ディビダークとは? わかりやすく解説

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ディビダーク

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/21 10:15 UTC 版)

ディッカーホフ&ウィドマン
現地語社名
Dyckerhoff & Widmann AG (Dywidag)
元の種類
株式会社
業種 建設業
事業分野 コンクリート工事
その後 破産、事業分割
前身 Friedr. Remy Nachfolger
シーメンス・バウ・ユニオン会社 
後継 Walter Bau AG 
設立 1865年
創業者 オイゲン・ディッカーホフ
ゴットリーブ・ウィドマン
解散 2008年
本社

ディッカーホフ&ウィドマン: Dyckerhoff & Widmann AG)は、かつてドイツミュンヘンにあった建設会社である。

ディビダーク(Dywidag)の略称で知られ、プレストレスト・コンクリート橋をはじめとするコンクリート工事を得意とした。

歴史

1865年ヴィルヘルム・グスタフ・ディッカーホフドイツ語版によりドイツのカールスルーエで創業[1]。当初の社名はLang & Coで、コンクリート製品の製造を行っていた。1866年、ヴィルヘルムの息子のオイゲン・ディッカーホフドイツ語版が入社。オイゲンと、義父のゴットリーブ・ウィドマンはLang & Coの社名をディッカーホフ&ウィドマンに改め、同社をドイツの大手建設会社に発展させた。1880年代には建設工学の分野に進出し、ポーランドヴロツワフ百周年記念ホールなど著名な建築物を受注した。

同社は、コンクリート建設の分野で多くの革新的な技術を導入した。 オイゲンは、19世紀に圧縮コンクリートであるスタンプコンクリートドイツ語版を開発。ドイツのコンクリート建設の標準となった1920年代後期には、コンクリートによるシェル構造であるツァイス・ディビダークシェル構造ドイツ語版を開発。1938年にフランクリン協会英語版のエドワード・ロングストレス・メダルを受賞した[2]。同社は1960年代にかけて多くのコンクリートシェル英語版の構造物を建設。ドイツにおけるプレストレスト・コンクリートカンチレバー工法の確立にも重要な役割を果たした。

1907年に本社をヴィースバーデンに移転[3]。さらに第二次世界大戦後はミュンヘンに移転した。1972年にde:Siemens-Bauunion、1991年にはde:Union-Bauを買収した。2001年にはde:Walter_Bauの傘下に入ったが、Walter_Bauは2005年に破産。ディビダークの事業は分割され、その大部分はオーストリアストラバッグ英語版に買収された。

第二次世界大戦中、同社はアウシュビッツ第36キャンプの奴隷を労働者として使用した。その多くは、1945年までにブーヘンヴァルト強制収容所で死亡した[4]

ディビダーク工法

ディビダーク工法で建設中[5]の、ヴォルムスニーベルンゲン橋ドイツ語版。1952年。

コンクリート橋の架設方法。片持式架設工法の一種で、ワーゲンと呼ばれる移動架設車を使い、橋脚または橋台から支間中央部に向かって橋体をブロックごとに継ぎ足して張り出し施工する。支保工を必要としない利点があり、多くの長大コンクリート橋の建設に採用されている[6]

ディビダーク社のUrlich Finsterwalderらにより開発され[7]、1950年にバルドゥインシュタインドイツ語版ラーン川の橋で初めて導入された。日本では1959年に神奈川県嵐山橋に採用されたのが初の事例である。ディビダーク工法はPC鋼棒を使うことから、バーシステムと呼ばれる。これに対しPC鋼線を使うケーブルシステムにはFCC工法(Free Cantilever erection with Cable)などがあり、1955年にフランスのChazei橋で初めて導入された[5]

橋梁以外の技術で特筆すべきものには、下水汚泥処理で消化ガスを得るプレストレスト・コンクリート製卵型タンクなどがある[8]

脚注

  1. ^ Stegmann, 2009, p. 1371.
  2. ^ Franklin Laureate Database - Edward Longstreth Medal 1938 Laureates”. フランクリン協会. April 7, 2014時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年10月12日閲覧。
  3. ^ Dyckerhoff & Widmann, 1908.
  4. ^ List of the industries established in Blechhammer Camp. http://www.jewishgen.org/ForgottenCamps/Camps/MainCampsEng.html
  5. ^ a b PC橋梁とのあゆみ―川田とFCC―」(PDF)『川田技報』第9巻、川田工業、1990年、165-166頁、2019年10月12日閲覧 
  6. ^ 用語事典 ディビダーク工法”. 国土交通省東北地方整備局山形国道事務所. 2019年10月12日閲覧。
  7. ^ 鈴木圭『RC橋からPC橋への歴史的変遷』 Vol.42、No.6、プレストレストコンクリート技術協会誌、2000年11月、pp.89-97頁。 
  8. ^ 技術情報 PCタンク”. オリエンタル白石. 2019年10月12日閲覧。

参考文献

  • Stegmann, Knut: Early Concrete Constructions in Germany - A Review with Special Regard to the Building Company Dyckerhoff & Widmann In: Karl-Eugen Kurrer, Werner Lorenz and Volker Wetzk (eds.): Proceedings of the Third International Congress on Construction History Berlin, 2009. Vol. 3, pp. 1371–1378. ISBN 978-3-936033-31-1 open access: PDF
  • Stegmann, Knut: Das Bauunternehmen Dyckerhoff & Widmann. Zu den Anfängen des Betonbaus 1865-1918. Tübingen/Berlin, 2014 (in German, with an overview of the complete company's history). ISBN 978-3803007537
  • Dyckerhoff & Widmann (ed.): Dyckerhoff & Widmann Aktiengesellschaft Biebrich a. Rhein, mit Zweigniederlassungen in Karlsruhe, Nürnberg, Dresden, Berlin, München und Hamburg. Biebrich, 1908.
  • Dyckerhoff & Widmann (ed.): Dywidag-Bildband. Bauten der Dyckerhoff & Widmann AG 1865–1990. München, 1990.


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