バックドロップ・クルディスタンとは? わかりやすく解説

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バックドロップ・クルディスタン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/05 06:30 UTC 版)

バックドロップ・クルディスタン
監督 野本大[1]
製作 大澤一生
撮影 野本大、山内大堂、大澤一生
編集 大澤一生
製作会社 バックドロップフィルム[2]
配給 アップリンク
公開 2008年7月5日
上映時間 102分
製作国 日本
言語 日本語トルコ語
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バックドロップ・クルディスタン』(Back Drop Kurdistan)は、2007年に制作された日本のドキュメンタリー映画[3][4][5]在日クルド人一家の生活と難民認定をめぐる闘いを約3年間にわたり追った作品で、監督は野本大が務めた[6][7]

2007年の山形国際ドキュメンタリー映画祭アジア千波万波部門で市民賞と奨励賞を受賞し、2008年に毎日映画コンクールのドキュメンタリー映画賞を受賞した[8][3]

概要

2004年、日本映画学校でドキュメンタリーを専攻していた野本大は、卒業制作の企画を探していた際に偶然手にしたクルドの新年祭「ネウロズ」のチラシをきっかけに、埼玉県蕨市で開催されたその催しに参加した。そこで出会った在日クルド人の若者たちに興味を持ち、カザンキラン一家と接触。彼らはトルコでのクルド人に対する迫害を逃れ、難民として日本に来ていた[8][7]

野本は彼らの人間性に惹かれ、卒業制作の主人公としてカザンキラン一家を撮影する企画を立てたが、学校の企画会議で「この問題を限られた期間で、今のレベルでは撮れない」として却下された[8][7][9]。一家の父アーメットは日本での難民申請が不認定処分となったことに対し国を相手に裁判を起こし、地裁で勝訴したが、高裁で逆転敗訴した[10][11]。最高裁への上告を行いながら、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に難民認定を求める座り込みを行い[12][11]、野本は専門学校を中退して撮影を続けた[8][7]

カザンキラン一家はUNHCRとの交渉を経て、「マンデイト難民」として認定される。しかし、日本政府は国連の認定を認めず、アーメットと長男ラマザンはトルコへ強制送還されてしまう[10]。野本は一度作品としてまとめようとしたが、未解決の問題が多く残っていることに気づき、撮影を継続。これまで「傍観者」に過ぎなかった野本は、この問題の背景を探るため、自らトルコへ向かった[3][8][6][9]

プロデューサーの大澤一生は野本の同級生で、作品の編集に関わった[9][13]

受賞

脚注

  1. ^ 同世代に向けた「やっちゃえば」 野本大監督インタビュー | CINRA”. www.cinra.net. 2023年2月20日閲覧。
  2. ^ comment コメント”. バックドロップフィルム. 2025年5月5日閲覧。
  3. ^ a b c バックドロップ・クルディスタン”. JFDB日本映画データベース. 2025年5月5日閲覧。
  4. ^ アジア千波万波”. 山形国際ドキュメンタリー映画祭. 2025年5月5日閲覧。
  5. ^ ドキュメンタリー映画「バックドロップ・クルディスタン」”. バックドロップフィルム. 2025年5月5日閲覧。
  6. ^ a b “ナンミン”って何?クルド人って誰?(オーマイニュース)”. オーマイニュース (2008年7月7日). 2025年5月5日閲覧。
  7. ^ a b c d INTRODUCTION (STORY) イントロダクション(ストーリー)”. バックドロップフィルム. 2025年5月5日閲覧。
  8. ^ a b c d e バックドロップ クルディスタン”. キネマ旬報. 2025年5月5日閲覧。
  9. ^ a b c 『バックドロップ・クルディスタン』 野本大 監督、大澤一生 氏(製作) インタビュー 彼らを撮らないのは“逃げ”だと思った”. 山形国際ドキュメンタリー映画祭. 2025年5月5日閲覧。
  10. ^ a b 日本にとっての難民・避難民対策の研究” (PDF). 東京財団研究報告書. 2025年5月5日閲覧。
  11. ^ a b カザンキラン一家とは?”. バックドロップフィルム. 2025年5月5日閲覧。
  12. ^ 難民と国家の関係に関する考察-日本にいる難民のまなざしから-” (PDF). 内閣府. 2025年5月5日閲覧。
  13. ^ 「内から外へ」大澤一生(ドキュメンタリー制作)”. 日本映画大学 (2007年11月5日). 2025年5月5日閲覧。
  14. ^ YIDFF 2007”. 山形国際ドキュメンタリー映画祭. 2025年5月5日閲覧。
  15. ^ 毎日映画コンクール 第62回(2007年)”. 毎日新聞. 2023年2月20日閲覧。

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