巨人軍の歌
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「巨人軍の歌」(きょじんぐんのうた)は、日本プロ野球のセントラル・リーグに所属する読売ジャイアンツ(巨人)の球団歌である。
巨人の球団歌は1934年(昭和9年)に大日本東京野球倶楽部として創設されて以来、現在までに3代が存在する。3曲とも正式な名称は「巨人軍の歌」であるが[1]、レコード盤への吹き込み時に区別のためそれぞれ異なる通称が付けられており、後年に市販のアルバムへ収録された際の表題でも通称の方が用いられている。
各曲の解説
3曲とも日本コロムビアの管理楽曲であり、演奏に際しては専属開放申請が必要である。
CD化された音源はいずれも2010年(平成22年)発売の『野球ソングス 大定番と貴重盤』(COCP-36066)[2]他の各種アルバムに収録。また初代「野球の王者」[3]、2代目「ジャイアンツ・ソング」[4]の2曲は国立国会図書館・歴史的音源で提供されている。
野球の王者
「流行歌 野球の王者」 | |
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伊藤久雄、コロムビア合唱団 の シングル | |
リリース | |
規格 | SPレコード |
ジャンル | 球団歌, 応援歌 |
時間 | |
レーベル | 日本コロムビア(30199) |
作詞・作曲 |
作詞:西條八十 作曲:古関裕而 編曲:仁木他喜雄 |
初代「巨人軍の歌」、通称「野球の王者」は、1939年(昭和14年)3月4日に後楽園球場で開催された「巨人軍帰朝歓迎大会」の席上で発表・初演奏が行われた[5]。作詞は西條八十[注 1]、作曲は古関裕而で、伊藤久男の歌唱により日本コロムビアがレコード盤を製造した[3]。
古関は「野球の王者」を作曲する3年前に佐藤惣之助の作詞で「大阪タイガースの歌」[注 2]を手掛けているが、日本職業野球連盟結成以前の1931年(昭和6年)には読売新聞社主催の日米対抗野球テーマソングとして久米正雄の作詞で「日米野球行進曲」を作曲していた[6][7]。
元々、東京巨人軍の前身である大日本東京野球倶楽部がアメリカ大リーグ選抜チームとの対戦を目的とする日本代表チームであった経緯などを踏まえ、2番に見られる「世界の覇権」「祖国の名誉」などの国粋主義的なフレーズを織り込んだ歌詞が特徴である。さらに、3番では他球団を「凡百のチーム」と揶揄して巨人軍をその上に「そそり立つ巨木」とする表現が含まれているが、翌1940年(昭和15年)に発表された東京セネタースの球団歌「セネタースの歌」(作詞・尾崎喜八、作曲・小松平五郎)の2番では「不動の巨木」を打ち倒すと言う「野球の王者」への意趣返しを込めたフレーズが採り入れられている[8]。
ジャイアンツ・ソング
「読売新聞撰定歌 ジャイアンツ・ソング」 | |
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藤山一郎、コロムビア合唱団 の シングル | |
リリース | |
規格 | SPレコード |
ジャンル | 球団歌, 応援歌 |
時間 | |
レーベル | 日本コロムビア(A669) |
作詞・作曲 |
作詞:岡野青志 補作:藤浦洸 作曲:米山正夫 |
2代目「巨人軍の歌」、通称「ジャイアンツ・ソング」は1949年(昭和24年)に新球団歌の公募を実施し、15539通の応募作から選定され東京都港区の芝スポーツセンター開館記念イベントとして9月25日に読売新聞社主催で開かれた「プロ野球ファンの集い」において発表・制定された。
作詞・岡野青志、補作・藤浦洸、作曲・米山正夫。藤山一郎による歌唱で日本コロムビアよりレコードが発売された。作曲者の米山は、大阪近鉄バファローズの球団歌でも作曲を担当している。
文語体で国粋主義調の「野球の王者」に対して簡潔な口語体の歌詞となっている。歌の後半で「ジャイアンツ」を連呼することから「ジャイアンツ・ソング」の別名で呼ばれ、発表当時のレコード盤や2012年(平成24年)に発売された「生誕100年記念 米山正夫大全集」のディスク1(COCP-37565)他のアルバム収録時にもこの表題で収録されている[9]。
この公募と同時期に発足した東京消防庁では「東京消防歌」と「巨人軍の歌」の公募時期が重なったため巨人に注目が集まって消防歌の方の投稿が少なくなるのではないかと懸念されたが、結果的に消防歌も4743通が集まり安堵したというエピソードがある[10]。
闘魂こめて
「巨人軍の歌(闘魂こめて)」 | |
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(A面)守屋浩、三鷹淳、若山彰、コロムビア男声合唱団 / (B面)北原謙二、五月みどり、コロムビア合唱団 の シングル | |
A面 | 巨人軍の歌(闘魂こめて) |
B面 | 巨人軍音頭 巨人はでっかいよ |
