幻想曲 (スクリャービン)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 幻想曲 (スクリャービン)の意味・解説 

幻想曲 (スクリャービン)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/16 21:38 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動

アレクサンドル・スクリャービンの《幻想曲ロ短調作品28は、1900年ピアノ曲。《ソナタ第3番》と《ソナタ第4番》の間に完成された、ソナタ形式による単一楽章の作品。スクリャービンがモスクワ音楽院ピアノ科教授として忙殺されていた時期に作曲された唯一の作品である。スクリャービンは、1889年に二台ピアノのための《幻想曲 イ短調》を作曲しているが、スクリャービンの「幻想曲」と言えば事実上本作を指す。

対位法的構想や劇的な性格においては《ソナタ第3番》の特徴を引き継いでいるが、超絶技巧の要求において《ソナタ第4番》の前触れとなっている(ただし、左手の超絶技巧に関して言えば、《第3番》の延長上にあると言える)。全般的に、主題のカノン的な処理が顕著である。3つのソナタ主題で構成され、情熱的な第1主題、26小節にわたって繰り広げられる霊感に満ちた第2主題、力強い密集和音で半音階的に進行する第3主題が含まれる。このうち第3主題は、《神聖なる詩》の世界を予告している。再現部は後で拡張され、さらに敷衍される。息の長いコーダを通じて情緒的な旋律線が進んで行く。このような工夫は、後年の《「白ミサ」ソナタ》においても現れることとなる。

ロシアのピアニストには人気のある楽曲だが、作曲者自身は本作を顧ることがなかった。レオニード・サバネーエフがスクリャービンの自宅のピアノで《幻想曲》の主題を弾いたところ、スクリャービンは隣の部屋から「誰の曲だい?覚えがあるな」と叫んだ。サバネーエフが「あなたの幻想曲ですが」と答えると、スクリャービンは「何て幻想曲?」と聞き返したという。

関連事項

外部リンク


「幻想曲 (スクリャービン)」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「幻想曲 (スクリャービン)」の関連用語

幻想曲 (スクリャービン)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



幻想曲 (スクリャービン)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの幻想曲 (スクリャービン) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS