サンジュリー
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/04 01:38 UTC 版)
サンジュリー(仏: Singerie)とは、猿が人間の真似をする、つまり、文字通りの「猿真似」を描いた美術(絵画、装飾、陶磁器など)のこと。豪華に着飾って人間のふるまいを真似る猿たちを面白おかしく風刺として描くのが一般的。サンジュリーはフランス語で「真似」という意味。古くからあるが、18世紀のロココ期に頂点を極めた。
歴史
古代エジプトの時代には既に存在した。エジプト学者のシリル・オールドレッドはエジプト第18王朝後期の特徴として、猿への愛着を指摘している[1]。
ヨーロッパ中世になると、「堕ちた人間性のシンボル」として現れる[2]。また、装飾写本の余白に人間の真似をする猿が描かれている[3][4]。
猿に人間の服を着せ、人間のふるまいをさせる滑稽画は、フランドル絵画で生まれた。1562年にピーテル・ブリューゲルが『二匹の猿』という絵を描いたのをきっかけに、1575年頃、版画家のピーター・ヴァン・デル・ボルヒトが猿の絵をシリーズにして、これが大当たりした。以後、16世紀から17世紀にかけて、フランス・フランケン2世、ヤン・ブリューゲル (父)、ヤン・ブリューゲル (子)、セバスチャン・ヴランクス、ヤン・ファン・ケッセル (父)が同様の絵を描いた。さらに、ダフィット・テニールス (子)と弟のアブラハム・テニールスによりジャンルとして発展した。17世紀後半には、花の絵や静物画で有名なニコラエス・ヴァン・ヴェンデルまで猿の絵を描いている[5]。
18世紀、猿の絵はフランスで人気となる。デザイナーのJean Bérain the Elderが壁の装飾に、家具職人のアンドレ・シャルル・ブールフランスが家具に[6]、それぞれ服を着た猿を描き、アントワーヌ・ヴァトーは猿真似が癖になっている芸術と芸術家を茶化した『猿の彫刻家』という絵を描いた[7]。
さらにサンジュリーはヨーロッパ中に広がる。ドイツのマイセンで作られた磁器「猿の楽隊」は大ヒットし、イングランドのチェルシー磁器工房などで真似された。
他には、フランスのシャンティイ城、イングランドのバークシャーのモンキー・アイランドにあるモンキー・アイランド・ホテルのモンキー・ルームの天井の猿の絵[8]が有名である。
18世紀が人気のピークだったが、19世紀になっても、ベルギーのザカリー・ノテルマン、エマニュエル・ノテルマン、イングランドのエドウィン・ランドシーア、エドモンド・ブリストウ、フランスのアレクサンドル=ガブリエル・ドゥカン、ドイツのパウル・フリードリヒ・マイヤーハイムらがサンジュリーを描いている[9]。
作品例
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ジャン=バティスト・デエ、「お猿の画家」(18世紀)
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パウル・フリードリヒ・マイヤーハイム『バイオリンを弾くサル』(1863)
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エマニュエル・ノテルマン「音楽を奏でる猿」(19世紀初め)
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エドウィン・ランドシーア(1827)
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ピーター・ヴァン・デル・ボルヒト『育児室』(1585年頃、ハーバード美術館蔵)
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エドモンド・ブリストウ『向い合う2匹』(19世紀)
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ウィリアム・ホルブルック・ビアード
「アダム以前(Pre-adamite)」(19世紀末)
脚注
- ^ Cyril Alfred, 1955. New Kingdom Art in Ancient Egypt
- ^ Jean H. Duffy (2003). Signs and Designs: Art and Architecture in the Work of Michel Butor. Liverpool University Press. pp. 267–. ISBN 978-0-85323-788-4
- ^ Nicole Garnier-Pelle; Anne Forray-Carlier; Marie-Christine Anselm (2011). The Monkeys of Christophe Huet: Singeries in French Decorative Arts. J. Paul Getty Museum. ISBN 978-1-60606-065-0
- ^ Charles Taylor (1807). The Literary Panorama. pp. 427. "The prayer book written for Charles V. of Austria by his mistress, had, on every page, monkeys mimicking religious ceremonies, in the most incongruous manner"
- ^ Bert Schepers, Monkey Madness in Seventeenth-Century Antwerp, in: The Rubenianum Quarterly, 2012 2, p. 5
- ^ R.H. Randall Jr, "Templates for Boulle Singerie" The Burlington Magazine 111 No. 798 (September 1969), pp. 549-553.
- ^ Lucia Impelluso (2004). Nature and Its Symbols. Getty Publications. pp. 201–. ISBN 978-0-89236-772-6
- ^ テムズの小島にたたずむモンキー アイランド ホテルを征く(ONLINEジャーニー) 2020-01-09閲覧
- ^ Zacharias Noterman, Les Plaideurs ('The Litigants') at Art of the Print
外部リンク
- "The Singerie: Monkeys acting as Humans in Art" Public Domain Review article with many images
- Depictions of monkeys in medieval manuscripts Pinterest
- サンジュリーのページへのリンク