ChatGPT Atlasとは? わかりやすく解説

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ChatGPT Atlas

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/09/30 13:46 UTC 版)

ChatGPT Atlas
開発元 OpenAI
初版 2025年10月21日(11か月前) (2025-10-21)
使用エンジン Blink
対応OS macOS
種別 ウェブブラウザ、AIブラウザ
ライセンス プロプライエタリソフトウェア(Chromiumベース)
公式サイト https://chatgpt.com/atlas
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ChatGPT Atlas(チャットジーピーティー・アトラス)は、OpenAIが開発していたChatGPT統合型のウェブブラウザである。Chromiumを基盤とし、レンダリングエンジンにはBlinkを使用していた[1]。2025年10月21日に発表され、macOS向けに提供を開始した[2][3]。

一般的なブラウザ機能に加え、閲覧中のページについてChatGPTへ質問したり、内容を要約・分析したりする「Ask ChatGPT」サイドバー、文章の書き換え支援、閲覧内容を文脈として利用する「ブラウザメモリ」、ChatGPTがウェブサイトを操作して作業を行う「エージェントモード」などを備えていた[2][3]。

OpenAIは2026年7月9日にAtlasの提供終了を発表し、同年8月9日を終了予定日とした[4][5]。Atlasで開発されたブラウザベースのエージェント機能は、ChatGPTおよびOpenAI Codexなどへ移行された[4]。

歴史

発表と提供開始

OpenAIは2025年10月21日、ChatGPTを中核に据えたウェブブラウザとしてChatGPT Atlasを発表し、同日にmacOS版を公開した[2][1]。提供開始時点ではChatGPTの無料ユーザーも利用できた一方、一部の高度な機能は有料プラン向けに提供された[3]。

OpenAIは発表時、将来的にWindows、iOS、Android向けにも提供する方針を示していた[2]。一方、Atlasの製品ページではmacOS版について、macOS 14以降とAppleシリコン(M1以降)を動作要件としていた[6]。

Atlasは、Google Chrome、Safari、Microsoft Edgeなどが広く利用されていたウェブブラウザ市場へOpenAIが参入する製品として報じられた[1][7]。

機能追加

2025年11月には、左側のサイドバーにタブを表示する縦型タブ機能が追加された。複数のタブの選択・移動、Googleを既定の検索エンジンとして設定する機能、パスキーへの対応なども追加された[8]。

2026年1月にはタブグループが追加されたほか、ユーザーの検索内容に応じ、ChatGPTによる回答とGoogleの検索結果を自動的に切り替える「Auto」検索モードが導入された[9]。同年3月には、仕事用・個人用・学校用など複数のChatGPTアカウントへログインし、それぞれを独立したブラウザプロファイルとして使用できる機能も追加された[9]。

デスクトップアプリへの統合方針

2026年3月、OpenAIがChatGPTのデスクトップアプリ、Atlas、Codexを統合したデスクトップアプリの開発を進めていることが報じられた[10]。

提供終了

2026年7月9日、OpenAIはAtlas単体の提供を終了し、Atlasで開発してきたブラウザベースのエージェント機能をChatGPTやCodexへ移行すると発表した[4][11]。

OpenAIはAtlasの終了日を2026年8月9日とし、それまでにブックマークなどのデータを別のブラウザへ移行するよう利用者に案内した[4]。Atlasのブックマーク、開いているタブ、閲覧履歴は自動的には移行されず、ブックマークはHTMLファイルとしてエクスポートして他のブラウザへインポートする方式が案内された[4][5]。ChatGPT上の会話履歴はAtlas固有のブラウザデータとは別に管理されており、Atlasの終了による影響は受けないとされた[4]。

OpenAIは、ウェブブラウザには継続的なセキュリティ保守が必要であるとして、終了後もAtlasを使用し続けることを推奨しなかった[4]。

機能

Ask ChatGPT

Atlasではブラウザ画面に「Ask ChatGPT」サイドバーを表示でき、閲覧中のウェブページについてChatGPTへ質問したり、ページ内容を要約、比較、分析したりすることができた[2][3]。

