感受性の遺伝的指標
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/02 07:39 UTC 版)
多くの研究において,感受性の個人差は遺伝子レベルで見られることが示されている。これらには,従来の遺伝と環境の相互作用(Gene-environment interaction)に関する研究で取り上げられてきた候補遺伝子だけでなく,近年のゲノムワイド・アプローチも含まれる。後者の一例として,キアーズらが行った研究がある。この研究では,約25,000もの遺伝子多様体に基づいて環境感受性の遺伝子得点を作成し,その得点が高い子どもたち(すなわち,感受性が高い子ども)と低い子どもたち(すなわち,感受性が低い子ども)とでは,養育環境の質に対する反応性に違いがあるかどうかを調査した。結果として,遺伝子レベルでの感受性が高い子どもは,ネガティブな養育を受けた場合に情動的な問題を示しやすいだけでなく,ポジティブな養育を受けた場合にはそのような問題を示しにくいことが示唆された。その一方で,感受性が低い子どもは,ポジティブな養育からもネガティブな養育からも(感受性が高い子どもほどは)影響を受けておらず,養育環境の質による情動的な問題への影響には差が見られなかった。以上のように,ゲノムからヒトの遺伝子感受性を測定し,その程度がポジティブ/ネガティブな環境からの影響の受けやすさを予測するということを示した点で,この研究は非常に重要なものである。
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