過マンガン酸マグネシウムとは? わかりやすく解説

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過マンガン酸マグネシウム

分子式MgMn2O8
その他の名称過マンガン酸マグネシウム、Permanganic acid magnesium、Dipermanganic acid magnesium salt
体系名:ジ過マンガン酸マグネシウム


過マンガン酸塩

(過マンガン酸マグネシウム から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/23 03:46 UTC 版)

過マンガン酸イオンの構造式
過マンガン酸イオンの球棒モデル

過マンガン酸塩(かまんがんさんえん、permanganate)とは、酸化数+7のマンガンのオキソ酸の塩に対する総称である。いずれも酸化力が非常に強いので酸化剤として用いられ、無機・有機化学用酸化剤、漂白剤、医療用殺菌剤などとして使用される。なお、遊離酸としての過マンガン酸は単離されていない。

性質

遊離酸としての過マンガン酸は単離されておらず、固体の過マンガン酸カリウムを濃硫酸と混合すると、粘稠で爆発性のある、非常に危険な酸化マンガン(VII) (Mn2O7) を生じる。また、水溶液も高濃度では不安定で分解しやすい。このため、いわゆる「硫酸酸性過マンガン酸カリウム水溶液」を調製する時には、必ず低濃度の過マンガン酸カリウム水溶液と希硫酸から調製する必要がある。

過マンガン酸カリウム溶液に過剰のアルカリ (OH-) を加えると緑色のマンガン酸イオン (MnO42-) を生じる。 このように過マンガン酸塩溶液は、黒色の酸化マンガン(IV) (MnO2) への変化を含めマンガンの酸化数に応じて種々色調を変えるため、「カメレオン液 (chameleon solution)」と呼ぶこともある。

多くの無機・有機化合物に対して酸化剤として作用する。酸性水溶液中で最も酸化力が強く、中性またはアルカリ性水溶液では酸性に比べ酸化力は減弱する。また、過マンガン酸イオン MnO4- は正四面体構造であり、可視部に吸収帯を持つ。

製法

過マンガン酸カリウムはマンガン酸カリウムを電解酸化して製造し、工業的には軟マンガン鉱 (MnO2) を水酸化カリウムに溶融し、空気酸化してマンガン酸カリウムとし、電解酸化または塩素により酸化して製造する。

他の過マンガン酸塩は一般に、過マンガン酸カリウムあるいは過マンガン酸バリウムを複分解して製造される。

用途

過マンガン酸塩は強力な酸化剤として、無機化学・有機化学を問わず利用される。多くの場合過マンガン酸塩は水溶液中で反応に用いられる。水中では困難な有機物の酸化反応においては、クラウンエーテル等をカリウムイオンにキレート配位させて油溶性を高めることにより極性の低い有機溶媒に可溶化し、非水溶液中で過マンガン酸塩による酸化反応を実施することもある。クラウンエーテルを用いて過マンガン酸カリウムを溶解させたベンゼンをパープルベンゼンと呼ぶ。

前述のように、過マンガン酸イオンは酸化還元反応により、マンガンの酸化数が変わることで色調が変化する。したがって、過マンガン酸イオンは酸化剤指示薬の2つの役割を兼ね備えているので、酸化還元滴定(過マンガン酸カリウム滴定)やアルコール検知管など定量分析の分野でも広く使用される。

医療用殺菌剤などとして使用される機会は減っているが、希過マンガン酸カリウム溶液はカメレオン水と呼ばれることがある。

第二次世界大戦時、過マンガン酸カルシウムはZ液として、過酸化水素水の分解にて生じる水蒸気、酸素、熱を利用する「ヴァルター機関」の触媒として用いられた。

主な過マンガン酸塩

過マンガン酸塩類消防法により、危険物・第1類に指定されている。

カチオン IUPAC名 分子式 融点 比重 CAS登録番号 特徴
カリウム potassium manganate(VII)



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