かけはし
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/17 15:43 UTC 版)
衛星
通信総合研究所(CRL)と共同開発され、21GHz帯高度衛星放送システム受信部 および Ka/ミリ波帯高度移動体衛星通信システム中継器はCRLによって開発された。その他のミッション機器や衛星バスはNASDAによる開発であり、衛星バスにはきく6号(ETS-VI)で開発された2t級静止衛星バスを高性能化したものを使用している。宇宙実験・観測フリーフライヤ(SFU)の成果を利用した2翼式フレキシブル太陽電池パドルや、日本初の統合推進系、世界初のKa(21GHz)帯 200W級 進行波管電力増幅器(TWTA)およびミリ波(44GHz)帯 20W級 TWTAが特徴である。
軌道投入
打ち上げ
1998年(平成10年)2月21日16時55分にH-IIロケット5号機によって種子島宇宙センターから発射方位角92.5度で打ち上げられた。打ち上げ後23分30秒の第二段 LE-5A 第2回燃焼開始までは正常に行われたが同24分17秒に燃焼が停止、衛星の分離は予定どおり行われたものの予定より大幅に低い遠地点高度1,900kmの軌道となった。
軌道変更
初期軌道においては遠地点高度が低いために周期が短く、通信実験の大部分が実験困難であること、また、近地点高度が低いために衛星寿命が短くなってしまうことから、より多くの通信実験を行うため、アポジエンジン噴射による合計7回(50分間)の軌道変更が行われた。1回目の噴射で近地点高度を上昇させ、以後6回の噴射で遠地点高度を順次上昇させた。展開したフレキシブル太陽電池パドルのブームが塑性変形するのを防止するために、噴射前後にはパドルの収納・展開が行われている。最終的には1998年6月10日に準回帰軌道の実験運用軌道に投入された。
運用
初期軌道で衛星の状態が正常であると確かめられた後、前述の軌道変更が行われた。軌道変更終了前の6月8日には実験用アンテナの展開が行われている。6月11日から7月22日まで初期機能確認試験が行われ、ミッション機器中継器で発生したフォトカプラの異常の他は全機能が正常であることが確認された。その間に凖回帰軌道用に搭載プログラムが書き換えられ、7月23日から定常段階運用に入った。1999年(平成11年)1月31日に定常段階運用が終了するまでミッション機器の機能確認および26項目の通信実験が順次行われた。同8月6日、全ての運用を終了している。
- ^ 「日本の航空宇宙工業 50年の歩み」 第3章(1980~1999) p.179, 2011年1月閲覧
- ^ “構想45年、お蔵入りだった「日本独自軌道」復活の転機は「ごみ同然の失敗衛星」”. 産経ニュース. (2017年5月30日)
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