東京帝国大学_LB-2とは? わかりやすく解説

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東京帝国大学 LB-2

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/09 17:13 UTC 版)

LB-2は、日本の東京帝国大学(現東京大学)で設計され、日本航空工業(現日産車体)が製作した軽飛行機

概要

東京帝大の学生航空研究会は、1936年昭和11年)に[1][2][3]研究実習として[2]自主的にLB-2の企画を立ち上げ[1][2][4]1937年(昭和12年)5月頃より[4]航空研究所木村秀政技師の指導[1][3][4]和田小六所長の支援の下、1938年(昭和13年)から1939年(昭和14年)卒業の[5]十数名の学生が[1]、阿曾真一郎をリーダーとして[1][6]リレー方式で設計などの作業を行った[1]。実機の製作は日本航空工業の[1][2][3][6]平塚工場で行われ、1939年12月初頭に1機が完成。その後、羽田飛行場にて[1][6]同年12月17日[6]あるいは12月18日に初飛行した[1][3]。与えられた機体記号は「J-BBFI」[1][2]

機体は木製[1]あるいは木金混製の[2]骨組に羽布張り[1][2]、半片持式の高翼を持つ単発単葉機[1][2][6]、グライダーと同レベルまで構造を繊細にするとともに、低出力のエンジンでも運用できるように軽量化が図られている[5]。全体的には「堅実保守的」と評される形式だったが[1]、当時の日本では珍しかったNACA 23012を翼型とする[6]楕円テーパー翼を主翼に、透明板をコックピットの前面と側面に用いるなど[1]、学生の設計という出自故に[2]各部に先進的な要素を採用していた。機体は「東大色」のライトブルーで塗装されており[1][2]、機体名の「LB」もこの東大色に由来する[1][6]。座席配置はタンデム複座だが[1][2][5]、これは設計時の第2案であり、機体名の「2」の由来となった。なお、第1案は並列複座だった[1]

エンジンは、プー・ド・シェルといった[4]軽飛行機向けに日本飛行機がフランスから輸入していた[1][4]トラン「6C-01」英語版を装備していたが[1][2][3]不調が常態化しており[1][3][4]、LB-2は試作のみに終わった[1][4]。現役当時の世間からの評価については、エンジン不調によって飛行回数が少なく[1][3][4]知名度に乏しかったとも[1]、設計を学生が行ったことから人気があったとも言われる[2]

諸元

出典:『日本航空機総集 九州・日立・昭和・日飛・諸社篇』 178,180頁[7]、『日本航空機大図鑑 1910年ー1945年 下巻』 236頁[2]、『日本民間航空史話』 494頁[4]

  • 全長:7.59 m
  • 全幅:11.30 m[2][4]あるいは13.00 m[1]
  • 全高:3.09 m
  • 主翼面積:16.0 m2
  • 自重:246 kg[1][2]あるいは280 kg[4]
  • 全備重量:460 kg[1][2]あるいは480 kg[4]
  • エンジン:トラン 6C-01 空冷倒立6気筒(60 hp) × 1
  • 最大速度:176 km/h
  • 巡航速度:144 km/h
  • 実用上昇限度:4,800 m
  • 航続距離:564 km
  • 翼面荷重:28.8 kg/m2
  • 乗員:2名

脚注

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab 野沢正 1980, p. 178.
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 小川利彦 1993, p. 236.
  3. ^ a b c d e f g 藤原洋 & 藤田俊夫 2008, p. 172.
  4. ^ a b c d e f g h i j k l 江頭正樹 1966, p. 494.
  5. ^ a b c 江頭正樹 1966, p. 494,495.
  6. ^ a b c d e f g 江頭正樹 1966, p. 495.
  7. ^ 野沢正 1980, p. 178,180.

参考文献

関連項目




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