ジスルフィドとは? わかりやすく解説

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ジスルフィド

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/28 06:34 UTC 版)

有機ジスルフィドの一般式

ジスルフィド (disulfide, disulphide) とは、2個の硫黄原子が繋がったジスルフィド基 (-S-S-) を官能基として有する有機硫黄化合物の総称。一般式は R-S-S-R' と表される。

ジスルフィドの英語表記はdisulfideで、この用語は二硫化物イオン (S22−) を構造に含む塩や錯体の総称でもある。日本語ではその総称をもっぱら 二硫化物 と呼ぶ。ジスルフィドイオンは二硫化物イオンの別称。錯体の命名法では二硫化物イオンの配位子名は「ジスルフィド」(disulfido) である。二硫化物塩や錯体の詳細は記事: 二硫化物 を参照。

無機化合物においては陽性成分1モルに対して2モルの硫黄原子を陰性成分として持つ化合物が二硫化物 (disulfide) として命名される。このような無機化合物には有機ジスルフィドと同様にS-S結合を持つ二硫化物イオン S22−を含むものと、硫黄原子間に直接結合をもたない化合物が含まれる。

有機ジスルフィド

性質

ジスルフィドの硫黄の酸化数は -I で電子配置は塩素分子の状況に似ており、もう1個の S(-I) と共有結合することによって2価のジスルフィド基を形成している。このことは酸素も同様で、過酸化水素や、それを親化合物とするペルオキシド過酸化物)が存在する。

有機ジスルフィドの親化合物である二硫化二水素(ジスルファン)H2S2やそのモノアルキル化体(RSSH) は熱的に不安定で容易に分解する。一方、ジアルキルジスルフィドは比較的安定であり、容易にO-O結合が熱分解するジアルキルペルオキシドとはかなり性質が異なる。また、硫黄同士の結合がさらに進んだトリスルフィド、多硫化物(ポリスルフィド)を作れることも酸素の場合とは異なる。

低分子量のジアルキルジスルフィドはキャベツネギ属の香気成分として知られており、強いにおいを持っている。

ジスルフィド結合は強く、典型的な結合解離エネルギーは60 kcal/mol (251 kJ mol−1) である。しかしながら、C–C結合C-H結合よりもおよそ40%弱いため、ジスルフィド結合は多くの分子中で「弱いつながり」として機能することが多い、そのうえ、二価硫黄の分極率を反映して、S–S結合は極性試薬(求電子剤と特に求核剤〔Nu〕)による切断を受け易い[1]

シスチン
α-リポ酸
Ph2S2

脚注

  1. ^ Cremlyn, R. J. (1996). An Introduction to Organosulfur Chemistry. Chichester: John Wiley and Sons. ISBN 0-471-95512-4 
  2. ^ 高木 俊夫「SHとSSの生化学」『有機合成化学協会誌』第35巻第5号、1977年、332-342頁、doi:10.5059/yukigoseikyokaishi.35.332 

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