(L2,L3),(M4,M5)…スペクトル
EELSスペクトルの50eV以上の領域に現れる元素固有の吸収端。内殻電子の自由電子帯への励起によって生じ、励起する内殻によって、K、L、M...殻励起スペクトルと呼ばれる。内殻電子準位は、スピン軌道相互作用により、さらに細かく別れており、K (1s1/2), L1 (2s1/2), L2 (2p1/2), L3 (2p3/2), M1(3s1/2), M2(3p1/2), M3(3p3/2), M4(3d3/2), M5(3d5/2), …と表される。3d遷移金属元素の(L2, L3)および(M4, M5)スペクトルはエネルギー的に近いので、似た形状のスペクトル(自由電子帯の形状)が、エネルギー的にずれて足し合わせた形でEELSスペクトルに現れる。SiやAlでは(L2, L3)スペクトルが観測されるが、L2とL3準位の分離が1eV以下と小さいために一つの吸収端スペクトルとみなされ、L2,3とかかれることが多い。EELSは自由電子帯の形状を測定する方法であるから、これらのペアは近似的には同じ情報を与えるのみであることに注意。
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