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ダンドナルド伯爵

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/23 15:17 UTC 版)

ダンドナルド伯爵
Earl of Dundonald
創設時期 1669年5月12日
創設者 ジェームズ7世
貴族 スコットランド貴族
初代 初代伯ウィリアム・コクラン英語版
現所有者 15代伯イアン・コクラン英語版
相続人 コクラン卿アーチー・コクラン
相続資格 初代伯爵の直系嫡流の男系男子
付随称号 ダンドナルドのコクラン卿
ペイズリー、オーキルツリーのコクラン卿
モットー 勇気と労働によって
(Virtute Et Labore)

ダンドナルド伯爵英語: Earl of Dundonald)は、スコットランド貴族伯爵位。スコットランド議会議員だったダンドナルドの初代コクラン卿ウィリアム・コクラン英語版1669年に叙位されたのに始まり、以降その男系男子によって継承され続けている。2020年現在の当主は第15代ダンドナルド伯爵イアン・コクラン英語版

歴史

1854年の第10代ダンドナルド伯爵トマス・コクラン

スコットランドエア英語版レンフルーの大地主でエアシャー選挙区英語版選出のスコットランド議会議員だったウィリアム・コクラン英語版(不詳-1685)は、1647年12月26日スコットランド貴族爵位「ダンドナルドのコクラン卿(Lord Cochrane of Dundonald)」に叙位された。彼は1648年チャールズ1世に代わってスコットランドに兵を集める目的でアイルランドへ派遣されている。1653年にペイズリーに土地を獲得したが、その翌年にはクロムウェルから罰金を科された。王政復古後の1669年5月12日にスコットランド貴族爵位の「ダンドナルド伯爵(Earl of Dundonald)」、「ペイズリー=アキルトリーのコクラン卿(Lord Cochrane of Paisley and Ochiltree)」に叙位された[1][2]

初代伯の曽孫にあたる4代伯ジョン・コクラン(1687–1720)は、1713年から1714年にかけてスコットランド貴族の貴族代表議員として英国貴族院に議席を保有し、トーリー党に属した[2]

初代伯の来孫にあたる8代伯トマス・コクラン英語版(1691–1778)は、陸軍において少佐まで昇進したほか、襲爵前の1722年から1727年にかけてレンフルーシャー選挙区英語版から選出されてホイッグ党庶民院議員を務めている。1730年から1764年まではスコットランド物品税委員英語版を務めた[2]

8代伯の孫の10代伯トマス・コクラン(1775–1860)は、王立海軍軍人としてナポレオン戦争で活躍したが、1814年に株で詐欺を働いたとされて海軍や議会から追放された。その後、1817年から1823年にかけて対スペイン独立戦争中のチリ、1823年から1825年にかけて対ポルトガル独立戦争中のブラジル、1827年から1828年にかけて対オスマン独立戦争中のギリシャにおいて、独立を目指す各国の海軍を指導した。ブラジル滞在中の1824年にはブラジル皇帝ペドロ1世よりマラニャン侯爵(Marquês do Maranhão)という非世襲爵位を与えられた。1830年には圧縮空気を利用したケーソン工法の特許を得、橋梁建設の進歩に貢献した。1832年に恩赦を受けて王立海軍に復帰し、最終的には海軍大将まで昇進。軍艦に蒸気機関を使うことを提唱した[3][4][5]

現在の当主は10代伯の来孫にあたる15代伯イアン・アレグザンダー・ダグラス・ブレア・コクラン英語版(1961-)である[2]

本邸はスコットランド・アーガイル英語版レダイグ英語版・ロッホネル城(Lochnell Castle)[2]

現当主の保有爵位

現当主イアン・コクラン英語版は以下の爵位を保有している[2][6]

  • 第15代ダンドナルド伯爵 (15th Earl of Dundonald)
    (1669年5月12日勅許状によるスコットランド貴族爵位)
  • ダンドナルドの第15代コクラン卿 (15th Lord Cochrane of Dundonald)
    (1647年12月26日の勅許状によるスコットランド貴族爵位)
  • ペイズリー=アキルトリーの第15代コクラン卿 (15th Lord Cochrane of Paisley and Ochiltree)
    (1669年5月12日の勅許状によるスコットランド貴族爵位)

ダンドナルド伯爵 (1669年)

  • 初代ダンドナルド伯爵ウィリアム・コクラン英語版 (不詳-1685)
  • 2代ダンドナルド伯爵ジョン・コクラン (1660頃–1690) 先代の息子
  • 3代ダンドナルド伯爵ウィリアム・コクラン (1686–1705) 先代の息子
  • 4代ダンドナルド伯爵ジョン・コクラン (1687–1720) 先代の弟
  • 5代ダンドナルド伯爵ウィリアム・コクラン (1708–1725) 先代の息子
  • 6代ダンドナルド伯爵トマス・コクラン (1702–1737) 先代の従兄弟
  • 7代ダンドナルド伯爵ウィリアム・コクラン (1729–1758) 先代の息子
  • 8代ダンドナルド伯爵トマス・コクラン英語版 (1691–1778) 先代の従兄弟
  • 9代ダンドナルド伯爵アーチボルド・コクラン英語版 (1749–1831) 先代の息子
  • 10代ダンドナルド伯爵トマス・コクラン (1775–1860) 先代の息子。ブラジル帝国からマラニャン侯爵の爵位を与えられる
  • 11代ダンドナルド伯爵トマス・バーンズ・コクラン英語版 (1814–1885) 先代の息子
  • 12代ダンドナルド伯爵ダグラス・マッキノン・ベイリー・ハミルトン・コクラン英語版 (1852–1935) 先代の息子
  • 13代ダンドナルド伯爵トマス・ヘスケス・ダグラス・ブレア・コクラン英語版 (1886–1958) 先代の息子
  • 14代ダンドナルド伯爵イアン・ダグラス・レオナード・コクラン (1918–1986) 先代の甥
  • 15代ダンドナルド伯爵イアン・アレグザンダー・ダグラス・ブレア・コクラン英語版 (1961-) 先代の息子
    • 法定推定相続人は、現当主の長男のコクラン卿アーチボルド・イアン・トマス・ブレア・コクラン (1991-)

出典

  1. ^ Henderson, Thomas Finlayson (1887). “Cochrane, William” . In Stephen, Leslie (ed.). Dictionary of National Biography (英語). Vol. 11. London: Smith, Elder & Co.
  2. ^ a b c d e f Heraldic Media Limited. “Dundonald, Earl of (S, 1669)” (英語). Cracroft's Peerage The Complete Guide to the British Peerage & Baronetage. 2020年1月30日閲覧。
  3. ^ ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典. “コクラン”. コトバンク(朝日新聞). 2024年2月5日閲覧。
  4. ^ 松村赳 & 富田虎男 2000, p. 152.
  5. ^ Lundy, Darryl. “Admiral Thomas Cochrane, 10th Earl of Dundonald” (英語). thepeerage.com. 2020年1月30日閲覧。
  6. ^ Lundy, Darryl. “Iain Alexander Douglas Blair Cochrane, 15th Earl of Dundonald” (英語). thepeerage.com. 2020年1月30日閲覧。

参考文献

関連項目



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