安全保障技術研究推進制度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/08 08:19 UTC 版)
安全保障技術研究推進制度(あんぜんほしょうぎじゅつけんきゅうすいしんせいど)は、2015年から募集されている[1]、防衛装備庁による競争的研究費制度で、防衛省ファンディングとも通称される[2]。「防衛分野での将来における研究開発に資することを期待し、先進的な基礎研究を発掘・育成する制度」であり、年間概ね100億円規模の予算規模となっている[3]。
この制度の発足後、2017年4月には日本学術会議が「軍事的安全保障研究に関する声明」を発表して、この制度に対する懸念を表明したこともあり[1]、当初は大学等の高等教育研究機関からの応募は限定的であった[4]。しかし、2022年7月に日本学術会議が「軍民「両用」技術の研究を容認」[5]して以降は、大学等からの応募が拡大している[4]。
2025年の応募件数は、過去最高の240件となり、うち大学(高等専門学校、大学関連機関を含む)が123件、民間企業・公益社団法人が134件、独立行政法人等の公的研究機関が83件であった[4]。大学等からの応募件数は、制度発足当初は10件程度にとどまっていたが、2023年の23件、2024年の44件と、飛躍的な拡大が続いており、報道では「科学技術のデュアルユース(軍民両用)への理解が深まってきたことなどが増加の背景にある」とも分析されている[4]。
当初は、一貫して、防衛装備庁からの委託研究の形式がとられていたが、2025年度の募集からは、予算の一部(10億円程度)が研究者の自発的研究への補助事業とされることになった[4]。
脚注
- ^ a b 「軍事的安全保障研究に関する声明 (PDF)」日本学術会議、2017年4月13日。2025年8月8日閲覧。
- ^ 「安全保障技術研究推進制度(防衛省ファンディング)」防衛装備庁、2017年3月24日、ii(PDF 6ページ)頁。2025年8月8日閲覧。
- ^ 「安全保障技術研究推進制度 1.事業概要 (PDF)」防衛省。2025年8月8日閲覧。
- ^ a b c d e 「防衛装備庁の研究制度、大学からの応募3倍に…「軍民両用」への理解の深まり背景か」『讀賣新聞オンライン』読売新聞社、2025年7月13日。2025年8月8日閲覧。
- ^ 「学術会議、軍民「両用」技術の研究を容認…「単純に二分するのはもはや困難」publisher=読売新聞社」『讀賣新聞オンライン』2022年7月27日。2025年8月8日閲覧。
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