亜目内における繁殖行動の進化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/17 01:54 UTC 版)
「トゲウオ科」の記事における「亜目内における繁殖行動の進化」の解説
同じトゲウオ亜目に所属する近縁のシワイカナゴ科・クダヤガラ科にも、類似の行動が知られているが、トゲウオ科の繁殖行動はより複雑に特化している。トゲウオ亜目の中で最も原始的なグループとして位置付けられるシワイカナゴ科では、卵は海藻にそのまま産み付けられ、むき出しのままである。雄は卵をつついて固める動作をするが、その後は特に保護することもなく、巣から離れてしまう。クダヤガラ科のチューブスナウトでは海藻を束ねた簡素な巣を作るようになるが、やはり孵化まで卵を見守ることはない。 これがトゲウオ科になると、前述の通りスピナキア属は束ねた海藻にグル―を用いて巣材を付着させ、新鮮な水流を送るといった保護行動が伴うようになる。さらに派生的な群であるトミヨ属・アペルテス属やクレア属では海藻(水草)を束ねることはせず、より多くの巣材を付着させることによって卵塊を露出させないようにする。イトヨ属は水草を使わずに水底に巣を作り、卵の保護と子育ての様式がさらに発達している。 卵塊の隠蔽とファニングの必要性はトレードオフの関係にあり、卵を隠せば被捕食率は下がるが、新鮮な水を供給し続けなければならなくなる。形態だけでなく、このような行動様式の進化にも着目することが、トゲウオ亜目内の分類体系確立に寄与するものと考えられる。
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