伊藤誠悟
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伊藤誠悟(いとう せいご、2002年11月22日-)は、将棋のアマ強豪。元奨励会員。KAI将棋教室[1]の講師を務める。
藤原北秀郷流佐藤氏の一族の伊藤元景の子孫。
プロフィール
- 生年月日:2002年11月22日
- 出身地:千葉県千葉市
- 学歴:千葉日本大学第一高等学校、日本大学理工学部卒業
- 段位:七段(自称)
棋風
棋歴・主な成績
- 2002年:千葉県千葉市で生まれる
- 2007年:5歳で将棋と出会う
- 2014年:奨励会に入会
- 2015年:奨励会退会
- 2016年
- 第5回J:COM杯3月のライオン子ども将棋大会 全国優勝
- 第37回全国中学生選抜将棋選手権大会 準優勝 [2]
- 第41回中学生名人戦 準優勝
- 2018年
- 第29回関東地区高等学校文化将棋連盟将棋大会 優勝
- 第14回高校将棋王将戦 優勝
- 第33回全国オール学生将棋選手権 3位 [3]
- 2019年
- 第30回関東地区高等学校文化将棋連盟将棋大会 優勝
- 2023年
- 第24回学生将棋選手権大会 準優勝 [4]
- 2024年
- 第73回都名人戦 準優勝
- 2025年
- 第47回朝日アマチュア将棋名人戦 ベスト8
- 第19回朝日杯将棋オープン戦1回戦 宮嶋健太四段に勝利
- 第19回朝日杯将棋オープン戦2回戦 谷合廣紀五段に勝利
- 第19回朝日杯将棋オープン戦3回戦 阿久津主税八段に敗れる
略歴
将棋との出会い
2002年に千葉県千葉市で生まれた伊藤誠悟は、6歳で将棋と出会った。所司和晴七段に弟子入りし、2014年に奨励会に6級で入会するも、翌2015年には退会。しかしその後、アマチュアとして数々の大会で好成績を収めている。2014年の小学生名人戦千葉県予選では、後に女流棋士となる小高佐季子小高佐季子に敗れて代表を逃している。[1]
奨励会退会後
奨励会を退会後に実力を上げ、中学生の大会で頭角を現し始めた。千葉市立小中台中学校に入学後、2016年には「第5回J:COM杯3月のライオン子ども将棋大会」で全国優勝[5]を果たした。授賞式では、副賞である映画『3月のライオン』の「駒音出演権」が、主演の神木隆之介本人から直接贈呈された。この権利によって、伊藤の指す駒音は作中で主人公・桐山零(子供時代)の駒音として実際に使用され、映画のエンドロールにも「駒音」として氏名がクレジットされた。[2]そのほか、「第37回全国中学生選抜将棋選手権大会」と「第41回中学生名人戦」では準優勝に輝いている。ちなみに第37回全国中学生選抜将棋選手権大会の決勝では王手放置をして負けている。2016年、平成28年度 千葉県議会 児童・生徒表彰受賞者(学芸部門)にて千葉県より、表彰を受けている。[6]
高校時代
2018年に千葉日本大学第一高校に入学し、2021年に卒業。常に成績は真ん中くらいだったという。千葉日本大学第一高等学校の特進クラスは、偏差値が60台前半に位置する千葉県内でも有数の進学校である。多忙な学校生活の中で将棋とハイレベルな学業の両立が求められる環境であったが、在学中も安定した実績を積み重ねたことは、伊藤の卓越した能力を物語っている。高校では御徒町将棋センターで腕を磨き、高校2年の時点で東将連(東京アマチュア将棋連盟)のレーティングで2000点オーバーを叩き出し、名だたるアマ強豪ばかりのレーティング上位者に名を連ねた。高校将棋では、「関東地区高等学校文化将棋連盟将棋大会」で2連覇、さらに2018年の「第14回高校将棋王将戦」ではライバルを破り圧倒的な強さで優勝、そして「第33回全国オール学生将棋選手権」では高校生ながら3位入賞[7]を果たした。高校時代は同世代の中でも圧倒的な強さを誇っていたものの、不思議と高校将棋選手権、高校竜王戦、高校新人大会、といった主要な全国大会での入賞経験はない。
大学時代
2021年、日本大学理工学部に入学した。大学時代は奨励会有段者との研究会を主に行い、遜色なく戦っていた。大学3年時には将棋倶楽部24で2900点を達成するも、大学の棋戦では思うような結果が出なかった。1年時の春季団体戦では、2勝3敗と負け越し、大学将棋の洗礼を浴びている。ちなみに最高成績は関東個人戦ベスト16という実績を残している。また、アマチュア棋戦の一般全国大会では何度も県代表を獲得し、学生強豪として全国的に有名な選手となった。2022年の社団戦1部では強豪チーム、光OKACHIのメンバーとしてフル出場。13勝2敗の好成績を叩き出すも、個人賞には一歩及ばなかった。2023年に「第24回学生将棋選手権大会」で準優勝、2024年の学生選手権大会では、直前の都名人戦で元奨励会三段のYoutuberとして人気を博す古田龍生と対戦し敗れたものの、準優勝しており、優勝候補筆頭と目されていたが、まさかの予選落ちを喫している。また、2022年より、KAI将棋教室[8]の講師を務めており、丁寧な指導で人気講師の一人となっている。学部では将棋と両立しながら文武両道に励んだ。理工学部交通システム工学科に在籍し、福田敦教授が主宰する交通システム研究室に所属。卒業研究では「スマートシティの実現に向けたロードマップに基づいたスマートモビリティのあり方の検討 ―バンコク・バンスー地区を対象として―」をテーマに研究を行った。[9]
