黄金比音律とは? わかりやすく解説

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黄金比音律

(833 cents scale から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/26 04:24 UTC 版)

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黄金比の線分 ((A + B) / A = A / B = 1.618)。
黄金比(φ)の周波数間隔((11.09 + 6.854)÷11.09 = 11.09÷6.854 = 1.618)。
36平均律表記での833セントのスケール。スラーは黄金比の関係になっているもの。

黄金比音律(おうごんひおんりつ)または833セントスケールは、833.09セント音程の組み合わせで構成される音律であり、フィボナッチ数列に基づく[1]黄金比 Play[ヘルプ/ファイル])に相当する。

導出

ユニゾン(中央)、完全四度(左)、完全五度(右)の黄金比の格子

任意の2つの音高を選び、その高い方の音と選んだ音程の結合音で新たな音程を取る。次に、その音程で同じことを行う。これを繰り返すことで音程が833セントに近い値に収束する[1]

基本音程 最も近い組み合わせ
トーン(比率)
最も近い組み合わせ
トーン(セント)
2:1 3:2  701.955
3:2 5:3  884.359
5:3 8:5  813.686
8:5 13:8  840.528
13:8 21:13 830.253
21:13 34:21 834.175
34:21 55:34 832.676
55:34 89:55 833.248
89:55 144:89 833.030
144:89 233:144 833.113
233:144 377:233 833.081
377:233 610:377 833.094
...

例えば、 220 Hzと220 Hzのユニゾンからは0 Hz(差音)と440 Hz(加音)の結合音が得られる。440 Hzは220 Hzの1オクターブ上の音である。続いて、220 Hzと440 Hzの加音は660 Hzの結合音であり、440 Hzの完全五度(3:2)上の音である。さらに、440 Hzと660 Hzから1,100 Hzの加音が得られ、1,100 Hzと660 Hzは長六度(5:3)の関係にある。同様にして1,760 Hzの加音を得て、1,100 Hzと短六度(8:5)の関係になっている。 どの音程から開始しても常に833セントに収束する[1]

833.09セントの間隔が決定されると、それらのスタックが生成される。

トーン −5 −4 −3 −2 -1 0 1 2 3 4 5
セント 634.55 267.64 1100.73 733.82 366.91 0 833.09 466.18 99.27 932.36 565.45
比率 1.443 1.167 1.889 1.528 1.236 1.000 1.618 1.309 1.059 1.713 1.386
スケールステップ 6 3 0 7 4 1 8 15

黄金比が無理数であることを考えると、正確なユニゾンまたはオクターブに戻ることはない。

黄金比音階

Bohlenは、黄金比音程から対称的な七音音階として黄金比音階を記述している  Play[ヘルプ/ファイル]

スケールステップ 0 1 2 3 4 5 6 7 ...
セント 00.00 99.27 235.77 366.91 466.18 597.32 733.82 833.09 ...
ステップ幅 99.27 136.5 131.14 99.27 131.14 136.5 99.27 ...
積み上げ
ユニゾン、完全四度、完全五度の13の黄金比の3つのスタック

この構成の仕方は、五度圏上の積み重ね(FCGDAEB = CDEFGAB)による長音階の導出に相当する。


ステップ 周波数比 セント セント幅 音声
0  Play
99.27
1  Play
136.50
2 3 Play
131.14
3 2 Play
99.27
4  Play
131.14
5 3/3 1.4120 597.32  Play
136.50
6 4 Play
99.27
7 (0)  Play
99.27
8 (1)  Play
136.50
9 (2) 3 Play
131.14
10 (3)  Play
99.27
11 (4)  Play
131.14
12 (5)  Play
136.50
13 (6) 2 Play
99.27
14 (0)  Play
99.27
15 (1)  Play
136.50
16 (2) 3 Play
...

黄金比音階には、1オクターブあたり0.83333×12ステップ(約10ステップ)が含まれる[2]。また、黄金比音律は36平均律を用いることで近似でき、この近似においては36平均律に12平均律が内包されているという利点がある[3]

関連項目

脚注

  1. ^ a b c Bohlen, Heinz (last updated 2012). "An 833 Cents Scale: An experiment on harmony", Huygens-Fokker.org.
  2. ^ Pareyon, Gabriel (2011). On Musical Self-Similarity, p.398. ISBN 9789525431322.
  3. ^ "833 Cent Golden Scale (Bohlen)", Xenharmonic Wiki.

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