クリプタンドとは? わかりやすく解説

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クリプタンド

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 04:04 UTC 版)

クリプタンド英語: cryptand)とは、2つ以上の環から成る、かご状の多座配位子の総称である。この化合物群の「クリプタンド」と言う名は、取り込まれたゲストのカチオンを、地下聖堂 (英語: crypt) に埋葬された遺骸になぞらえて付けられた。クリプタンドはクラウンエーテルの設計概念を3次元構造へと発展させて開発され、クラウンエーテルよりも高い、特定のカチオンに対する選択性と包接能力を持つ。


注釈

  1. ^ 1,10-diaza-4,7,13,16,21,24-hexaoxabicyclo[8.8.8]hexacosane
  2. ^ [2.2.2]クリプタンドの角括弧内の数字は、窒素原子によって連結された3本の鎖状部分の中に含まれ、カチオンに配位する酸素原子の数を表している。
  3. ^ なお、クラウンエーテルの場合は、例えば、Na+に配位し易い15-クラウン-5や、K+に配位し易い18-クラウン-6は、エーテル結合の部分を酸素原子の孤立電子対が、配位したカチオンの方を向くために、これらのカチオンと配位しても脂溶性を示す。
  4. ^ 例えば、過マンガン酸カリウムは水溶性だが、ここに18-クラウン-6を共存させると、ベンゼンなどの有機溶媒に過マンガン酸カリウムが可溶化する。こうすると、K+は18-クラウン-6に取り込まれて有機溶媒に溶け、引き離された(MnO4)-が強力な酸化剤として作用し、有機溶媒中のアルケンなどを次々と酸化させたりといった反応に、クラウンエーテルは使える。

出典

  1. ^ Alberto, R.; Ortner, K.; Wheatley, N.; Schibli, R.; Schubiger, A. P. (2001). “Synthesis and properties of boranocarbonate: a convenient in situ CO source for the aqueous preparation of 〔99mTc(OH2)3(CO)3+.”. J. Am. Chem. Soc. 121: 3135-3136. doi:10.1021/ja003932b. 
  2. ^ Kim, J.; Ichimura, A. S.; Huang, R. H.; Redko, M.; Phillips, R. C.; Jackson, J. E.; Dye, J. L. (1999). “Crystalline salts of Na and K (alkalides) that are stable at room temperature.”. J. Am. Chem. Soc. 121: 10666-10667. doi:10.1021/ja992667v. 
  3. ^ von Zelewsky, A. (1995). Stereochemistry of Coordination Compounds. John Wiley: Chichester. ISBN 0-471-95057-2 
  4. ^ Dietrich, B. (1996). Gokel, G. W.. ed. Comprehensive Supramolecular Chemistry (Vol. 1). Oxford. pp. 153-211. ISBN 0080406106 
  5. ^ a b c Landini, D.; Maia, A.; Montanari, F.; Tundo, P. (1979). “Lipophilic [2.2.2] cryptands as phase-transfer catalysts. Activation and nucleophilicity of anions in aqueous-organic two-phase systems and in organic solvents of low polarity.”. J. Am. Chem. Soc. 101: 2526-2530. doi:10.1021/ja00504a004. 


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