルトゲームアダルトビデオで見られる。半陰陽や両性具有といった言葉の婉曲表現として「ふたなり」という表現が使用されることが多く、登場人物の特性としてもジャンルそのものとしても用いられる。ふたなり描写を多数描く漫画家イラストレーターがいるなど、一部では萌えのキャラクター属性やフェティシズムともみなされている。一方、官能小説でふたなり描写を前面に押し出した作品は少ないが、結城映一作『淫妖伝』や山藍紫姫子作『アレキサンドライト』などがある。

漫画やゲームの世界では、両方の性器が正常に機能する、完全な両性具有として描かれることが多い。また、その性器の配置に関しては作家によって差異はあるものの、男性もしくは女性のどちらとも言えない形にすることが多い。ただし、肉体のベース・外見・性格は女性であることが多い。さらに体質として、絶倫、巨根(極端なケースではオートフェラチオなどができるほどの大きさの場合も)、まれに性器自体が柔軟、性器が複数ある(複根)、精液の量が異様に多いというケースもある。みさくらなんこつが描くアニメ・漫画が知られる。

成人向けのメディアでは医学的な半陰陽と思われる表現はほぼ皆無である。睾丸がある場合と無い場合の両方がある。また、呪術や人体改造、生物の寄生などで陰核が男性器へと変化するケースも見られる。まれに肉体改造などで陰核を肥大化させたものや、特異体質で陰核自体が特殊で細く長く柔らかいものを男性器として扱い挿入するケースもある。先天的にせよ後天的にせよ、キャラクターがこのような身体的特徴を持つにいたった経緯が作中でまったく説明されない場合も多い。日常ではありえない不条理なシチュエーションのひとつとして、唐突に描かれることも多い。

男の肉体をベースとしたふたなりとは異なる概念だが、ボーイズラブでは「受け」側の男性の肛門が半ば女性器のような配置や機能を有する(通称「やおい穴」)描写もあり、これはこのジャンル特有の奇異たる描写とされている。

ふたなりのベースとなる性別や相手側の性別で様々なシチュエーションが発生するが、成年コミック業界においては、レズビアン物+αの要素、あるいはシーメールの円滑表現という要素を持った魅力から、一定の読者ニーズが存在する。代表的な作品として「ふたなりっ娘の世界」(茜新社)や「ふたなりエクセレント!」(一水社)などのアンソロジー単行本が発売されている。

脚注


注釈

  1. ^ カタツムリのように、元から生殖器を両方とも備えた種は雌雄同体という。

出典

  1. ^ 「世界の奇書」自由国民社、57頁
  2. ^ (ドイツ語) Krauss, Friedrich Salomo et al. Japanisches Geschlechtsleben: Abhandlungen und Erhebungen über das Geschlechtsleben des japanischen Volkes ; folkloristische Studien, Schustek, 1965
  3. ^ Leupp, Gary P. (1995) (英語). Male Colors: The Construction of Homosexuality in Tokugawa Japan. Berkeley, California: University of California Press. p. 174. ISBN 9780520919198. https://books.google.com/?id=a6q-PqPDAmIC&pg=PA174&dq=futanari&ei=XlcnTLqUII7KjAeW-7V5&sa=X&oi=book_result&ct=result&resnum=2&ved=0CC0Q6AEwAQ#v=onepage&q=futanari&f=false 2016年3月11日閲覧。 
  4. ^ a b c d (ドイツ語) Krauss, Friedrich Salomo et al. Japanisches Geschlechtsleben: Abhandlungen und Erhebungen über das Geschlechtsleben des japanischen Volkes ; folkloristische Studien, Schustek, 1965
  5. ^ Leupp, Gary P. (1995) (英語). Male Colors: The Construction of Homosexuality in Tokugawa Japan. Berkeley, California: University of California Press. p. 174. ISBN 9780520919198. https://books.google.com/?id=a6q-PqPDAmIC&pg=PA174&dq=futanari&ei=XlcnTLqUII7KjAeW-7V5&sa=X&oi=book_result&ct=result&resnum=2&ved=0CC0Q6AEwAQ#v=onepage&q=futanari&f=false 2016年3月11日閲覧。 


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