山下紅畝とは? わかりやすく解説

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山下紅畝

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/07 09:07 UTC 版)

山下 紅畝
(やました こうほ)
読売新聞1920年10月19日
「稽古日の中田紅畝女史」
生誕 中田 くら
1884年4月20日
香川県那珂郡丸亀葭町
死没 (1977-10-25) 1977年10月25日(93歳没)
国籍 日本
教育 東京女子高等師範学校
出身校 高松高等女学校
著名な実績 日本画
代表作 『朝』『孔雀に罌粟』など
配偶者 山下谷次
選出 日本画会
影響を受けた
芸術家
荒木十畝

山下 紅畝(やました こうほ、1884年明治17年〉4月20日[1] - 1977年昭和52年〉10月25日[1])は、女流日本画家日本画会会員[2]。多くの日本画を描き残すと共に、多くの弟子を育成することで、郷里の香川県の日本画壇に貢献した人物である。本名は山下くら[2]、または山下久良子[1]。旧姓は中田[3]

経歴

香川県那珂郡丸亀葭町(現・丸亀市葭町)で誕生した[4]。高松高等女学校(現・香川県立高松高等学校)を卒業後、女子高等教育への進学率が0.1%という時代にあって[5]東京女子高等師範学校へ進学[6]。1906年(明治39年)に同校を卒業後に[3]奈良女子高等師範学校で教員として勤めた[6]

1907年(明治40年)、東京女子高等師範学校の研究課程技芸科に入学した[6]。この在学中に色彩の研究の傍らで[3]、同校の教師であった日本画家の荒木十畝に絵画の指導を受け、荒木より「紅畝」の雅号を受けた[6]

卒業後は母校の教壇に助教授として立つ一方で、荒木十畝の門下に残って、荒木の画塾で画法の向上に尽力した[6]。日本絵画展や万国博覧会画展などの入選を経て、1918年(大正7年)に『朝』が文展に入選し、女流画家としての知名度を得た[6]。1920年(大正9年)には[3]、まだ女性が入学不可であった帝国大学に、初の女子聴講生として迎えられた[5]

1922年(大正11年)に、当時の衆議院議員だった山下谷次と結婚した[6]。政治家の妻として、また三男二女の母として多忙な日々を送った[6]。このために女流画家として注目を集めながらも、山下の妻として専念するために、絵画から離れた[7]

1936年(昭和11年)に夫と死別し、遺児を育て上げた後に、1951年(昭和26年)に丸亀に帰郷した[6]。晩年は中津万象園で過ごし[5]、画業の傍らで、多くの弟子をとって絵画を教え、香川県の日本画壇の発展に大きく貢献した[1]。1977年10月に、満93歳で死去した[8]

没後

丸亀帰郷後に遺した作品は、香川県内の金刀比羅宮博物館、高松市美術館、丸亀市区民館蓬莱閣、高松酒造会館大広間などに展示されている[6]

晩年を過ごした万象園が女子少年院「丸亀少女の家」の近隣だった縁で、同院に2点の作品が寄贈されている[6][9]。中でも大作の『孔雀に罌粟』は1957年(昭和32年)、72歳のときに描かれた作品であり、同院の少女たちを見守る存在として講堂に長く飾られ、紅畝の代表作の1つにも数えられている[6]。京都書院による『日本の花鳥画 昭和編』にも、昭和を代表する百の日本画の一つとして収録されている[7]

脚注

  1. ^ a b c d 20世紀日本人名事典 2004, p. 2636
  2. ^ a b 堀川 1968, p. 60
  3. ^ a b c d 大正ニュース事典 1987, p. 523
  4. ^ 『香川県大百科事典』四国新聞社、1984年4月10日、936頁。doi:10.11501/12193119ISBN 978-4-915604-00-3 
  5. ^ a b c “四国家のお宝”第1弾 丸亀市初登場!「丸亀京極文化と中津万象園の意匠」ツアーの発売について” (PDF). 四国旅客鉄道. p. 1 (2019年2月26日). 2025年3月6日閲覧。
  6. ^ a b c d e f g h i j k l 菱田 2017, p. 36
  7. ^ a b 刑政 1993, p. 12
  8. ^ 日本人名大辞典上田正昭他監修、講談社、2001年12月6日、1971頁。 ISBN 978-4-06-210800-3https://kotobank.jp/word/%E5%B1%B1%E4%B8%8B%E7%B4%85%E7%95%9D-11176062025年3月6日閲覧 
  9. ^ 小畑輝海「希望の炎絶やすまじ」『刑政』第111巻第3号、矯正協会、2000年3月1日、14頁、doi:10.11501/2671954全国書誌番号: 00006611 

参考文献




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