キャリア形成
2025年3月に大学を卒業し、現在はメーカー系SIerの最大手として知られる富士通株式会社のシステムエンジニアとして物流関連の業務に携わっている。順風満帆にエリート街道を歩んでいるようだが、就職活動では苦労している。当初は様々な業界の大手企業を中心に夏季インターンに応募していたが、当初はESや自己分析が甘く全落ちしてしまう。そこから一念発起して業界をSIerに絞り、ESや自己分析だけでなく適性検査、面接対策にも力を入れ、見事早期選考にて内定を勝ち取った。このことから、伊藤は高い目標に対してもゴール地点から逆算してPDCAサイクルを回し、それを遂行する能力に長けていると言えよう。ちなみに内定先の富士通は職域団体対抗将棋大会(通称:職団戦)で常に上位に入る強豪企業として知られているが、伊藤は同社を志望した動機について「職団戦が目的ではなく、関心のある業務分野に携わりたかったため」と述べている。
公式戦でプロ棋士に勝利
大学棋戦では伸び悩んだ伊藤だったが、卒業を控えたタイミングで、その才は日の目を見た。2025年3月に行われた第47回朝日アマ名人戦ではベスト8に入り、自身初となるプロ公式戦「朝日杯将棋オープン戦」の出場権を獲得した。同年5月に行われた第127回職域団体対抗将棋大会(通称:職団戦)では、初出場ながら富士通のエースとして活躍。決勝では、優勝40回を誇るリコーに敗れたものの、チームを準優勝に導いた。また、プロアマ一斉対局となった2025年6月29日の1回戦では、新進気鋭の宮嶋健太四段と対局。得意の矢倉戦法を駆使し、終始リードを保ったまま勝利を収めた。伊藤が公式戦で初勝利を収めると、SNSでは伊藤の終始落ち着いた指し回しだけでなくその端正な顔立ちを褒め称える投稿が散見された。同年8月3日に行われた2回戦では、AI研究家としても知られる東大生との二足の草鞋を履く振り飛車党、谷合廣紀五段と対戦。普段から研究していた「居飛車穴熊」で自陣の守りを固めつつ、先に攻める戦法を駆使して勝利を収めた。同年、9月23日にA級の経験もある阿久津主税八段と対戦。阿久津の得意戦法である「横歩取り」で挑むも、熱戦の末敗れている。[3]伊藤は「評価値-150点の将棋を徐々にリードを広げられ、苦しくなりました。途中まではある程度、経験のある形になりました。正しく対応されて苦しい展開が続きました。☖9五角で勝負になったかなと思ったのですが、力の差を感じました。今回の朝日杯で公式戦に初めて出場しましたが、こんなに勝つ(2勝)とは思わなかったです。今後のモチベーションにつながります。」と述べている。対して阿久津は対戦相手である伊藤の実力を認めたうえで、「(伊藤アマは公式戦3局目で)棋譜がわからない人と指すことがないので緊張しました。普段にはない感覚でした」と語った。
人物
- 趣味はカラオケ。Mr.childrenの曲を好む。コブクロの「桜」が持ち歌。
- 好きな食べ物は寿司
- 3年間KAI将棋教室の講師を務めている。生徒一人ひとりのレベルに合わせた丁寧な指導に定評があり、伊藤の聡明な佇まいとも相まって明瞭で落ち着いた低音の声質が、生徒の集中力向上に貢献している。
脚注
- ^ “小学生名人戦千葉県予選 大会結果|日本将棋連盟千葉県支部連合会”. www.shogichiba.com. 2025年10月5日閲覧。
- ^ ““棋士”演じた神木隆之介、苦労を語る” (livedoor News). 2025年9月2日閲覧。
- ^ “富士通新入社員の伊藤誠悟さん、元優勝者に敗退 将棋朝日杯1次予選:朝日新聞”. 朝日新聞 (2025年9月23日). 2025年10月5日閲覧。
将棋朝日杯でプロに連勝の22歳 同学年の藤井聡太名人は「別次元」:朝日新聞
- ^ “将棋 学生選手権 伊藤が健闘し準優勝” (2023年4月24日). 2025年8月25日閲覧。
- ^ “伊藤誠悟 / shogidata.info”. 2025年8月25日閲覧。
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