リリース | |
規格 | シングル / ソノシート |
ジャンル | 球団歌, 応援歌 |
時間 | |
レーベル | 日本コロムビア(SA-1094) |
作詞・作曲 |
【A面】作詞:椿三平、補作:西條八十、作曲:古関裕而 【B面】作詞:岡本又一郎、補作:西沢爽、作曲・編曲:船村徹 |
3代目「巨人軍の歌」、通称「闘魂こめて」は1962年(昭和37年)に球団設立30周年を記念して公募を実施し、20892編の応募作から選定され1963年(昭和38年)5月4日に発表・制定。現在も球団歌として演奏されている。
作詞で入選した「椿三平」は広島東洋カープの初代球団歌「広島カープの歌」(後に歌詞の一部を変更し公式応援歌「勝て勝てカープ」に改題)作詞者の池田真琴と同一人物である。初代「野球の王者」作詞者の西條八十が歌詞を補作し、作曲は同じく「野球の王者」の古関裕而が24年ぶりに再起用された[6]。
オリジナル版の歌唱は守屋浩(1番)、三鷹淳(2番)、若山彰(3番)が担当し、B面曲として北原謙二と五月みどりが歌唱する「巨人軍音頭 巨人はでっかいよ」が収録された。1980年代にリニューアルされた現行版は混声合唱団の歌唱となっている。
1976年(昭和51年)には藤川純一歌唱のこの曲と、B面曲として同じく藤川による「がんばれジャイアンツ」を収録したシングル(SCS-301)が、1983年(昭和58年)には藤川歌唱のこの曲と、B面曲としてアンサンブル・ボッカによるテレビアニメ『巨人の星』主題歌「行け行け飛雄馬」を収録したレコードシングル(AH-341)が発売されている。
プロ野球の吹奏楽応援が普及しだした1980年(昭和55年)頃、巨人応援団が本曲の歌い出しの部分をアレンジし、汎用応援歌(通称「闘魂マーチ」)として使用した。
2006年(平成18年)7月4日より、JR水道橋駅で発車メロディに使用されている。当初は同年のシーズン終了までを予定していたが、シーズン終了後も使用が継続されている。2009年(平成21年)には、コロムビアから守屋・三鷹・若山の創唱と「巨人はでっかいよ」を収録したCDシングル(COCA-16304)が発売された[11]。
NHK連続テレビ小説『エール』第118話(2020年11月25日放送分)では、作曲者の古関がモデルの裕一(窪田正孝)が、1964年東京オリンピック の入場行進曲「オリンピック・マーチ」を作曲する前に、「闘魂こめて」を作曲し、自ら歌ってみせるエピソードが盛り込まれた[12]。
備考
「野球の王者」創唱者の伊藤久雄は同じく古関が作曲した中日ドラゴンズの初代球団歌で1950年(昭和25年)に発表され、1977年(昭和52年)まで使用された「ドラゴンズの歌」でも創唱者となっている。
「ジャイアンツ・ソング」創唱者の藤山一郎は同年発表の毎日オリオンズ球団歌でロッテオリオンズ時代の1991年(平成3年)まで使用された「わがオリオンズ」の創唱者でもあり、他に作曲家として1951年(昭和26年)発表の「西鉄ライオンズの歌」と1961年(昭和36年)発表の「阪急ブレーブス応援歌(晴れたる青空)」の2曲を手掛けている。
「闘魂こめて」創唱者3名のうち若山彰は同じく古関作曲の「大阪タイガースの歌」が1961年の球団名変更を受けて「阪神タイガースの歌」に改題された際にカバー版を歌唱しており[13]、三鷹淳は1977年発表の大洋ホエールズ球団歌「行くぞ大洋」の作曲と創唱を行っている。
注釈、出典
注釈
出典
- ^ 公式サイト「巨人軍年表」による。
- ^ 野球ソングス 大定番と貴重盤 - 日本コロムビア。
- ^ a b c NDLJP:8275490 - 流行歌:野球の王者(国立国会図書館・歴史的音源)
- ^ NDLJP:2914865 - 讀賣新聞撰定歌 ジャイアンツ・ソング(国立国会図書館・歴史的音源)
- ^ 読売新聞、1939年3月4日付夕刊。
- ^ a b “巨人・闘魂こめて! 阪神・六甲おろし! 共に古関裕而の『名曲』”. 福島民友. (2020年6月22日) 2021年3月16日閲覧。
- ^ “【福島県郡山市】古関裕而作曲、久米正雄作詞の「日米野球行進曲」を展示中です!”. 日本遺産ポータルサイト. 文化庁 (2020年11月1日). 2021年3月16日閲覧。
- ^ 尾崎榮子「附記」(尾崎喜八研究会『尾崎喜八資料』第5号, 1989年2月), p29
- ^ 生誕100年記念 米山正夫大全集 - 日本コロムビア。
- ^ “消防雑学事典「消防の歌あれこれ」”. 東京消防庁. 2021年3月16日閲覧。
- ^ 巨人軍の歌 -闘魂こめて-
- ^ 朝ドラで「闘魂こめて」流れる 鉄男「これで巨人は無敵に」もファン心中複雑(『スポーツニッポン』2020年11月25日付記事)
- ^ 「大阪タイガースの歌」制定時の創唱者は中野忠晴。
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