御用の物
- 張形を云ふ。天和二年版の『好色一代男』に「堺町辺に御用の物の細工人の上手ありける」とあり。寛政版の『見た京物語』には「所々小間物店に六寸ばかりの竹の筒へ、御用の物と書いて張り、正面に出してあり、これ宮仕などして、男にあふこと稀なる女の買ふ物のよし」とあり。又元禄の京版『好色日本鹿子』に、張形屋の店の図あり。其店頭の看板に「御用の物品々」と書けり。元禄八年版の『好色旅枕』には、張形の図の上に「是に三名あり。一名は御姿、一名は張形、一名は御養の物」とあり。
- 御用物。張形をいふ。「ごようのもの」といふ。「好色旅枕」に「是に三名あり、一名は御姿、一名は張形、一名は御養の物」とあり、「好色京鹿子」に張形を売る店頭の看板に「御用のもの色々」と書けり。又「好色一代男」に「新町辺に御用の物の細工人の上手ありける」。「見た京物語」に「所々の小間物店に六寸ばかりの竹の筒へ御用のものと書いて張り正面に出してあり、之れ宮仕へなどして男にあふこと稀なる女の買ふもののよし」とあり。
- 『好色小柴垣』五に「堺町辺の御用の物細工人が許へ申けばかの道具いろいろ出し待れども云々」とあり、張形の一名なり。元禄八年版『好色旅枕』には「御養物」と書けり、尚ほ外骨氏の『此花』第二十枝中にある「御養物」といふ記事を参照せよ。
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