easyMarkets
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/09/15 23:51 UTC 版)
| 種類 | 非上場企業 |
|---|---|
| 本社所在地 | キプロス、リマソール |
| 設立 | 2001年(Easy Forexとして) |
| 業種 | 金融サービス |
| 事業内容 | 外国為替、CFD、商品、株式、暗号資産のオンライン取引 |
| 代表者 | Koula Lamprou(CEO)[1] |
| 所有者 | Blue Capital Markets Ltd |
| 外部リンク | www |
| 特記事項:旧社名:Easy Forex | |
easyMarkets(小文字表記、旧称:Easy Forex)は、非上場のオンライン証券会社で、外国為替市場(FX)や、コモディティ、株価指数、株式、暗号資産を対象とした差金決済取引(CFD)を提供している。2001年に設立され、本社はキプロスのリマソールにある。
easyMarketsグループは、キプロス証券取引委員会(CySEC)、オーストラリア証券投資委員会(ASIC)、セーシェル金融サービス庁(FSA)、イギリス領ヴァージン諸島金融サービス委員会(FSC)、および南アフリカ金融セクター行為監督機構(FSCA)の規制を受ける各法人を通じて事業を展開している。かつては米国で登録(2005年 - 2013年)しており、イギリスでも認可を受けていたが、その認可は2022年に取り消された。
easyMarketsは、マーケティング戦略の一環としてスポーツスポンサーシップを活用しており、レアル・マドリードとの提携実績を有している。また、同社は過去に複数の法的紛争に関与しており、2000年代後半から2010年代初頭にかけて、取引慣行に関する疑義をめぐり、イスラエルにおいて訴訟の提起および警察当局による捜査の対象となった経緯がある。
歴史
easyMarketsは、2001年にEasy Forexの名称で設立された[2]。2003年にはオーストラリアへ事業を拡大した[3]。さらに2005年には、Freeze Rateと呼ばれる機能を導入し、市場の変動が激しい局面において、ユーザーが為替レートを一定時間固定できる仕組みを提供した[4]。
2007年、Easy Forex Trading Ltdは、MiFID(金融商品市場指令)の枠組みの下、キプロス証券取引委員会(CySEC)より規制上の認可を取得した[5]。翌2008年には、米国における事業運営の承認を得た[6]。しかしながら、2010年から2013年にかけて、小口外国為替業者に対する資本要件の強化を受け、Easy Forexは米国での事業を停止した。その後、同社は米国におけるライセンスを返上し、市場から撤退した[7][8][9]。
2016年1月、Easy Forexは、取扱商品が外国為替取引以外にも拡大したことに伴い、easyMarketsへとブランド名称を変更した[10]。同年には、一定の時間内であれば手数料の支払いにより取引の取消しを可能とするリスク管理機能dealCancellationを導入した[11]。
その後の数年間において、同社は株式およびデジタル資産を対象とするCFD(差金決済取引)へと取扱商品を拡大した。2018年には、個人向けCFD取引に関するレバレッジ規制の変更を受け、ポーランドにおける事業を終了した[12]。2020年には、セーシェル金融サービス庁(FSA)よりライセンスを取得した[13]。また同年、レアル・マドリードとのスポンサー契約を締結しており、同クラブは当該パートナーシップが2024年12月に更新されたことを公表している[14]。
2021年、同社はマイクロビットコイン(μBTC)口座を導入するとともに、業績低迷への対応として人員削減を実施したと報じられている[15][8]。また同年、MetaTrader 4を通じて米国および欧州株式へのアクセスを追加し、TradingViewプラットフォームの統合を行った[16][17]。2022年には、イギリス領ヴァージン諸島において規制上の認可を取得するとともに、MetaTrader 5における提供内容を拡充し、変動スプレッドの導入に加え、暗号資産および株式関連商品の取扱いを拡大した[18][19][4]。
2024年6月、easyMarketsは、市場分析を支援することを目的としたAIベースのツールai.easymarkets.comを公開した[20]。2024年8月には、南アフリカのFSCAよりライセンスを取得した[21]。2025年時点において、同社は複数の資産クラスにわたり、275種類以上の金融商品を提供していると報告している[22][17]。
事業体制
easyMarketsは、キプロスにおいて設立された持株会社であるBlue Capital Markets Ltdの傘下にある[23]。同グループは複数の規制対象法人を通じて事業を展開しており、キプロスではCySEC[5](キプロス証券取引委員会)の認可を受けたEasy Forex Trading Ltd、オーストラリアではASIC(オーストラリア証券投資委員会)の豪州金融サービスライセンス(AFSL 246566)を有するeasyMarkets Pty Ltdなどが含まれる[24]。また、セーシェル(FSA)およびイギリス領ヴァージン諸島(FSC)におけるオフショア・ライセンスの枠組みの下でも事業を展開しており、2024年には南アフリカのFSCAより営業ライセンスを取得している[25]。なお、easyMarketsは2013年に規制強化を受けて米国市場から撤退しており、現在は米国において事業を行っていない[7]。
