小臣艅犀尊とは? わかりやすく解説

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小臣艅犀尊

(小臣ヨ犀尊 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/07 01:10 UTC 版)

小臣艅犀尊(しょうしん よ さいそん)、あるいは小臣艅尊(しょうしん よ そん)、または小臣艅犧尊[1][2][注釈 1](しょうしん よ ぎそん)は、中国商代晩期の青銅器で、清代道光年間(一説に咸豊年間)[3]山東省寿張県梁山で出土した“梁山七器中国語版”の一つ。この器全体は双角犀牛形をしており、内底には27字の銘文があり、記録されているのは、商王の夷方中国語版征伐時に、小臣中国語版艅(よ)に若干の貝幣(ばいへい)を賞賜(しょうし)し、それによって、艅がこの器物を作って記念としたとのことである。この器は出土後、アメリカに流入し、国際オリンピック委員会会長アベリー・ブランデージの収蔵品だったことがあり[4]、現在はアメリカのサンフランシスコ・アジア美術博物館英語版中国語版に所蔵されている。[5][6]


  1. ^ 」は「」の旧字体なので、“小臣艅”と書いても差し支えはなさそうであるが、参考文献に従い旧字体を用いる。
  2. ^ 鳥獣尊または鳥獣形尊と称し、鳥獣形の酒器を指す
  3. ^ 一説に24.5cm[11]
  4. ^ 商代の干支の書き方は『甲骨文合集』第37986片の甲骨(干支表)で参照できます(画像, 画像および抜き書きと釈文付き)[20]
  1. ^ 内藤戊申(項目執筆者), 「小臣艅犧尊」『書道全集1 中国1 殷・周・秦』, 1965, p.74,171
  2. ^ 松丸道男 他, 1990, p.28,119, ●金文●28
  3. ^ a b 上掲、「小臣艅犧尊」『書道全集1 中国1 殷・周・秦』, 1965, p.171 で内藤戊申は、道光年間(1821年 - 1850年)出土と解説している。
  4. ^ 「シカゴ ブランデージ コレクション」(上掲、「小臣艅犧尊」『書道全集1 中国1 殷・周・秦』, 1965, p.74,171)。
  5. ^ a b 陈履生(摄影)、芳芳(编辑) (2016年3月10日). “国博講堂 商代晩期小臣艅銅犀尊及其收藏者” [国家博物館講堂 商代晩期の小臣艅銅犀尊およびその収蔵者] (中国語). 中国网. 2016年10月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年10月1日閲覧。
  6. ^ 張超俊. “活在歴史里的中国犀牛” [歴史の中に生きている中国のサイ] (中国語). 中国国家地理. 中华遗产 2009年第07期. 中国ナショナルジオグラフィック. 2016年10月1日閲覧。
  7. ^ 上掲、内藤戊申, 1965, p.171では、これら同時に出土した銅器類を「梁山出土器群」と呼んでいる。
  8. ^ 金叶(文、图) (2014年3月17日). “西周太保鼎:唯一一件国内館藏的梁山七器(图) [西周太保鼎:唯一国内館所蔵の梁山七器の1件(図)]” (中国語). 广州日报. 大洋网 (新浪收藏). http://collection.sina.com.cn/jczs/20140317/0759146286.shtml 2016年10月9日閲覧。 
  9. ^ 郑元旭. 迷失的文物. 企业管理出版社, 2009. ISBN 9787802551886 第24章 最朴素的稀世珍宝——小臣犀尊
  10. ^ a b c d e 陈诗悦 (2016年2月11日). “专访许杰:亚洲不是地理或族群,博物馆要讲述的是关联的故事” [許傑・単独インタビュー:アジアは地理や民族グループに限定されない、博物館こそ言わなくてはならない交流の話] (中国語). 澎湃新聞中国語版. 2016年10月4日閲覧。
  11. ^ a b “以后别去动物园了,来这里看动物吧 [これからは動物園に行かないで、ここに来て動物を見よう]” (中国語). 腾讯新闻. 中国青铜艺术微信号. (2015年6月5日). http://view.inews.qq.com/a/RUS2015060404036001 2016年10月8日閲覧。 
