ホプキンス・レヴィツキの定理とは? わかりやすく解説

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ホプキンス・レヴィツキの定理

(半準素環 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/08/27 06:17 UTC 版)

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抽象代数学の一分野である環論において、秋月・ホプキンス・レヴィツキの定理 (Akizuki–Hopkins–Levitzki theorem) は半準素環上の加群において降鎖条件昇鎖条件を結び付ける。(単位元を持つ)環 R は、R/J(R)半単純でありかつ J(R)冪零イデアルであるときに、半準素環 (semiprimary ring) と呼ばれる。ここで J(R)ジャコブソン根基である。定理の主張は、R が半準素環で M が右 R-加群ならば、3つの条件

が同値であるというものである。半準素という条件がなければ、M が組成列を持てば M はネーターかつアルティンであるということしか言えない。

Charles Hopkins の論文 (Hopkins 1939) と Jacob Levitzki英語版 の論文 (Levitzki 1939) から定理は現在の形となった。そのためしばしばホプキンス・レヴィツキの定理 (Hopkins–Levitzki theorem) と呼ばれる。しかしながら、秋月康夫を含めることがある。数年早く可換環に対して結果を証明したからだ[1](Lam 2001, p. 55)。

右アルティン環は半準素であることが知られているから、定理の直接の系として、右アルティン環は右ネーター環でもある。同様の主張は左アルティン環に対しても成り立つ。これはアルティン加群に対しては一般には正しくない。ネーター的でないアルティン加群の例が存在するからである。

別の直接の系として、R が右アルティン環であるとき、R が左アルティン環であることと左ネーター環であることは同値である。

証明の概略

以下の主張の証明を書く:R を半準素環で M を左 R-加群とする。M がアルティン的あるいはネーター的であれば、M は組成列を持つ[2]。(この逆は任意の環上正しい。)

JR のジャコブソン根基とする。Fi = Ji − 1M/JiM とおく。すると R-加群 FiR/J-加群と見ることができる。JFi零化イデアルに含まれているからである。各 Fi半単純 R/J-加群である、なぜならば R/J が半単純環だからである。さらに、J は冪零イデアルであるから、Fi のうち 0 でないのは有限個しかない。M がアルティン的(あるいはネーター的)であれば、Fi は有限の組成列を持つ。Fi の組成列をつないでいって、M の組成列を得る。

グロタンディーク圏において

定理の一般化や拡張がいくつか存在する。1つはグロタンディーク圏英語版と関係するものである。G がアルティン的生成子を持つグロタンディーク圏であれば、G のすべてのアルティン的対象はネーター的である[3]

関連項目

脚注

  1. ^ Akizuki, Yasuo (1935). “Teilerkettensatz und Vielfachensatz”. Proc. Phys.-Math. Soc. Japan 17: 337–345. doi:10.11429/ppmsj1919.17.0_337. 
  2. ^ Cohn 2003, Theorem 5.3.9.
  3. ^ Toma Albu (2010). “A Seventy Years Jubilee: The Hopkins-Levitzki Theorem”. In Toma Albu. Ring and Module Theory. Springer. http://books.google.com/books?id=pwBF-FCLJ80C&lpg=PA7&dq=hopkins%20theorem%20grothendieck%20categories&pg=PA7#v=onepage&q=nastasescu&f=false. 

参考文献




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