easyMarketsは、外国為替取引および商品、株価指数、株式、暗号資産を対象とするCFDにおける個人向け取引サービスを提供している。取引プラットフォームとしては、自社開発のウェブインターフェースおよびモバイルアプリに加え、MetaTrader 4(MT4)、MetaTrader 5(MT5)、ならびにTradingViewとの連携に対応している[16]。また、2024年以降は、市場分析を支援するAI搭載ツールの提供も開始している[20]。
easyMarketsは、「easyTrade」と呼ばれる簡易取引インターフェースを提供しており、ユーザーは証拠金やストップロスの設定を行うことなく、あらかじめリスク額および想定リターンを設定した取引を行うことが可能である[4]。また、一部の通貨ペアおよび商品を対象として、バニラ・オプション取引も提供している[26]。
個人投資家向けに設計された各種リスク管理機能を提供しており、固定スプレッド、一部プラットフォームにおける保証付きストップロス注文、ならびにゼロカット(ネガティブバランス保護)などが含まれる。また、「dealCancellation」機能により、約定後の一定時間内であれば、手数料の支払いを条件として取引を取消すことが可能である[11]。
2025年8月、easyMarketsの最高マーケティング責任者(CMO)であったGaren Meserlian氏が最高執行責任者(COO)に就任した[27]。さらに、2025年11月下旬には、Koula Lamprou氏が同社の最高経営責任者(CEO)に任命された[1]。
スポンサー活動
easyMarketsは、スポーツスポンサーシップおよびプロモーションキャンペーンをマーケティング戦略の一環として活用している。
2010年代前半には、当時「Easy Forex」として事業を展開していた同社が、オーストラリアのナショナルラグビーリーグ(NRL)所属のカンタベリー・バンクスタウン・ブルドッグスをスポンサーした[28][29]。
2019年8月には、スペインのサッカークラブであるレアル・ベティスと、3年間の胸スポンサー契約を締結した[30][31]。続いて2020年9月には、レアル・マドリードと3年間のスポンサー契約を結び、同クラブの公式オンライン・トレーディング・パートナーとなった[32]。2024年12月には、レアル・マドリードCFがこの提携の更新を公表している[14]。
さらに2024年には、フリースタイルフットボール大会「xBar Cup」を2025年に再開すると発表した。これは、同社が展開するプロモーション施策の一環として実施されるものである[33]。
法的事項
イスラエルでの訴訟および調査
2007年11月、Globesは、Easy Forexに対して提起された訴訟において、顧客が損失を出した場合にはブローカーにインセンティブを支払い、利益を上げた場合には罰金を科していたとする主張があったと報じた。これに対し同社は、外国為替取引にはリスクが伴うことを顧客に警告していたと述べている[34]。
2010年6月、Finance Magnatesは、イスラエルで提起された訴訟について報じた。そこでは、同社が顧客に対して誤解を招く投資助言を行い、損失が発生するよう価格提示を操作したなどと主張されていた。報道によれば、原告の一人は同社で従業員として働いた経験があり、訴訟で引用された音声記録を作成したとされている[35]。これらの疑惑はイスラエルの経済紙Calcalistでも取り上げられ、録音された発言や訴訟書面の抜粋が紹介された。そこには、顧客の損失に連動した従業員へのインセンティブに関する主張や、訴状で引用された「顧客の大多数が損失を出した」とする推定も含まれていた[36]。
2011年、Globesは、イスラエル警察がEasy Forexに対する詐欺疑惑を捜査していると報じた。この疑惑は、顧客向けの集団訴訟が5億新シェケルの損害賠償を求めた案件に関連しており、原告側は、同社が顧客の損失によって利益を得ていたと主張していた[37]。これに対し、Finance Magnatesは、顧客からの苦情を受けて刑事捜査が開始されたものの、その後、警察が当該苦情申立人に対し、事件は「犯罪の成立要件がない」として終了したと通知したと報じた。また、異議申立てにより再捜査が求められ、その後、警察は当該案件を再検討するための特別チームを編成したとされている[38]。さらに別の訴訟では、元顧客2名(Benjamin Tiktuk氏およびArie Levy Dash氏)が、200万新シェケルの支払いを求めて提訴し、Easy Forexが取引システム上の取引の大半において相手方当事者であることを認識していなかったと主張した[37]。
2014年の概説では、Finance Magnatesは、Easy Forexがイスラエルで繰り返し訴訟に巻き込まれてきたとし、関連する一部の手続きでは、裁判外で和解が成立したとするイスラエルメディアの報道にも言及した[39]。たとえばHaaretzによれば、ある顧客であるダン・ハロニアン医師が約50万米ドルの損失を理由にEasy Forexを提訴し、その件はほぼ同額で裁判外和解に至ったと報じられている[40]。
EasyGroupとの商標紛争
2024年、easyJetと関連するEasyGroupは、Easy Forex Trading LimitedおよびBlue Capital Markets Limited(easyMarketsとして事業展開)に対し、アイルランドにおいて商標権侵害およびパッシングオフに関する訴訟を提起した。これに対し高等法院は、アイルランドは適切な法廷地ではなく、また同国の消費者を標的としていたことを裏付ける十分な証拠も認められないとして管轄を否定し、商標権に関する本案判断を行わないまま訴訟を却下した[41][42]。
