トランスクリティカル分岐とは? わかりやすく解説

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トランスクリティカル分岐

(安定性交替型分岐 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/06 18:50 UTC 版)

トランスクリティカル分岐の様子を示すアニメーション。曲線が x 軸と1点で接するときに分岐が起きる。

トランスクリティカル分岐(英語: transcritical bifurcation)は、力学系における分岐の一種。安定性交替型分岐遷臨界型分岐ともいう。安定な固定点と不安定な固定点が衝突し、安定性が入れ替わるような分岐を起こす。

トランスクリティカル分岐は、固定点近傍で起こる局所的分岐の一種で、1次元以上の系で起こる。連続力学系と離散力学系のどちらにもトランスクリティカル分岐と分類されるものがあり、連続力学系の標準形は1次元常微分方程式

連続力学系の標準形(右辺第2項符号が負の場合)において、パラメータ μ を変化させたときの x-f(x) グラフの様子


パラメータ μ と固定点 x* の変化を整理すると次のようになっている[20]

  • μ < 0 では、x* = μ は不安定固定点、x* = 0 は安定平衡点である。μ を増加させていくと、x* = μ0 へ近づいていく。
  • μ = 0 では、2つの固定点が衝突、一致して、固定点は x = 0 のみとなる。
  • μ > 0 では、再び固定点は2つになり、今度は x* = μ が安定固定点、x* = 0 が不安定固定点になる。

パラメータ μ を独立変数とみなし、μ-x 平面で固定点の様子を描いたものを分岐図という[21]。トランスクリティカル分岐の標準形の分岐図は、以下の図のようになる[22]

トランスクリティカル分岐の分岐図。左がスーパークリティカルの場合、右がサブクリティカルの場合。

離散力学系

離散力学系におけるトランスクリティカル分岐の標準形は、次の1次元写像で与えられる[23]

トランスクリティカル分岐の標準形のパラメータ μ を変化させたときの f (x)-x グラフの様子


パラメータ μ と固定点 x* の変化は次のようになっている[26]

  • μ < 0 かつ |μ| ≪ 1 では、x* = μ は不安定固定点、x* = 0 は安定固定点である。μ を増加させていくと、x* = μ0 へ近づいていく。
  • μ = 0 では、2つの固定点が衝突、一致して、固定点は x = 0 のみとなる。
  • μ > 0 かつ |μ| ≪ 1 では、再び固定点は2つになり、今度は x* = μ が安定固定点、x* = 0 が不安定固定点になる。

離散力学系の標準形の分岐図は、連続力学系と同じ形である[27]

一般的条件

標準形に限定されない一般的な力学系において、トランスクリティカル分岐の一般的な発生条件は次のように整理できる。1つのパラメータを持つ一般的な1次元ベクトル場

ウィキメディア・コモンズには、トランスクリティカル分岐に関するカテゴリがあります。
  • Weisstein, Eric W. "Transcritical Bifurcation". mathworld.wolfram.com (英語).




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