ChatGPT Deep Research
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/09/04 16:36 UTC 版)
| 開発元 | OpenAI |
|---|---|
| 初版 | 2025年2月2日 |
| プラットフォーム | ChatGPT |
| 種別 | AIエージェント |
| 公式サイト | openai |
| シリーズの一部 |
| OpenAI |
|---|
| 製品 |
| モデル |
| 関係者 |
| 概念 |
ChatGPT Deep Research(チャットジーピーティー・ディープ・リサーチ、公式表記:deep research)は、OpenAIがChatGPTで提供するAIエージェント型の調査機能である[1][2]。ユーザーが指定したテーマについて、ウェブ上の複数の情報源やアップロードされたファイルなどを検索・分析し、出典へのリンクや引用を付した構造化されたレポートを生成する[3]。
2025年2月2日に公開され、当初はウェブ参照とデータ分析向けに最適化されたo3の初期バージョンを基盤としていた[1][2]。その後、軽量版の導入、外部データソースとの接続、参照するウェブサイトの指定、調査計画の編集や実行中の介入など、機能が段階的に拡張された[1][3]。
機能
Deep Researchは、単一の検索結果を回答として提示するのではなく、複数段階にわたって情報を探索し、得られた情報を分析・統合してレポートを生成するよう設計されている[1]。公開当初のOpenAIの説明では、ユーザーからプロンプトを受け取ると、必要に応じて検索方針を変更しながら多数のウェブ情報源を探索し、テキスト、画像、PDFなどを解析できるとしていた[1][2]。
OpenAIによれば、初期のDeep Researchは、ブラウザおよびPythonツールを必要とする現実世界の調査課題を用い、エンドツーエンドの強化学習によって訓練された。必要な情報を発見するための複数段階の手順を計画し、検索結果に応じて探索をやり直したり方向を変更したりする能力を持つとされた[1]。
2026年時点では、ユーザーが調査開始前にChatGPTの作成した調査計画を確認・編集できるほか、実行中の進捗を確認し、途中で処理を中断して調査の焦点や参照可能な情報源を変更することができる[3]。公開ウェブおよびアップロードされたファイルに加え、対応するChatGPTアプリやデータサービスを情報源として使用でき、特定のウェブサイトのみに検索範囲を限定することも可能である[3]。
生成されたレポートには、内容を検証するための引用または情報源へのリンクが付与される。完成したレポートには目次、使用した情報源、調査過程の記録などが表示され、Markdown、Word、PDF形式で保存することもできる[3]。
沿革
公開
OpenAIは2025年2月2日、ChatGPT上でDeep Researchを発表し、ウェブ版のChatGPTで提供を開始した[1][2]。公開当初はChatGPT Proのユーザーを中心とする限定提供で、モバイル版とデスクトップ版についても順次対応するとしていた[1]。
初期バージョンには、ウェブ閲覧とデータ分析向けに最適化されたo3の初期バージョンが採用された[1][2]。OpenAIは、金融、科学、政策、工学など、大量の情報源を調査する必要がある知識労働を主な用途として挙げる一方、商品比較などの一般利用も想定していた[1]。
同月5日にはイギリス、スイスおよび欧州経済領域のProユーザーにも提供範囲が拡大され、2月25日にはPlusユーザーへの提供も開始された[1]。
軽量版の導入
2025年4月24日、OpenAIはo4-miniを基盤とする「軽量版」(lightweight)のDeep Researchを導入した[1][4]。軽量版は計算コストを抑えながら同種の調査機能を提供することを目的としており、これに伴って無料ユーザーにもDeep Researchが提供されるようになった[1][4]。
同年5月には、調査レポートのPDF出力や、Microsoft OneDriveおよびSharePoint上のファイルを情報源として利用する機能が追加された[5]。
ChatGPT agentとの統合と2026年の更新
2025年7月17日、OpenAIはDeep Researchのウェブ上での情報収集・統合能力と、ウェブサイト上で操作を行う機能などを組み合わせたChatGPT agentを発表した。Deep ResearchはChatGPT agentのビジュアルブラウザを利用できるようになった一方、従来のDeep Researchも独立したツールとして引き続き提供された[6][1]。
2026年2月10日の更新では、Deep Researchの基盤モデルがGPT-5.2ベースに更新されたほか、調査対象とするウェブサイトや接続アプリの指定、調査計画の事前編集、進捗のリアルタイム表示、実行中の指示変更などが導入された[7][1]。また、MCPまたは対応するアプリを情報源として接続する機能も追加された[1]。
その後、OpenAIの公式ヘルプではDeep Researchについて、特定の単一モデル名ではなく、既定で「最新のモデル」を使用し、必要に応じて旧世代のモデルも選択できる機能として説明されている[3]。
評価
