野尻博
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のじり ひろし
野尻 博
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| 生誕 | 1949年(昭和24年) |
| 死没 | 2018年(平成30年)8月15日 |
| 死因 | 交通事故 |
| 国籍 | |
| 職業 | 大道芸人 |
野尻 博(のじり ひろし、1949年〈昭和24年〉 - 2018年〈平成30年〉8月15日)は、日本の大道芸人。10種類以上の楽器を同時演奏するワンマンバンドを持ち芸として活動したほか、1995年から全日本チンドンコンクールに関わるようになり、素人チンドンマンの育成を通じて富山県内のチンドンマンの中心人物となる。
来歴
1949年(昭和24年)に富山市で生まれる[1]。1986年(昭和61年)にイベント会社を設立するが、同社経営者時代にポンビドゥー・センターで観た大道芸の影響を受け、44歳から大道芸人に転じる[2][3]。大道芸人としての芸名は「作芸人磨心(さうんどましん)」、1993年(平成5年)に芸名と同名の事務所を設立する[1][2]。大道芸人としてのデビュー間もなく野毛大道芸プロデューサーの橋本隆雄と交流が生まれ、雪竹太郎、ヘルシー松田らとともにフランスの大道芸イベントに参加する[3][4][5]。
1995年(平成7年)から全日本チンドンコンクールに関わるようになり、同年開催の第41回大会に作芸人磨心所属芸人によるチンドンチームを参加させ、翌年の第42回大会から自らも参加するようになる[6][7]。チンドン太鼓に合わせて大道芸を披露するチンドンスタイルを確立させるとともに、観客参加型の素人チンドンを企画し、富山県内のチンドンマンの中心人物となる[6][8]。
2000年代以降、富山市大手町の「越中大手市場」など、大道芸による町おこしに取り組むようになり、2004年(平成16年)にNPO法人全国元気まちづくり機構を設立する[1][2]。一連の取組が評価され、2010年(平成22年)に富山新聞芸能賞を受賞する[1]。
2018年(平成30年)8月、公演帰路の新潟県内で交通事故に遭い、同月15日に入院先の病院で亡くなる[9]。
芸風
大道芸人としては、ギターやドラムなど10種類以上の楽器を1人で演奏するワンマンバンドを持ち芸とする[9][10]。オーストラリアのワンマンバンド奏者ブルース・スミスに対抗して同時演奏する楽器の数が増えていった[1][3]。客層に合わせて演歌からJ-POPまで演奏し、持ち歌は300曲、年間に約200ステージをこなした[10][11]。
チンドンマンとしては、作芸人磨心所属芸人とチームを組んで手品や一輪車などの大道芸を盛り込んだチンドンスタイルを特徴とする[6][8]。同スタイルは伝統的なチンドンマンからの批判もあったが、徐々に受け入れられ、全日本チンドンコンクールの裾野を広げることに成功する[6][8]。また、同コンクール内で観客がチンドンマンに扮して市街地を練り歩く素人チンドンを考案するなど、素人チンドンマンの育成にも取り組んだ[1][9]。
出典
- ^ a b c d e f 「富山新聞芸能賞 作芸人磨心事務所社長 野尻博氏 大道芸で人と町を元気に」『富山新聞』2010年3月6日、朝刊28面。
- ^ a b c 「越中大手市場で大道芸を企画 野尻博氏 独自の仕掛け「あっ」と驚かせ にぎわい創出へ大道芸理論」『富山新聞』2002年10月28日、朝刊23面。
- ^ a b c 野尻博『ひと・まち・まつり 大道芸パワーで商店街が元気になる』評言社、2002年、36-55頁。ISBN 978-4-8282-0280-8。
- ^ 平岡正明『大道芸および場末の自由』解放出版社、1995年、149-150頁。 ISBN 978-4-7592-5115-9。
- ^ 「富山の大道芸 招かれパリへ 九つの楽器を一人で演奏 JETに参加した作芸人磨心さん 独創性に白羽の矢」『朝日新聞』1993年4月18日、21面(富山面)。
- ^ a b c d 「昭和あのとき(11) 第1回全日本チンドンコンクール 戦後復興へ活気」『北国新聞』2012年3月26日、朝刊2面。
- ^ “桜の空にちんどん!ドン!! 富山初のチンドンマン奮戦記”. 放送ライブラリー. 放送番組センター. 2025年11月11日閲覧。
- ^ a b c 「富山の芸 天で見守って 弟子、まとめ役に志願 チンドン・全日本コンクール 県内第一人者の野尻さん、昨夏急逝」『富山新聞』2019年4月1日、朝刊23面。
- ^ a b c 「野尻博さん死去 チンドン普及に尽力」『富山新聞』2018年8月17日、朝刊30面。
- ^ a b 「ご当地! 笑い発信者マップ 元気の種配ってます」『東京新聞』2007年1月3日、朝刊9面。
- ^ 「ひゅーまん2010 大道芸で街おこしを応援する 野尻博さん」『読売新聞』2010年1月11日、21面(富山面)。
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