脚注
- 1 2 “easyMarkets leadership transition sees departure of CEO Nikos Antoniades”. FX News Group (2025年11月25日). 2026年9月15日閲覧。
- ↑ “easyMarkets Named Best Forex/CFD Broker at TradingView Broker Awards 2023”. Finance Magnates (2024年2月19日). 2025年9月15日閲覧。
- ↑ “Current details for ABN 73 107 184 510 (EASYMARKETS PTY LTD)”. Australian Business Register. 2026年9月15日閲覧。
- 1 2 3 “High Trading Volumes Amid Market Shifts: easyMarkets Q2 2024”. Finance Magnates (2024年7月31日). 2025年9月15日閲覧。
- 1 2 “Easy Forex Trading Ltd”. CySEC. 2026年9月15日閲覧。
- ↑ “BASIC | NFA”. www.nfa.futures.org. 2026年9月16日閲覧。
- 1 2 “CFTC Posts February FCM Financials - Easy Forex Exits the US”. Finance Magnates (2013年4月12日). 2025年9月15日閲覧。
- 1 2 Saks McLeod, Andrew (2014年1月19日). “Exclusive: Easy Forex Wields The Axe As Series Of Employees Are Made Redundant”. Finance Magnates. 2026年9月15日閲覧。
- ↑ “Easy Forex to withdraw its status as a US clearing FDM”. Finance Magnates (2010年7月19日). 2026年9月15日閲覧。
- ↑ “EasyForex rebranding as EasyMarkets”. LeapRate (2016年1月20日). 2025年9月15日閲覧。
- 1 2 Abdel-Qader, Aziz (2016年10月3日). “Exclusive: Undo Your Losing Trade! easyMarkets CEO Discusses dealCancellation” (英語). Finance Magnates. 2026年9月15日閲覧。
- ↑ Abdel-Qader, Aziz (2018年5月29日). “Exclusive: easyMarkets Closes Polish Branch 'Easy Forex Trading Sp Zoo'”. Finance Magnates. 2025年9月15日閲覧。
- ↑ “easyMarkets Acquires Third Regulatory License from FSA Seychelles”. Finance Magnates (2020年9月16日). 2025年7月24日閲覧。
- 1 2 “easyMarkets and Real Madrid renew collaboration agreement”. www.realmadrid.com. 2026年9月15日閲覧。
- ↑ “easyMarkets Launches μBTC Account”. Finance Magnates (2021年5月31日). 2025年9月15日閲覧。
- 1 2 “easyMarkets Adds US and European Listed Shares on MT4”. Finance Magnates (2021年6月3日). 2025年9月15日閲覧。
- 1 2 “easyMarkets integrates with TradingView platform”. FX News Group (2021年10月11日). 2025年9月15日閲覧。
- ↑ “Ohad Golan Steps Down as easyMarkets CMO”. Finance Magnates (2023年1月2日). 2025年9月15日閲覧。
- ↑ “easyMarkets Gains a New License from British Virgin Islands Regulator”. Finance Magnates (2021年6月10日). 2025年4月9日閲覧。
- 1 2 “iTWire - Introducing easyMarkets Ai: instant, real-time market analysis” (英語). itwire.com (2024年6月7日). 2026年9月15日閲覧。
- ↑ Kirui, Jared (2024年8月6日). “South Africa's Regulator Approves easyMarkets Operating License”. Finance Magnates. 2026年9月15日閲覧。
- ↑ “easyMarkets Wins 'Broker of the Year 2024' and TradingView's 'Best of the Best'” (英語). Financial and Business News | Finance Magnates (2025年2月7日). 2026年9月15日閲覧。
