ランベルトのW関数

ランベルトのW函数(ランベルトのWかんすう、英: Lambert W function)あるいはオメガ函数 (ω function)、対数積(product logarithm; 乗積対数)は、函数 f(z) = zez の逆関係の分枝として得られる函数 W の総称である。ここで、ez は指数函数、z は任意の複素数とする。すなわち、W は z = f−1(zez) = W(zez) を満たす。
上記の方程式で、z' = zez と置きかえれば、任意の複素数 z' に対する W 函数(一般には W 関係)の定義方程式
複素数平面におけるランベルト W 函数の主枝。負の実軸に沿った分岐切断は −1/e を端点に持つ。この図では、点 z における色相を W の偏角で、輝度を W の絶対値で決定している。 用語について
二つの主枝 W0, W−1 ランベルト W-函数はヨハン・ハインリヒ・ランベルトに因んで名づけられた。Digital Library of Mathematical Functions では主枝 W0 を Wp, 分枝 W−1 は Wm と書いている。ここでの表記の規約(つまり W0, W−1)はランベルト W に関する標準的な参考文献Corless et al. (1996)[2]に従った。
歴史
ランベルトは初め「ランベルトの超越方程式」に関連して1758年に考察した[3]。これはレオンハルト・オイラーの1783年の wew の特別な場合を論じた論文[4]に繋がる。
ランベルト W-函数は、特殊化された応用において、十年程度毎に「再発見」されてきた[要出典]。1993年には、等電荷に対する量子力学的二重井戸型ディラックデルタ函数モデル(物理学における基本問題)の厳密解をランベルト W-函数が与えることが報告されたとき、コーレスら計算機代数システムMapleの開発者たちはライブラリを精査して、この函数が自然界に遍く存在することを発見した[2][5]。
微分積分学
導函数
数値的評価
W 函数はニュートン法を用いて近似することができて、w = W(z)(したがって z = wew)に対する逐次近似は
- National Institute of Science and Technology Digital Library - Lambert W
- Weisstein, Eric W. "Lambert W-Function". mathworld.wolfram.com (英語).
- Computing the Lambert W function
- Corless et al. Notes about Lambert W research
- GPL C++ implementation with Halley's and Fritsch's iteration.
- Special Functions of the GNU Scientific Library - GSL
- An implementation of the Lambert W function for C99