水鏡子
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水鏡子(すいきょうし、1953年3月9日[1] - )は、日本のSF評論家[1][2]。本名は角 伸一郎(すみ しんいちろう)。日本推理作家協会会員[1]。
筆名は、アメリカのSF作家ウォルター・M・ミラー・ジュニアの名前のもじり[3]。コードウェイナー・スミス作品を翻訳する際に利用した「司須美子」という名義は「C・スミス」のもじり[3]。また、ジェイムズ・ティプトリー・Jr.を評論する際などに利用した筆名に「鳥居定夫」がある[4]。
略歴
1953年、兵庫県に生まれる[5]。神戸大学文学部卒業[1]。
1978年に「アンダースンの『脳波』で初めて解説を書いて原稿料をもらった」という[6]。
SFファンダムKSFA(海外SF研究会、1974年結成[7])の活動に関わる一方で[6]、『奇想天外』、『SFマガジン』、『週刊読書人』などの誌上や、文庫本の解説などで、おもに海外のSF作品の時評・評論を行う[1]。
1984年から1985年に、当時、新潮社の編集者だった大森望の企画のもと、『世界SF全集』のアンソロジー巻「世界のSF現代編」の「宇宙テーマ版」として構想されたアンソロジーに、基本となる作品リスト作成などでかかわり、最終的に伊藤典夫・浅倉久志編による『スペースマン 宇宙SFコレクション1』『スターシップ 宇宙SFコレクション2』として新潮文庫から刊行された[8][9]。
2000年、「文庫解説の系譜 一読書展開の私信として」によりSFファンジン大賞 翻訳・紹介部門を受賞した。
自宅に数万冊規模の蔵書を有し、書庫を構えている[10][11]。
SFファンダムで、ともに「神大四天王」のひとりとして知られた大野万紀は[13]、水鏡子のことを「老境に入ろうとする独身オタク」と表現している[10]。
大森望は、水鏡子のことを「マニア上がりのSF評論家」と表現しており、高校時代にSFの洋書を海外発注するやり方が判らず、海外SF研究ファンジンに問い合わせをしたところ、水鏡子から返信が来た旨を記している[14]。大森望がSFのプロとなったのちの文章で、水鏡子のことを「水鏡子師匠」と呼んだことがある[15]。
著書
- 『乱れ殺法SF控:SFという暴力』青心社、1991年
脚注
- ^ a b c d e “会員名簿 現会員 すいきょうし 水鏡子”. 一般社団法人日本推理作家協会. 2018年6月14日閲覧。
- ^ “水鏡子, 1953-”. 国立国会図書館. 2018年6月14日閲覧。
- ^ a b 牧眞司【SFマガジン1976】その夏、ぼくは一冊のファンジンに出逢った!(2018年5月21日) - シミルボン(2021年2月10日閲覧)
- ^ 「ティプトリー再考」(岡本家記録とは別の話)
- ^ 大森望・牧眞司編『サンリオSF文庫総解説』本の雑誌社、2014年、p.245
- ^ a b 水鏡子. “MY BEST SF YEAR 1969年”. Digital NOVAQ. 2018年6月14日閲覧。[リンク切れ]
- ^ 海外SF研究会(KSFA)とは何だったのか?[リンク切れ]
- ^ 『伊藤典夫評論集成』(国書刊行会)P.1082-1090
- ^ 『伊藤典夫評論集成』(国書刊行会)別冊 P.2-11
- ^ a b 大野万紀. “魍魎の匣を探る――水鏡子の新書庫見学会”. 大野万紀/HATTA ONLINE. 2021年2月10日閲覧。
- ^ 『本の雑誌』2017年11月号・特集「書庫を建てよう!」
- ^ 大森望『現代SF観光局』河出書房新社、32頁。ISBN 978-4309025018。
- ^ あと二人は、岡本俊弥と米村秀雄[12]。
- ^ 大森望「海外SFマニアへの道」『新編 SF翻訳講座』河出書房新社、2012年。 ISBN 978-4-309-41171-2。
- ^ https://www.asahi-net.or.jp/~KX3M-AB/sladek.html 『スラデック言語遊戯短編集』(サンリオSF文庫1985年12月刊)解説]
外部リンク
- 水鏡子・みだれめも 1987年から1994年のコラム「みだれめも」。大森望のサイトに掲載されている。
- THATTA ONLINE
- 水鏡子のページへのリンク