K空間
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/08 07:28 UTC 版)
概要
K空間(k-space)とは、MRI において取得される時系列データをフーリエ変換前の空間周波数データとして格納する領域を指す。画像上の各画素の情報は、k空間の全データにより構成される[1]
理論的背景
k空間と画像空間はフーリエ変換の関係にあり、k空間の各点が空間周波数と位相情報を持ち、逆フーリエ変換により画像が再構成される[2]
信号取得と軌道
MRI 測定では、パルスシーケンスにより時間的に制御された RF パルスと勾配を用いて k空間上を走査し、各点を取得する。特に、スピンエコー方式では水平軸(kx)のみ、位相エンコード量を可変することで垂直軸(ky)をカバーする[3]
応用と応用技術
MRI では、サンプリング軌道(直交、スパイラル、EPI など)を工夫することで、撮像速度と画質の最適化が可能となる。非格子点でのサンプリングにはグリッディング法や非一様FFT(NuFFT)が用いられる[3]。
k空間と高速化再構成
深層学習を用いた k空間からの画像再構成技術は、少数のサンプルから精度の高い画像を生成する手法として注目されており、空間周波数の補間やアンダーサンプリング領域の埋め込みが可能である[4]
脚注
- ^ Radiopaedia, “k-space”, 2024年9月16日: 空間周波数ドメインとしての k-space を説明。
- ^ Wikipedia English, “K-space in magnetic resonance imaging”, 2007年: k-space は取得された MR 信号が格納される行列であり、逆フーリエ変換によって画像へ変換される。
- ^ a b “Physics of magnetic resonance imaging”, 2025年: k(t) の時間経路と逆フーリエによる画像再構成式を記述。
- ^ Du T et al., “Adaptive convolutional neural networks for accelerating magnetic resonance imaging via k-space data interpolation”, *NeuroImage*, 2021: k-space に基づく画像再構成を改善する CNN モデル。
k空間
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/17 04:37 UTC 版)
核磁気共鳴画像法 (MRI) において、k空間(kくうかん、k-space)[注釈 1]は実空間の画像データの逆フーリエ変換である空間を指す[1]。あらかじめタイミングとパターンを厳密に定義したパルスシーケンスによりk空間上の領域を核磁気共鳴エコー信号で埋めていき、それをフーリエ変換することで位置空間画像を得る[1]。またその定義によりスキャン領域の実空間の座標軸は位置座標であるのに対し、k空間での各軸は空間周波数および位相となる。
概要
k空間を使った信号処理は1979年に Richard S. Likes が米国特許を出願する際に使用され[2]、また1983年には Stig Ljunggren[3]および Donald B. Twieg[4]によっても使われ、現在ではスキャンにかかる時間を短縮化しつつ得られる画像を高精細度化するためのデータの扱い方として広く認知されている。k空間の原点にから遠い成分ほど画像処理における「高周波成分」となることから、k空間の原点周辺をきめ細かくスキャンして高精細画像を得たり、k空間の各点を間引きして値を得て概要像をいち早く得ることも可能となる。k空間における走査順序を k-トラジェクトリー(英: k-trajectory )と呼ぶ。
参考文献
- 河野理「k空間の基礎と考え方」『放射線撮影分科会誌』第40巻、日本放射線技術学会、2003年、46-48頁、CRID 1390282681096226432、doi:10.18973/photographingjsrt.40.0_46、
ISSN 1345-322X、2024年4月23日閲覧。
脚注
注釈
出典
- ^ a b 河野 2003, p. 46.
- ^ US patent 4307343, Richard S., Likes, "Moving Gradient Zeugmatography", issued 1981-12-22, assigned to ゼネラル・エレクトリック
- ^ Ljunggren, Stig (16 May 1983). "A simple graphical representation of fourier-based imaging methods". en:Journal of Magnetic Resonance. en:Elsevier: 338–343.
- ^ Twieg, Donald B. (1983). "The k-trajectory formulation of the NMR imaging process with applications in analysis and synthesis of imaging methods" (PDF). Medical Physics. American Association of Physicists in Medicine. 10 (5): 610–621. Bibcode:1983MedPh..10..610T. doi:10.1118/1.595331. PMID 6646065. 2024年3月16日閲覧。
関連項目
- 逆格子空間 - 同じく k-space (k空間)の用語が用いられる。
外部リンク
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k空間の埋め方(走査手法)の違いによる生成画像の違い(説明ページのURL)。 上段から順次走査・上下軸低域から高域へのスウィープ・放射型走査のk空間と、それに対応する頭部縦断面画像の得られ方が併置されおり、それら実画像に「現像」した際の得られる画像との違いがわかる。 |
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