麦鏨

刀剣用語解説集

麦鏨（むぎたがね）

後藤家の時代の遡る作品は無銘物が多いため、後代の後藤家が正真物と極めた例は多い。この場合、折紙などの鑑定書を発行する以外に、図柄の中に隠し鏨を打ち施して極めの目印とした例がみられ、それが麦鏨あるいは角鏨と呼ばれる極め鏨である。主に桐紋にみられ、花の付いた枝の両側、葉脈の横などに、長さ0.5ミリほどの楕円形（麦の粒のような形状）の鏨痕が打ち込まれ、これを麦鏨と称し、方形の鏨を角鏨と呼び分けている。文様に隠し施されたそれらの鏨痕は、時代の遡る図柄にも増して重厚な趣が感じられる。