浦川タレとは? わかりやすく解説

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浦川タレ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/08 13:44 UTC 版)

うらかわ タレ
浦川 タレ
生誕 1899年3月[2]
北海道
死没 1991年10月23日(92歳没)
北海道浦河町
国籍 日本
民族 アイヌ
団体 姉茶民芸品研究会
著名な実績 アイヌ文化の伝承、保存、指導(アットゥシ、花ござ、木彫りなど)
影響を与えたもの 遠山サキ計良智子
活動拠点 北海道浦河町
肩書き 姉茶民芸品研究会 会長
栄誉 北海道文化財保護功労者(1982年)
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浦川 タレ(うらかわ タレ、1899年明治32年〉3月[2][3][4] - 1991年平成3年〉10月23日[5])は、日本のアイヌ文化伝承者。北海道浦河を代表する伝承者の1人とされる[6]。アイヌの織物であるアットゥシの織手としては、全道でも数少ない存在であり[7]、姉茶民芸品研究会(浦河ウタリ文化保存会の前身[8])を組織して、アットゥシなどのアイヌ文化の伝承と保存に貢献した。

経歴

北海道の荻伏川上流の集落(現・浦河町野深[4][6])で誕生して[3]、姉茶(現・浦河町)で育った[9]。幼少時に母と死別した後、伯父夫妻に引き取られ、アイヌの知識を厳しく教え込まれて育った[10]。勉強家で、アイヌ語にも精通していた[9]

終戦後、自身を中心とする数人のグループで、アットゥシ、花ござ、木彫りなどの製作を始めた[11]。これが日高支庁保護係長の目にとまったことで、札幌市で展示即売会が開催され、「素朴な民族の心」として話題を呼んだ[11]

このことでタレは意欲に燃え、部落にアイヌ技術の習得を呼びかけ、1966年(昭和41年)に姉茶民芸品研究会を組織して、自ら会長をつとめ[11]、アットゥシ、花ござ、木彫りなどの研究と伝習を行った[7]。ウポポ(座り唄)、ツムセ(踊り)などの伝承や指導にも努めた[7]

1982年(昭和57年)には、アイヌ文化の伝承と保存の功績を評価されて、北海道文化財保護功労者に選ばれた[6][7]。翌1983年(昭和58年)にはアットゥシの技術保持者として指定された[7]

同1983年に引退[12][13]。1991年(平成3年)10月、浦河町内の病院で、92歳で死去した[5][14]。没後の2000年(平成12年)、浦河ウタリ文化保存会設立40周年記念式典において、アイヌ伝統文化保存への協力の功績により、同保存会の他の6人と共に表彰を受けた[15]

影響を受けた人物として、遠山サキは、1970年頃から民芸品製作を指導を受けている[16]計良智子も、浦川タレや織田ステノからの教えで、大きな影響を受けている[17]

脚注

  1. ^ 梅原猛藤村久和 編『アイヌ学の夜明け』 小学館ライブラリー小学館、1994年2月20日、383頁。ISBN 978-4-09-460056-8 
  2. ^ a b 生年は1898年の説もある[1]
  3. ^ a b 萩中美枝他『聞き書 アイヌの食事』農山漁村文化協会〈日本の食生活全集〉、1992年11月20日、68頁。 ISBN 978-4-540-92004-2 
  4. ^ a b アイヌ民族の現在と未来を考える会 編『明日を創るアイヌ民族』未来社、1988年3月31日、57頁。 NCID BN02150393 
  5. ^ a b 若月亨「浦川タレ媼のこと」『アイヌ文化』第17号、アイヌ無形文化伝承保存会、1992年10月、48頁、国立国会図書館書誌ID: 000000029591 
  6. ^ a b c 木戸調「アイヌ文化伝承を規定する民族関係・コミュニティ・ネットワーク 浦河町のアイヌ文化伝承者の語りを通して」『北海道大学大学院教育学研究院紀要』第138号、北海道大学大学院教育学研究院、2021年6月25日、224頁、 CRID 1390572175459422720 
  7. ^ a b c d e 「北海道・日高管内に係る【歴史上人物50人・年代順】一覧!」 - 日高振興局保健環境部環境生活課”. 北海道 (2021年). 2024年3月8日閲覧。
  8. ^ 平成15年度 アイヌ文化奨励賞(個人)浦川ツタ(71歳)”. アイヌ民族文化財団. 2024年3月8日閲覧。
  9. ^ a b 『アイヌ民俗資料調査報告』北海道教育委員会、1968年、54頁。 NCID BN10331815 
  10. ^ 萩中他 1992, p. 66
  11. ^ a b c 『荻伏百年史』荻伏開基百周年記念協賛会、1983年4月1日、148頁。 NCID BN05714484 
  12. ^ 木戸 2021, p. 218
  13. ^ 遠山サキ(語り)弓野恵子(聞き書き)『アネサㇻ シネウㇷ゚ソㇿ アイヌとして生きた遠山サキの生涯』地湧社、2019年3月20日、190頁。 ISBN 978-4-88503-249-3 
  14. ^ 若月 1992, p. 52
  15. ^ 「民族の誇り継承誓う 浦河ウタリ文化保存会40周年式典 台湾・排湾族と交流も」『北海道新聞北海道新聞社、2000年10月11日、夕日夕刊、8面。
  16. ^ 木戸 2021, p. 217
  17. ^ 計良智子『フチの伝えるこころ アイヌの女の四季』寿郎社、2018年12月20日、66頁。 ISBN 978-4-909281-13-5 



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