従来のChatGPTへウェブページの内容をコピーして入力するのではなく、閲覧しているページの文脈をChatGPTが利用できることが特徴の一つとされた[2]。

また、電子メールや文書などのテキスト入力欄で文章を選択し、ChatGPTを利用してその場で文章を書き換える機能も搭載された[3]。

ブラウザメモリ

Atlasには「Browser memories」(ブラウザメモリ)と呼ばれる機能があり、ユーザーが閲覧したウェブページから得られた情報をChatGPTが記憶し、その後の回答や提案に文脈として利用できた[12]。

OpenAIによれば、ブラウザメモリを有効にした場合、閲覧したウェブコンテンツはOpenAIのサーバー上で要約され、元のウェブコンテンツは要約後に削除される。プライバシーフィルターを適用した要約についても7日以内に削除されるとしていた[12]。

ブラウザメモリは通常のChatGPTのメモリ機能とは別に管理され、ユーザーは設定から有効・無効を変更できた。また、閲覧履歴を削除すると、その履歴に関連するブラウザメモリも削除される仕組みだった[12]。

データ利用とプライバシー設定

Atlasには、閲覧したウェブコンテンツをOpenAIのモデル学習に利用するかを選択する設定が設けられていた。「Include web browsing」(ウェブ閲覧を含める)は既定では無効とされ、ユーザーが明示的に有効化した場合に閲覧コンテンツがモデル改善に利用され得る仕組みだった[12]。

OpenAIは、BusinessおよびEnterpriseワークスペースのコンテンツについてはモデルの学習に使用しないとしていた[12]。

また、シークレットウィンドウではChatGPTアカウントからログアウトした状態となり、閲覧履歴やCookie、サイトデータなどがセッション終了後に保存されない仕組みが提供された[12]。

エージェントモード

「エージェントモード」では、ChatGPTがブラウザ内のウェブサイトを操作し、ユーザーに代わって複数段階の作業を実行できた[2][3]。OpenAIは、商品の調査やショッピングなどを利用例として挙げていた[9]。

エージェントはウェブページ上でクリックや文字入力などを行うことができた一方、OpenAIは安全対策として、ブラウザ内でコードを実行すること、ファイルをダウンロードすること、保存済みパスワードや自動入力情報へアクセスすることなどを制限していた[9]。

ログイン状態を利用しない「logged-out mode」も提供され、このモードでは既存のCookieを使用せず、ユーザーの明示的な許可なしにオンラインアカウントへログインしない設計とされた[9]。

セキュリティとプライバシー

Atlasの公開後、AIがウェブページの内容を読み取って自律的に操作するという設計をめぐり、従来型ブラウザとは異なるセキュリティ上の問題が指摘された[13]。

特に問題とされたのがプロンプトインジェクションである。悪意のあるウェブページなどにAIへの命令を隠し、ブラウザエージェントがその命令をユーザーからの指示であるかのように処理することで、意図しない操作を行わせる可能性が指摘された[13][14]。

OpenAIも2025年12月、プロンプトインジェクションをブラウザエージェントにとって重要なセキュリティ上の課題と位置付け、Atlasに対して敵対的学習や自動レッドチーミングを利用した対策を実施していると説明した[15]。同社は、プロンプトインジェクションについて完全に解決された問題ではなく、継続的な防御強化が必要になるとの見解を示していた[15]。

「Tainted Memories」をめぐる報告

2025年10月、サイバーセキュリティ企業LayerX Securityは、ChatGPTのメモリへ悪意のある命令を注入できるとする攻撃手法を公表し、「ChatGPT Tainted Memories」と呼称した[16]。

LayerXによれば、攻撃者はユーザーを悪意のあるウェブページへ誘導したうえで、クロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)を利用し、ログイン済みのChatGPTアカウントのメモリへ隠された命令を注入できる可能性があるとされた[16][17]。

一方、OpenAIの広報担当者は『CSO Online』に対し、LayerXが報告したCSRF攻撃を再現できず、Atlasが同攻撃に対して脆弱であるとは考えていないと回答した。また、現実の環境で同手法が悪用された証拠も確認していないとしており[17]、LayerXによる報告とOpenAIの見解には相違があった。

評価と影響

『Associated Press』はAtlasの発表について、ChatGPTをウェブ検索への入口とするOpenAIの試みとして報じた。また、AIがウェブページの情報を要約してユーザーへ提示する方式が普及した場合、ニュースサイトなど外部ウェブサイトへのアクセス流入が減少する可能性にも言及した[7]。

