囲碁のバリエーションとは? わかりやすく解説

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囲碁のバリエーション

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/12 16:36 UTC 版)

囲碁のバリエーションでは、囲碁のルールや盤面をさまざまに変化させた各種のバリエーションについて解説する。

碁盤のバリエーション

囲碁では、19×19の盤(19路盤)を使うことが普通であるが、これ以外のサイズで打つことも可能である。よく用いられるのは、9路盤と13路盤である。

9路盤

19路盤は初心者にとっては広すぎるため、入門用に9×9の盤(9路盤)が用いられることがある。盤面全体を把握しやすく、短時間で勝負がつく利点がある。とはいえ十分奥が深く、プロ棋士によるトーナメント戦が開かれたこともある[1]。また、いくつか戦術書も刊行されている。

  • 9路盤の進行の一例

13路盤

少路盤としては、13×13の13路盤もよく用いられる。9路盤に比べて広いため、布石などの概念もあり、19路盤にかなり近い感覚となる。こちらも、プロも参加した大会が行われたことがある。19路盤はスマートフォンの小さな画面では操作しにくいが、13路盤なら十分操作可能であるため、9路盤と並んでアプリによる対戦も盛んに行われている。

その他のサイズ

後漢時代の墓から出土した碁盤は17路であった。また、チベットで行われていた「ミマン」も17路の盤を用いるため、古くは17路盤が広く用いられていたと見られる。

入門用に、7路などの小さい盤が用いられることがある。またプロ棋士の張栩は、4路の盤を用いた問題集や、碁盤を作成している[2]

トーラス碁

碁盤の上辺と下辺、右辺と左辺をつないだ形、すなわちトーラス(ドーナツ状の形)の碁盤を用いて打つ碁も考えられている。隅や辺が存在しないため、通常の碁盤のような定石や布石は通用しない。専用のコンピュータプログラムが作られている他、ヨーロッパ碁コングレスではトーラス碁のトーナメントも開かれている。

玉碁

二重の正十二面体型の「碁盤」を用いるもので、専用の盤が発売されている[3]

置き石

囲碁ではハンデとして、最初に石を置いてスタートする方法がある(置き碁)。この置き石にもバリエーションがある。

互先置石制

現在、互先での対局では盤面に全く石を置いていない状態からスタートする。しかし室町時代ころまでは、白黒双方が四隅のに2つずつ石を置いた状態から打ち始めていた[4]。これを「互先置石制」という。また前述の「ミマン」では、17路盤にお互いが6つずつの石を配置した上でスタートする。

自由置碁

通常、対戦者の力量に差がある場合には、あらかじめ黒石をいくつか盤面に配置してから打ち始める「置き碁」が採用される。置き石の配置は決まっているが、対局者が自由な場所に置いて始めることもできる。これを自由置碁といい、プロアマ本因坊対抗戦などで採用されている。下図は6子の自由置碁の配置例。

ハンディキャップ

コミ

囲碁は、先に着手する黒が有利なゲームであり、この差を埋めるためにコミが設定される。かつては黒が4目半のハンデを負うのが一般的であったが、近年では6目半のコミが普通になっている。応氏杯では、2目のコミを支払うことで持ち時間を35分延長できる(3回まで)という独特のルールを採用している。

「こことれ」など

対局中に、相手の着手を制限できるルール[5]。多くは座興として打たれる。

  • ここ打つな……対局中に1回だけ、相手に「ここに打つな」と指定できるルール。2子の置き石に相当するハンデとされる。
  • ここせ(ここ打て)……対局中に1回だけ、相手に「ここに打て」と指定できるルール。たとえば二眼ある石でも、眼をつぶす手を打たせることで、殺すことが可能になる。このため、7子の置き石に相当する程度のハンデとされる。
  • こことれ(ここのけ)……対局中に1回だけ、相手に「この石を取り去れ」と指定できるルール。5子の置き石に相当するハンデとされる。
  • ここやすめ……対局中に1回だけ相手に着手させず、連続で打つことができるルール。3子の置き石に相当するハンデとされる。

プレイヤー

通常の囲碁は1対1で対戦するが、それより多数のプレイヤーで打つことも可能である。

ペア碁

4人のプレイヤーが2対2に分かれて打つ。詳細はペア碁の項目を参照。

連碁

多数のプレイヤーが2チームに分かれ、それぞれ交代で着手するもの。記念行事などの際に行われることが多い。

相談碁

2つのチームが別室に分かれ、チームのメンバー同士で相談しながら着手を決定する形式の対局。

脚注

  1. ^ プロ同士の真剣勝負でわかった「9路盤」の奥深さ[千春&明夏の女流棋士ここだけの話] 読売新聞社、2024年3月27日(2025年6月11日閲覧)
  2. ^ 張栩と泉美の「四路盤へようこそ」読売新聞社、2011年9月20日(2025年6月11日閲覧)
  3. ^ 日本玉碁協会
  4. ^ 尾道市囲碁のまちづくり推進協議会「囲碁の歴史」
  5. ^ 「別冊囲碁クラブ37 囲碁雑学ものしり百科」 p.293



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