公開時、OpenAIはDeep Researchの性能評価としてHumanity's Last Exam(HLE)の結果を公表した。ブラウジング機能とPythonツールを使用したDeep Researchは26.6%の正答率を記録したとされ、OpenAIが同時に掲載した結果ではDeepSeek-R1が9.4%、GPT-4oが3.3%だった[1]。ただし、これらはOpenAI自身が公開した評価結果である。
OpenAIはまた、現実世界におけるウェブ検索や推論能力を評価するGAIAベンチマークについてもDeep Researchの結果を公表し、複数段階の探索を必要とする課題における性能向上を主張した[1]。
Deep Researchの公開は国際的なメディアでも報じられた。Reutersは、複雑な調査作業を複数段階で実行するAIツールとして紹介し、2025年にOpenAIが公開したOperatorに続くAIエージェントとして位置づけた[2]。『ガーディアン』も、調査アナリストに相当するレポートの作成を目指すAIエージェントとして報じた[8]。
制限と批判
OpenAIは公開当初から、Deep Researchが事実と異なる内容を生成するハルシネーションや誤った推論を行う可能性があることを認めている。また、信頼性の高い情報源と噂などを適切に区別できない場合があるほか、自らの回答に対する不確実性を正確に表現できない場合があるとしていた[1][2]。
OpenAIが2025年2月に公表したシステムカードでは、ウェブを自律的に参照する能力に伴うリスクとして、ウェブページ内に埋め込まれた悪意ある指示によるプロンプトインジェクション、個人情報、安全性上問題のあるコンテンツ、コード実行などが検討された。OpenAIは、ウェブ上で発見した悪意ある指示への抵抗などを含む対策を実施したとしている[9]。
外部からは、生成された調査結果そのものを検証する負担についても指摘されている。サリー大学のInstitute for People-Centred AIのAndrew Rogoyskiは『ガーディアン』に対し、利用者がDeep Researchなどの出力を十分な事後確認を行わずそのまま利用する危険性を指摘し、AIによる分析が妥当かどうかを人間が確認する作業自体に多くの時間を要し得ると述べた[8]。
利用制限
Deep Researchは大規模な推論処理とウェブ検索を伴うことから、公開当初から利用回数に制限が設けられていた。2025年4月の更新時点では、OpenAIはPlus、Team、Enterprise、Eduの各プランを月25回、Proを月250回、無料ユーザーを月5回とし、通常版の利用枠を消費した後はo4-miniベースの軽量版へ切り替える仕組みを導入した[1]。
その後、利用条件は変更されており、2026年時点のOpenAIの公式文書では、Deep Researchの利用可能回数は契約プランによって異なると説明されている。残りの利用回数はChatGPT内のカウンターで表示され、月単位の固定利用枠が設定されているプランでは、最初に利用した日から30日ごとに利用枠が更新される[3]。
脚注
- 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 “deep research のご紹介”. OpenAI (2025年2月2日). 2026年9月5日閲覧。
- 1 2 3 4 5 6 7 “OpenAI launches new AI tool to facilitate research tasks”. Reuters (英語). 2025年2月3日. 2026年9月5日閲覧.
- 1 2 3 4 5 6 7 “ChatGPT の deep research”. OpenAI. 2026年9月5日閲覧。
- 1 2 Wiggers, Kyle (2025年4月24日). “OpenAI rolls out a lightweight version of its ChatGPT deep research tool” (英語). TechCrunch. 2026年9月5日閲覧。
- ↑ “ChatGPT「deep research」、PDF出力に対応 調査レポートの保存・共有が便利に”. ITmedia NEWS (2025年5月13日). 2026年9月5日閲覧。
- ↑ “Introducing ChatGPT agent: bridging research and action” (英語). OpenAI (2025年7月17日). 2026年9月5日閲覧。
- ↑ “OpenAI、ChatGPTの「deep research」を強化 GPT-5.2ベースでソース指定が可能に”. ITmedia AI+ (2026年2月11日). 2026年9月5日閲覧。
- 1 2 Milmo, Dan (2025年2月3日). “OpenAI launches 'deep research' tool that it says can match research analyst”. The Guardian (英語). 2026年9月5日閲覧.
- ↑ “Deep research System Card” (英語). OpenAI (2025年2月25日). 2026年9月5日閲覧。
外部リンク
- ChatGPT Deep Researchのページへのリンク