ヴァイオリン協奏曲第7番 (モーツァルト)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/31 03:04 UTC 版)
ヴァイオリン協奏曲第7番 ニ長調 K. 271a (271i) は、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトが1777年に作曲したとされているヴァイオリン協奏曲であり、現在では新モーツァルト全集において疑作扱いされている楽曲である。『コルプ(Kolb)』の愛称で呼ばれることもある。
概要
1907年に初めて出版されたが、自筆譜は現在紛失している。現在残されているのは、フランスのヴァイオリニスト・ユジェーヌ・ソゼーが師で義父のピエール・バイヨのために作成したパート譜と、ドイツの楽譜コレクターのアロイス・フックスが作成したスコアである(初版はこのフックス版による)。
ソゼーの筆写譜によれば、楽譜には「1777年7月16日にザルツブルクで作曲した」というイタリア語での書き込みがあり、「フランソワ・アントワーヌ・アブネック所有の自筆譜に基づき1837年に筆写した」、とバイヨにより書かれていた。しかし、2つのパート譜には異同があり(終楽章の終結部において、フックス版の方が長い)、ソロパートの重音技法や管弦楽法、各楽章の形式など、当時のモーツァルトの様式にそぐわない点が出版直後から指摘され、現在では、モーツァルト作ではないか、少なくとも他人による加筆があることは間違いないとされる。野口秀夫は、本曲の主題の他のモーツァルト作品との類似点を指摘しつつ、モーツァルト作曲のオリジナル版を19世紀のヴァイオリン奏法に精通した人が勝手に編曲した版である、と推測している[1]。
現在では演奏・録音の機会がほとんどない曲だが、かつては疑いもなく演奏されていたため、ユーディ・メニューインやジャン=ジャック・カントロフ、ヨゼフ・スークらの録音で耳にすることができる。これらは主にフックス版を用いている。
編成
構成
全3楽章、演奏時間は約26分。
脚注
- ^ ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 K.271a (271i) の真正性について―ロンドのエピローグから分かること、野口秀夫、神戸モーツァルト研究会
外部リンク
演奏
ユーディ・メニューイン独奏、ジョルジェ・エネスク指揮、パリ交響楽団(1932年6月録音)。カデンツァ:ジェルジェ・エネスク
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