  12. ^ 中国青铜器全集编辑委员会 编 (2006-09-01). 中国青铜器全集4·商4. 文物出版社. p. 图版说明34. ISBN 9787501010363 
  13. ^ 许杰 (2015年12月28日). “(上海)讲座:藏诸名山:旧金山亚洲艺术博物馆的历史、收藏及展览” [(上海)講座:蔵諸名山:サンフランシスコ・アジア美術博物館の歴史・収蔵および展覧] (中国語). 国图空间. 上海博物馆. 2017年1月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年10月7日閲覧。
  14. ^ 黄宏. 犀牛归来. 中国社会科学报. 2011年4月12日第18版
  15. ^ 上掲、「小臣艅犧尊」『書道全集1 中国1 殷・周・秦』, 1965, p.171は、「他の類例のない珍品」と評している。
  16. ^ 苏海涛 (2012年10月25日). “西汉错金银云纹铜犀尊 [前漢錯金銀雲紋銅犀尊]” (中国語). 包頭日報: p. B02. オリジナルの2016年10月6日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20161006002540/http://www.baotounews.com.cn/epaper/btrb/html/2012-10/25/content_217756.htm 2016年10月9日閲覧。 
  17. ^ Ritual Vessel in the Shape of a Rhinoceros” [サイ形の祭儀容器] (英語). Collection. アジア美術博物館 (サンフランシスコ). 2016年2月17日閲覧。
  18. ^ a b c 松丸道男 他, 1990, p.28,119, ●金文●28は、
    丁子(巳)、王𥃻(省)且(祖)、王易(賜)小臣艅貝、隹(惟)王來正(征)人方、隹(惟)王十祀又(有)五、日。
    “丁巳、王 夒の祖を省す。王 小臣艅に夒の貝を賜ふ。惟(こ)れ 王の來たり人方を征するのとき。惟(こ)れ 王の十有五祀、肜日なり。”
    丁巳の日に、王(帝辛)が、その祖国である夔の祖先へのお参りに出かけた。王は、家臣である艅に対して、夔の国に産する特別の宝貝(子安貝)を賜った。これは、王が〝人方〟(山東方面?)に遠征して帰路にあった年のことで、またそれは王・帝辛の即位15年、肜祭のときのことでもある。
    としている。
  19. ^ a b c 上掲、「小臣艅犧尊」『書道全集1 中国1 殷・周・秦』, 1965, p.171で内藤戊申は、貝塚茂樹の論文「殷末周初の東方經略に就いて」を参照して、
    丁巳の日、殷の王が、當時東夷の一中心地でかつ聖地であった夔(き)(梁山にあたるか)において殷の先祖の祭をおこなった。(貝塚氏は殷民族の原住地を東方と考え、殷の西遷後殷と離れたこの地方を殷末に奪回したのだと想定する)その際、夔に寶藏されていた貝(ばい)を王の近臣、艅(よ)に賞として與えた。時は、王が東夷の地に來り征した年、すなわち王の卽位の十五年の肜(ゆう)の祭の日なり、というのである。その後東夷民族鎭撫のため小臣艅およびその子孫はこの地に定住したので、この器が梁山から出土することになつたのだろうと貝塚氏は考える
    としている。この解説は、を「京」とせず、「且(祖)」としている点を除き、釈文も含め、この記事本文での解釈とほぼ同じものである。かえって、上述の松丸道男 他, 1990, p.28,119, ●金文●28は同じくを「且(祖)」と解しているが、銘文全体の解釈はやや異なる。
  20. ^ 松丸道男 他, 1990, p.16 にも、●甲骨文●【36】として収録されている。
  21. ^ 殷末周初の東方經略に就いて(上、下)”. 漢字研究データベース. 立命館大学 白川静記念 東洋文字文化研究所. 2019年5月3日閲覧。
  22. ^ 上掲、「小臣艅犧尊」『書道全集1 中国1 殷・周・秦』, 1965, p.171


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