- ↑ “EasyJet firms can't sue Cyprus company in Ireland for using 'easy' in title”. Breaking News (2024年10月16日). 2026年9月15日閲覧。
- ↑ “ASIC Professional Registers – EASYMARKETS PTY LTD (AFSL 246566)”. ASIC. 2026年9月15日閲覧。
- ↑ “Exclusive: easyMarkets gets South Africa FSCA license”. FX News Group (2024年8月6日). 2026年9月15日閲覧。
- ↑ “easyMarkets Review: What Are the Award-Winning Broker's Weaknesses?” (英語). Commodity.com. 2026年9月15日閲覧。
- ↑ “easyMarkets Moves Chief Marketing Officer Garen Meserlian Into Chief Operating Officer Role”. Finance Magnates (2025年8月27日). 2026年9月15日閲覧。
- ↑ “Bulldogs sign season-ending shorts sponsor”. SportsPro (2012年7月20日). 2026年9月15日閲覧。
- ↑ “easyMarkets Celebrates 20+ Years of Excellence in the Australian Financial Market”. Finance Magnates (2024年5月20日). 2026年9月15日閲覧。
- ↑ “Real Betis secure €2m-a-year shirt sponsorship with Easy Markets”. SportsPro (2019年8月19日). 2026年9月15日閲覧。
- ↑ Skinner, Celeste (2019年8月19日). “easyMarkets Inks Sponsorship Deal with Real Betis Balompié”. Finance Magnates. 2026年9月15日閲覧。
- ↑ “easyMarkets to sponsor Real Madrid: Official Online Trading Partner”. FX News Group (2020年9月1日). 2026年9月15日閲覧。
- ↑ “easyMarkets Launches xBar Cup 2025 with Grand Finale at Real Madrid Valdebebas”. Finance Magnates (2024年10月18日). 2026年9月15日閲覧。
- ↑ “Suit alleges Easy Forex rewards brokers for client losses”. Globes. 2007年11月19日. 2025年9月15日閲覧.
- ↑ Greenberg, Michael (2010年6月22日). “Easy Forex slapped with a large lawsuit by a former client”. Finance Magnates. 2025年9月15日閲覧。
- ↑ Sheffer, Hadas (2010年6月16日). “מאחורי הקלעים של חברת הפורקס הגדולה בישראל: "יותר מ-90% מהמשקיעים מפסידים"”. Calcalist. 2026年9月15日閲覧。
- 1 2 “Police probe alleged fraud by Easy Forex”. Globes (2011年6月14日). 2026年9月15日閲覧。
- ↑ Greenberg, Michael (2011年6月14日). “Easy Forex put under criminal investigation”. Finance Magnates. 2026年9月15日閲覧。
- ↑ Mizrahi, Avi (2014年9月14日). “Easy Forex Might Face 500 MLN Shekel Class Action Lawsuit, Israeli Paper Estimates”. Finance Magnates. 2026年9月15日閲覧。
- ↑ Menahem, Sarit (2011年1月25日). “Bottom Shekel Monte Carlo on the Yarkon”. Haaretz. 2026年9月15日閲覧.
- ↑ “High Court: Commercial Court declines jurisdiction of easyJet intellectual property case”. Irish Legal News. 2024年10月17日. 2026年9月15日閲覧.
- ↑ “High Court in Dublin refuses to hear case against company over use of 'easy' in name”. The Irish Independent (2024年10月17日). 2026年9月15日閲覧。
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