Web日記
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/31 08:32 UTC 版)
Web日記(ウェブにっき)は、主に個人がWWW上で不特定多数に公開する日記の総称であり[1]、個人サイトや専用の日記ホスティングサイト上でWeb上に公開されるものである。
概要
オンラインでの日記は少なくとも1994年から存在している。こうした日記を扱うコミュニティの形成に伴い、これらの成果物は英語圏では専らオンラインジャーナル(英語: online journals)という名前で人口に膾炙している。英語において、今日では専らWeb日記はブログ(英語: blogs)と呼ばれることが殆どではあるが、Web日記と個人ブログ(英語: personal blogs)を区別して扱う者もいる。Web日記の執筆者達によるウェブサイト上の更新の継続とハイパーリンクの組み合わせが”Weblog”(ウェブログ)という英単語を生み出し、最終的にはこの用語が短縮されることで”Blog”(ブログ)という単語が形成された。
Web日記では、日常での体験、社会評論、不満、詩、散文、社会通念上禁じられる類の思考、そして従来における手書きの日記やジャーナルに見られるあらゆる内容を人々は記す。読者によるコメントやインターネットコミュニティ上での投稿を通じたWeb日記サイトへの参加を許可している場合も多い。
現代のWeb日記プラットフォームでは、執筆者はパーソナルコンピュータ、タブレットコンピュータ、あるいはスマートフォンといった様々な機器から日記を投稿できる。日々の気分を評価したり、個人的な会話に他者を誘ったり、カウンセリングを受けることも執筆者は可能である。
日本における「Web日記」
日本におけるWeb日記の文化はインターネットの普及から程なくしてみられ、1990年代後半から個人が日記を投稿する形式のウェブサイトの数が増加した[1][2]。そのため、既に1995年には、個人によるWeb日記サイトのみを収集したリンク集である「津田日記リンクス」(個人運営のWebリンク集)が登場するほどであり、2001年にはばうわうによる同様のリンク集である日記才人が登場した。また、石井健一らによる2000年の研究では、当時の個人サイトの実に4分の1にWeb日記がみられたという[3]。日本においては、Web日記上ではプレイしたゲームや視聴したアニメ、育児、平凡な日常などが綴られていることが多く、とりわけ育児については内容が充実したWeb日記サイトも多かったとされる[1]。
衰退
個人サイトを中心としたWeb日記文化は、ブログやSNSの普及により衰退した[3]。Web日記を綴るにはHTMLなど専門的な知識の学習が必要であったが、ブログサービスやSNSにおいてはそうした手間をかける必要がなかったことも一因とされる[2]。また、スマートフォンの普及によって、従来においてパーソナルコンピュータがWebメディアを閲覧する機器として第一に選ばれなくなったことも影響している[4]。しかし、日本の日記ブログ的なブログ文化やSNSの日記的な利用に象徴されるように、Web日記文化の影響はその後も残存している[3]。
脚注
- ^ a b c イミダス・集英社 (1998年). “WEB日記 時事用語事典 情報・知識&オピニオン imidas”. 情報・知識&オピニオン imidas. 集英社. 2025年10月31日閲覧。
- ^ a b 「ブログ」『日本大百科全書(ニッポニカ)』。コトバンクより2025年10月31日閲覧。
- ^ a b c 木村 忠正 (2025年10月9日). “個人ホームページが「衰退した」といわれる理由と、「Web日記」文化について【フォーカス】”. レバテックLAB. レバテックラボ編集部. 2025年10月30日閲覧。
- ^ 大森望「1995年、最強個人メディアの誕生(朝日新聞デジタル20周年特集)」『朝日新聞』2015年8月10日。2025年10月31日閲覧。
関連項目
外部リンク
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