ラダー (航空機)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2012/01/14 02:44 UTC 版)
ラダー(英語:Rudder)は飛行機の操縦に用いる動翼の一つである。日本語では方向舵(ほうこうだ)と呼ばれる。垂直尾翼後部にある翼型の可動部分であり、機体の重心を貫く上下軸を中心とした動きを制御する。簡単に言うと、左右の首振り運動(ヨーイング)を起こしたり止めたりすることに使う。主翼のエルロンと併用して、定常釣り合い旋回をする。
操縦感覚という比較的評価のしにくい性能にかかわる部分であるため、垂直尾翼まわりは設計者の個性がでる。中島飛行機の小山技師の設計による戦闘機の方向舵は一貫して下ふくれの上下通しの方向舵が採用されていて、迎え角の大きい時の操縦性の確保を狙ったとされている。
ラダーペダル
一般的にラダーは、ラダーペダルを踏んで操作する。
小型飛行機のラダーペダルはノーズギア(前脚)と機械的にリンクしていて、タキシング(地上走行)時の操縦もラダーペダルで行うことが多い。
首振りのしかた
ここでは左への首振りを例にする。右の場合はこの逆と考えればよい。
- 左足で左のラダーペダルを踏む。
- ラダーの後縁側が左へ飛び出る。
- 垂直尾翼に右向きの揚力が発生する。
- 重心まわりに、上から見て (機体を上下に貫くピッチ軸周りに) 反時計回りのモーメントが生じ、左へ機首を振る。
飛行機は、首を振るだけでは機体を上から見て進行方向に対して斜めになるだけ(スキッド状態)で旋回できず、さらには抗力が増すことで速度が低下する。ただし実際は、機体右側に当たる風の圧力により徐々に左旋回をする。また主翼に後退角がついた機体では、右翼が風を切る長さが左翼のそれより増加するため、右翼の揚力が左翼よりやや増加し、徐々に左バンクの挙動も起きる (実際に模型飛行機などではラダーのみでバンク操作をできる機体もある)。最適に旋回するためにはラダー操作と同時にエルロン操作で機体をバンクさせる必要がある。エルロン操作による横滑りを打ち消す以上の過度なラダー操作はスピン (この例では左スピン) に陥る危険を伴うため危険である。
関連項目
「ラダー (航空機)」の例文・使い方・用例・文例
- ラダー_(航空機)のページへのリンク