ベーテの式とは? わかりやすく解説

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ベーテの式

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/19 07:52 UTC 版)

ベーテの式: Bethe formula)とは、高速の荷電粒子陽子アルファ粒子イオン)が物質を通過するとき移動距離あたりに失うエネルギーの平均量を表す式である(この量は阻止能と呼ばれる)[1]。名はハンス・ベーテにちなむ。ベーテは1930年に非相対論的な表式を導き、1932年には相対論的な表式(後述)を作り出した[2]ベーテ・ブロッホの式: Bethe-Bloch equation)と呼ばれることもある。

物質内を移動する高速の荷電粒子は、物質中の原子が持つ電子と相互作用を行ってその原子を励起もしくは電離させ、それと引き換えにエネルギーを失う。エネルギー損失の最確値は平均値とは一致せず、ランダウ-バビロフ分布に従う[3]。飛んでいる粒子が電子である場合、質量が小さいため相対論補正が必要となり、また衝突相手の電子と区別できなくなる性質があるため失われるエネルギー量はわずかに異なる。さらに制動放射による損失も大きいのでその項を追加する必要がある。

電子密度 n のターゲット物質に電気素量 ez 倍の電荷を持つ粒子が入射する場合を考える。物質内の移動距離を x 、粒子の速度を v 、エネルギーを E として、相対論効果を含めたベーテの式は国際単位系で以下のように表される[2]

プロトンに対するアルミニウムの阻止能対プロトンエネルギー、および補正なし(赤)および補正あり(青)のBethe式

ターゲット物質の電子密度は以下の式で計算できる。

原子の平均励起ポテンシャル I(単位eV)を原子番号 Z で割ったものを Z に対してプロットした。

ベーテの理論では、材料の性質は平均励起ポテンシャル I という一つの量のみで表される。フェリックス・ブロッホは1933年に原子の平均イオン化ポテンシャルが近似的に以下で与えられることを示した。




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