バリモア (戯曲)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/03 01:08 UTC 版)
バリモア Barrymore |
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脚本 | ウィリアム・ルース |
登場人物 | ジョン・バリモア フランク |
初演日 | 1996年 |
初演場所 | ![]() ストラトフォード・フェスティバル |
オリジナル言語 | 英語 |
ジャンル | ドラマ |
舞台設定 | ブロードウェイ劇場 |
『バリモア』(Barrymore)は、ウィリアム・ルース脚本による二人芝居であり、1942年に亡くなる数ヶ月前のジョン・バリモアが、1920年にブロードウェイで大成功を収めた『リチャード三世』の再演のリハーサルをする様子が描かれている。
バリモアが『リチャード三世』の再演を試みたのは史実ではなく、この劇のために考え出された設定であるが、俳優が自分自身の人生における様々なエピソードやアルコール依存症によるキャリア転落を回想するための作劇的な枠組みとして機能している[1]。
『バリモア』は独り芝居と分類されてはいるが[2][3]、劇場のスピーカーを通してバリモアとやりとりをする舞台マネージャーのフランクという第2の登場人物が頻出する。
初演は1996年にストラトフォード・フェスティバルで行われた。その後はブロードウェイのミュージック・ボックス・シアター[4]にて1997年3月25日から11月2日まで上演された。監督はジーン・サックス、バリモア役はクリストファー・プラマーであり、プラマーはこれによりトニー賞演劇主演男優賞を受賞した[1]。プラマーはエリック・カニュエルにより2011年の映画化の際も同じ役を演じた[5]。
ベン・ブラントリーは『ニューヨーク・タイムズ』紙上の評論で、「ルース氏の脚本には、単なる登場人物のアルコール依存による不安定さだけではない、揺らめくような雰囲気がある。そして、人生そのものが長きにわたるパフォーマンスだった男を描いた作品であっても、この劇はワンライナー、モノマネ(W・C・フィールズからジョンの兄弟姉妹のエセルとライオネルまで見事に再現されている)、『面白演劇逸話集』といったタイトルの本に出てきそうな物語で溢れている。しかし、プラマー氏とサックス氏はこの断片的な素材を、バリモアが舞台上で自ら混ぜるカクテル(マンハッタンか?)のように、流動的で、刺激的で、そして温かみのある作品へと昇華させた。そして、その夜(サント・ロクアストの舞台裏セットの秋の色彩がかすかに漂う豊かさを持って始まる)は、プラマー氏が演じるバリモアが、滑稽で下品なジョークを繰り出す喜びで観客を楽しませつつも、夕暮れの感動的なきらめきを帯びていく」と述べた[6]。
他言語での上演
- 2014年に丹野郁弓が演出、仲代達矢がバリモア役を務めた日本語版が初演された[2][3]。
- 2019年にアルフレド・ゴールドスタインが演出、ホルヘ・ボラーニがバリモア役を務めたスペイン語版が初演された[7]
参考文献
- ^ a b Sommer, Elyse."A CurtainUp Review:'Barrymore'" curtainup.com, accessed October 30, 2011
- ^ a b “仲代達矢、81歳で初の独り芝居に挑む”. 日本経済新聞. (2014年9月30日) 2025年8月3日閲覧。
- ^ a b “無名塾「バリモア」 零落する老優役 愛くるしく”. 日本経済新聞. (2014年11月11日) 2025年8月3日閲覧。
- ^ Luce, William.Barrymore, A Play Barrymore: a play (1998), Samuel French, Inc., ISBN 0-573-64240-0, accessed October 30, 2011
- ^ “Film Review: Barrymore”. Film Journal International. 15 November 2012. 2018年1月1日時点のオリジナルよりアーカイブ. 2017年12月31日閲覧.
- ^ Brantley, Ben.A Dazzler Of a Drunk, Full of Gab And Grief" The New York Times, March 26, 1997
- ^ Claroscuros de una estrella
外部リンク
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