『Axios』などは、AIエージェントがユーザーに代わってウェブサービスを操作するには従来のブラウザより広範なデータや権限を必要とすることから、利便性とプライバシー・セキュリティ上のリスクとの両立が課題になると報じた[13]。

一方、OpenAIはAtlasの終了時、同製品で得た知見をChatGPTのブラウザ機能へ引き継ぐ方針を示し、複数タブ、ダウンロード、ウェブサイトへのログイン、ブラウザ内でのエージェント作業などの機能強化を進めると説明した[4]。『TechCrunch』は、Atlas単体の終了後もOpenAIがAIを利用したウェブ操作から撤退するのではなく、機能をChatGPTのデスクトップアプリやChrome向け機能へ再配置したと報じた[11]。

関連項目

脚注

  1. 1 2 3 Babu, Juby; Hu, Krystal (2025年10月21日). “OpenAI launches AI browser Atlas in latest challenge to Google”. Reuters (英語). 2026年9月30日閲覧.
  2. 1 2 3 4 5 6 7 “ChatGPT 搭載のブラウザー、ChatGPT Atlas が登場”. OpenAI (2025年10月21日). 2026年9月30日閲覧。
  3. 1 2 3 4 5 6 「ChatGPTがWebブラウザに 「ChatGPT Atlas」、米OpenAIが発表」『ITmedia AI+』ITmedia、2025年10月22日。2026年9月30日閲覧。
  4. 1 2 3 4 5 6 7 8 “ブラウザベースのエージェント型作業に向けた Atlas から ChatGPT への進化”. OpenAI Help Center. OpenAI (2026年). 2026年9月30日閲覧。
  5. 1 2 梅林, 日奈子「OpenAIのブラウザ「ChatGPT Atlas」終了へ 公開から1年足らずで」『ITmedia NEWS』ITmedia、2026年7月13日。2026年9月30日閲覧。
  6. ↑ “ChatGPT Atlas” (英語). OpenAI. 2026年9月30日閲覧。
  7. 1 2 O'Brien, Matt; Liedtke, Michael (2025年10月22日). “OpenAI launches Atlas browser to compete with Google Chrome”. Associated Press (英語). 2026年9月30日閲覧.
  8. ↑ Roth, Emma (2025年11月20日). “ChatGPT Atlas adds Arc-like vertical tabs”. The Verge (英語). 2026年9月30日閲覧.
  9. 1 2 3 4 5 “ChatGPT Atlas - Release Notes” (英語). OpenAI Help Center. OpenAI (2026年). 2026年9月30日閲覧。
  10. ↑ “OpenAI plans desktop 'superapp' to streamline user experience”. Reuters (英語). 2026年3月19日. 2026年9月30日閲覧.
  11. 1 2 Bellan, Rebecca (2026年7月9日). “OpenAI is shutting down Atlas, but its AI browser ambitions are still growing”. TechCrunch (英語). 2026年9月30日閲覧.
  12. 1 2 3 4 5 6 “ChatGPT Atlas - Data Controls and Privacy” (英語). OpenAI Help Center. OpenAI (2026年). 2026年9月30日閲覧。
  13. 1 2 3 Sabin, Sam (2025年10月28日). “OpenAI's new browser sparks privacy, security concerns”. Axios (英語). 2026年9月30日閲覧.
  14. ↑ Zeff, Maxwell (2025年10月25日). “The glaring security risks with AI browser agents”. TechCrunch (英語). 2026年9月30日閲覧.
  15. 1 2 “Continuously hardening ChatGPT Atlas against prompt injection attacks” (英語). OpenAI (2025年12月22日). 2026年9月30日閲覧。
  16. 1 2 Paz, Roy (2025年10月27日). ““ChatGPT Tainted Memories:” LayerX Discovers The First Vulnerability in OpenAI Atlas Browser, Allowing Injection of Malicious Instructions into ChatGPT” (英語). LayerX. LayerX Security. 2026年9月30日閲覧。
  17. 1 2 Singal, Nidhi (2025年10月28日). “Atlas browser exploit lets attackers hijack ChatGPT memory”. CSO Online (英語). 2026年9月30日閲覧.

外部リンク




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