第3章 為他比量
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/02 02:29 UTC 版)
為他比量とは、みずから観察したものを教示することである。知識がみずからに生じ、三相によって確実性が確認された時、他人にそれを説示して、同じ知識を生じさせようとするものである。 この因の三相説によって、それまで正理が五支作法によって表されてきたものを、陳那は三支作法としたのである。つまり、陳那は、三支作法の因・喩が因の三相に対応するものと捉え、因が遍是宗法性に、同喩と異喩がそれぞれ同品定有性、異品遍無性に対応するものとした。さらに、陳那は、因の三相説に基づいて、正しい因と誤った因(hetvābhāsa)を区別するチェックリストとも言うべき九句因(hetucakra)を創設した。陳那以後、とくに中国で五支作法が省略されて、三支作法となったと考えることが多いが、これはまったく陳那の説を理解していない、といい得る。 宗 - 声は無常なり 因 - 所作性なるが故に 同喩 - およそ所作なるものは無常なり。瓶等の如し 異喩 - およそ無常ならざるものは所作ならず。虚空の如し このように、作られたものは無常であることが知られているので、仏陀の言葉も無常であり、それが量としては不完全であることを示す論証となっている。
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